米国出張から戻ってきました。
過去2週間の間に相場は大きく変貌しているようです。
今週から、またよろしくお願いします!
■日米首脳会談の結果を受けて、米ドル/円は上昇
先月(9月)26日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で漸進的な利上げが確認されたこと、加えて、注目の日米首脳会談では、貿易交渉中の日本車に対する追加関税は回避、為替への言及もなしという結果を受け、米ドル/円は上昇。
【参考記事】
●加ドル/円窓開け急騰! クロス円が強い! 日経平均27年ぶり高値達成でドル/円は…(10月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
加えて、10月3日(水)のNY市場では米金利が急騰し、総じて米ドル高へ。
米10年国債利回りは、一時3.18%まで急騰。2011年以来の高水準となりました。

(出所:Bloomberg)
この背景ですが、米国経済への楽観的な見方が強まったとの解説が多いのですが、マーケットのウワサによれば、この米金利の上昇は、中国による米国債の売りが効いているとのこと。
2018年4月は、ロシアの米国債の売りが話題になりましたが、今度は中国。
【参考記事】
●米金利急騰により短期的には米ドル高だが米国株の調整が米ドル/円下落を誘うか?(4月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
米10年国債利回りの急騰により、米ドル/円は、一時114.55円まで急伸しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
ユーロ/米ドルも節目であり、かつ、オプションが集中していた1.1500ドルをブレイクし、下値余地が拡大。英ポンド/米ドルも1.3000ドルを割り込み、一時1.2922ドルまで下落しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
豪ドル/米ドルも、調整は0.7313ドルまでで、その後は反落。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
米金利の急騰に連れて、総じて米ドルは堅調な動きとなりました。
■現在の円安局面は、日銀も金融政策の正常化に動きやすい
マーケットでは、米ドル/円は120円まで上昇するという見方も増えてきており、2018年初頭のマーケットのセンチメントに。
ただ、ヘッジファンドを中心に、米ドル/円のさらなる急騰には警戒感が出始めています。
10月3日(水)のNY市場では、米ドル/円のダウンサイドに対してのオプションのインタレストが増えてきている模様。つまり、円高に対するヘッジの必要性を感じているようです。
その背景は、トランプ大統領の為替に対するツイートへの警戒感。
前述のように、米金利の急騰に追随し、米ドル/円が114円台に乗せたことから、マーケットでは、米ドル/円が120円まで上昇するという見方も増えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
ただ、それは、貿易不均衡の是正を公約に掲げるトランプ政権からの批判を招きかねないため、今回の米ドル/円の急騰には、マーケット関係者から懸念の声も上がっているのです。
見方を変えれば、現時点では日銀の金融政策は正常化した方が良いのではないかというのがコンセンサスなので、現在の円安局面では、日銀も金融政策の正常化に動きやすいと言えます。
表現を変えれば、こういう円安局面こそ日銀は、(円高を招きかねない)金融政策の正常化に動くチャンスであると言えます。
■「合意なきBrexit」懸念を背景に英ポンドの下値余地拡大
では、米金利の急騰に対して、どの通貨ペアで米ドルをロングするのが適切なのか?
米ドルは、欧州通貨に対しても堅調に推移しています。
イタリアの財政とドイツの政治リスクを背景に、ユーロ/米ドルは、再び節目の1.1500ドルを割り込む展開です。
【参考記事】
●加ドル/円窓開け急騰! クロス円が強い! 日経平均27年ぶり高値達成でドル/円は…(10月1日、西原宏一&大橋ひろこ)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
加えて、米ドルに対して、一段と下値余地が拡大している欧州通貨があります。
それは、英ポンド。
9月には英国、EU(欧州連合)とも歩み寄りが期待され、英ポンド/米ドルは、一時1.3298ドルまで急反発しました。
しかし、9月のEU首脳会議では、メイ首相が7月にまとめたEU離脱案について説明したものの、交渉は進展せず…。
下の画像は、トゥスクEU大統領がSNSにアップしたものです。

(出所:トゥスクEU大統領のInstagramより)
トゥスクEU大統領がメイ首相にケーキを差し出す画像に、「ケーキはいかがですか。チェリーはありませんが」とコメントを付けています。
これは、EU離脱交渉で「チェリーピッキング(いいとこ取り)」をしようとしている英国を茶化しているとされ、英国からの不評を買っています。
こうしたことからも、英国、EU双方の歩み寄りに進展はなさそう…。
トゥスクEU大統領のコメントによれば、EU離脱交渉の正念場は、10月18日(木)開催予定のEU首脳会議(その次のミーティングは、11月17日~18日開催予定の臨時EU首脳会議)となります。
それまでに英国が事態を打開する必要があるのですが、前述のように進展が見られず、交渉は暗礁に乗り上げています。
このような状況が続けば、「合意なきBrexit」」懸念が拡大し、英ポンドの下値余地が拡大します。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
一方、米金利の急騰と米国株の続伸が並走することは困難です。
仮に、米金利の急騰により、米国株が調整に入ると、米ドル/円にとってはマイナス。
このような環境下、英ポンド/円の下値余地が大幅に拡大しています。
先月(9月)、上海総合指数の反発を示唆したデマーク(※)インディケーターも、英ポンド/円について、下値警戒のサインを出しています。
(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
今月(10月)は、英ポンド/円の動向に注目です。
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