■ドルインデックスは調整終了、上昇トレンド復帰か
前回のコラムにおいて、「ドルインデックスが9月安値をもって調整変動を完成」という可能性に言及した。今週以降(10月1日~)、米ドルの急伸でその可能性は一段と強まったと言える。
【参考記事】
●日経平均は年内の2万5000円打診が確実! ドル/円は115.65円めざす?一方クロス円は…(2018年9月28日、陳満咲杜)
(出所:Bloomberg)
上のチャート上に記しているように、2018年8月高値からの反落波は、典型的なジグザグ変動の構造をもって9月安値で底打ち、昨日(10月4日)の高値につながった。
重要なのは、いったん9月4日(火)高値(b)を突破したので、前述のジグザグ変動における途中の切り返しの頂点の再打診をもって、調整波の底打ちを証左したわけだ。
したがって、米ドル全体がまたブル(上昇)基調に復帰し、これから高値トライしやすいのではないかと思われる。
米ドルの対極として、ユーロの値動きはまったく逆なので、ユーロ/米ドルの構造も然り。
(出所:IG証券)
9月までの切り返しで、調整(反騰)波自体のジグザグ変動を完成させ、その後、9月上旬の安値を割り込み、ベア(下落)トレンドへの復帰を示唆している。
なにしろ、9月4日(火)、10日(月)あたりの安値が、ジグザグ変動における途中の調整だったので、再度割り込んだ以上は、元のトレンド(ベア)に復帰した公算が大きいかと思われる。
■リスクオン・オフと米ドル全体の強弱に因果関係はない
ところで、米ドルの上昇に懐疑的な向きがなお多く、その根拠もいろいろあるようだが、もっとも流行っている見方は、「やはり米長期金利の上昇で米国株が調整してくる可能性が大きいから、米国株の調整があれば、米ドル高の基調も弱まるだろう」といった推測や、「トランプ政権が米ドル高を好まないから、牽制してくるのではないか」といった思惑であろう。
しかし、米国株の反落があれば、一時にせよ、リスクオフになる局面が想定されやすいものの、米ドル全体の強弱とリスクオン・オフとの関連性は、言うほど単純ではないので、因果関係があるわけではないことを強調しておきたい。
2008年のリーマンショック後、究極のリスクオフが米ドル高につながった前例は言うまでもないが、米ドル全体の強弱とリスクオン・オフの関連性はケース・バイ・ケースで、何らかの法則性をもって説明しきれないことは確かだ。
一方、2008年のリーマンショック時には米ドル/円の急落が見られたように、米ドルは対円でのみ、リスクオン・オフの関連性が高いと言える。
(出所:IG証券)
リスクオンなら米ドル高・円安、リスクオフなら米ドル安・円高、といった見方はおおむね正解であろう。リスクオフの円高は検証されてきた為替市場の法則であり、これからも機能するだろう。
となると、米長期金利の上昇が米国株の圧力と化し、米国株の下落でリスクオフの局面になれば、円全面高になる市況が確認されるだろう。
逆に言えば、円全面高にならない限り、本格的なリスクオフではないから、米国株の上昇基調が崩れる云々が大げさで、また、米長期金利の上昇が米国株の基調を転換させるといった指摘も性急であり、大して確実性はないだろう。
■ユーロ/円の保ち合いが、円全面高の市況でないことを明示
昨日(10月4日)、米国株も高値圏にて波乱となったが、これは米10年国債利回りの上昇を受けた値動きで、ブル基調自体が否定されたわけではない。
だから、米ドル/円も113円台後半をキープ、ユーロ/円など主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も総じて保ち合いの状況を保っている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
前述のように、ユーロ/米ドルがすでにベアトレンドへ復帰した状況の中、ユーロ/円の保ち合い自体が1つのサインとして注目されるだろう。それはほかならぬ、円全面高の市況にほど遠く、リスクオフ云々も大袈裟、ということである。
もっとも、米長期金利の上昇は当然…
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