昨日はドル円が112円台の前半で始まったが、さすがに111円台に突入したときの味が悪かったので、それ以降の突っ込み売りの試みは見られなかった。日本株は前日の米国株の大幅安をうけて安いのだが、それでも東京時間中は一段安が見られなかったことで、格別のリスク回避を誘うようなこともなかった。
ドル円が下がりにくいならば、ということで同じドル売りということでユーロドルでも買ってみようかと考えた。しかしイタリア国債の入札が控えていた。これが済んでからでもよいだろう。
とくにユーロの値崩れが見られなかったので、入札状況がどうだったかはわからないが、ともかくも無事に通過したのだろう。これを期に私はユーロドルをロングにしてみた。1.1562で買ったわけだが、すぐには上がらない。あんまり市場はイタリア問題で反応していない。後はストップ注文だけ置いておいて、待つしかない。
次のターゲットはアメリカのCPIであった。前日にPPIが出てしまっているので、効果に3ヶ月遅れるといわれるCPIではあまり重要性は高くはないのだが、それでもインフレに敏感とされる長期金利が気にされている昨今である。
何か過大な反応をするかもしれない。結果は予想を下回ったので、ドルの長期金利は若干、低下した。これで瞬間的にドル安が進んだが、それも数ポイントだけだった。ユーロドルは1.1595あたりまで吹き上がったように見えたが、すぐに押された。私もゲットアウトするだけで精一杯だった。
昨日は米国株が復調しそうだったが、やはりリスク回避の流れは変わらなかった。米国株のボラティリティも30%台まで急上昇してきて、ダウンサイドリスクを意識しなければいけない状況となった。
外部環境が悪いのは、何も従前と変わっていない。強いて理由を挙げれば、近づく企業決算の山場が原因だろう。これまで米国株の史上最高値を更新するための根拠となってきた企業利益に疑問符がついたのである。
小売り大手のシアーズが来週にも倒産するということが、水曜日のセッションで報じられた。たしかにアマゾンなどネット販売に押されているのが明白だ。特に小売リセクターは競合が激しく、隣の店で買ったのならば、同じものを別の店で買うことはない。
また食事の回数が1日3回だったものが、1日に5回も食べるようになったわけでもない。アマゾンでモノを買ったら、他の実店舗では買わないのが通常であろう。それが事実であるにもかかわらず、これまでシアーズやウオルマートなどは株価が値を飛ばしてきたのだ。
しかも2回か3回前の企業決算では、史上最高益だったはずだ。そんなに儲かって仕方がないのに、なんで潰れてしまうのか。やはり疑念は公表してきた決算に帰することになる。本当に利益が出ていたのかどうか、他にも資金繰りを困らせるような隠れ借金があったのではないか、などなど。
そしてその企業決算が本格化するのは今晩からである。まずは金融大手のJPモルガン、シティ、ウェルズ・ファードといったところ。これらの事前予想はどれもいい。そして結果で出てくるEPSがアナリスト予想を上回ったとした場合、その通りに株価が反応するのかどうか。
それがさっそく試されるのである。企業利益のあり方に疑念が生じたような動きを呈した場合は、市場におけるリスク回避の動きは収まらないかもしれない。今度こそドル円やユーロ円の売り持ちがワークするかどうかトライしにいくことになる。
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