■米10年物国債利回りは2011年以来の水準へ上昇!
足元で、米国の長期金利が上昇しています。
10月3日(水)には、米国の10年物国債の利回りが、これまでなかなか超えられなかった、5月18日(金)の3.1261%を上に抜けて、2011年以来の高水準となりました。

(出所:Bloomberg)
また、30年物国債の利回りも3.3706%と、こちらも2014年以来の高水準となっています。

(出所:Bloomberg)
そのきっかけとなったのは、9月分のISM非製造業景況指数の総合指数が、予想値をはるかに上回る61.6という高い結果となったことでした。これは、実に21年ぶりの高水準でした。

※ISMのデータを基にザイFX!が作成
■さらなる米利上げペースの加速が意識される!?
先日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利の0.25%の引き上げが決定され、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は、2.00~2.25%となりました。
米国はすでに、先進国でもっとも高い水準の政策金利となっていますが、各国との差が、さらに開くことになりました。
【参考記事】
●米国と他の先進国の金利差は今後も拡大。米ドル/円は押し目買いのチャンス狙い!(9月27日、今井雅人)

※日本の政策金利は短期政策金利の値を掲載
※FRB、各国の中央銀行のデータを基にザイFX!が作成
また、その先の予想としては、今年(2018年)12月に、さらに0.25%、来年(2019年)は3回、2020年は1回の利上げが予想され、それでいったん、利上げも終了ということになっています。
この先、今回のISMのような強い数字が出てくれば、「さらなる利上げペースの加速か」という見方も出てくるでしょう。
■マクロ環境、金利環境に素直に反応した相場展開へ
こうした環境下で、米ドル高になってきていますが、マクロ環境、金利環境に素直に反応した相場展開になってきたということです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
そして、その素直な流れを作っているのが、その他のリスク要因への不安感の低下ということです。
米中の通商交渉は、米国が3度目の追加関税措置を実施しましたが、今のところ、目に見えるほどの影響は出ていません。もちろん、今後の展開については予断を許さないのですが、今すぐに、市場に影響が出るような状況ではないことは、はっきりしてきています。
【参考記事】
●雲を上抜けた米ドル/円は113円を目指す! 対中関税第3弾発動でも市場はリスクオン?(9月21日、今井雅人)
■安堵感がリスクオンを造成
もう1つのリスク要因であった新興国通貨の下落、あるいは新興国経済の不安定化に関しては、たしかに、回復する気配は見られないものの、さらなる悪化を招くような状態でもなさそうだという見方が、市場で広がってきているようです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:南アフリカランド/円 日足)
こうした不安材料が、当面、市場に悪影響を与えるような状況ではないという安堵感が、リスクオンの市場環境を造成しているということでしょう。
■でも、米ドル/円は短期的には買われ過ぎ!?
さて、こうしたことを考えると、当面、米ドル高が続くということになるわけですが、米ドル/円に関して言えば、ここ2週間ほどの上昇が一方的であることが、やや気になります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向を見ると、たしかに水準的にはまだ、投機筋の円に対する米ドルのロング(=円の売り越し)が、極端に積み上がっているという状態ではないものの、徐々にロングポジションが増えてきています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
私の予想では、あと2週間ほどで、危険水準に入ってくるのではないかと思っています。
【参考記事】
●IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?
●IMMの円売り越し13.6万枚! この数字が10万枚を越えると米ドル/円は調整しやすい(2017年11月21日、バカラ村)
一目均衡表の雲からのかい離も、かなり大きくなってきました。MACDなど、オシレーター系のチャートも、買われ過ぎのゾーンに入ってきています。

(出所:Bloomberg)
■米ドルの押し目買いチャンスを待つスタンスで
米ドル/円は、115円という水準も区切りが良いので、その辺りを高値として、上げトレンドは、いったん終わるのではないでしょうか。

(出所:Bloomberg)
ただ、大きな流れはまだ、米ドル高と考えておいて良いと思いますので、米ドルを押し目で買うチャンスを、じっと待ちたいと思います。
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