■株と米ドル/円の連動性がまったくみられない異常事態
株は最悪で、為替は知らん顔、冗談ではないかと言いたくなるような相場が続いている。なにしろ、米国株は2018年年初来上昇幅をすべて帳消し、日経平均は一時、2万1000円の大台割れまで来ているが、米ドル/円は執筆中の現時点で、なお112円の節目をキープしている。
(出所:Bloomberg)
日経平均は10月2日(火)に2万4448円の高値を付けてから、すでに3400円以上の下落幅を記録。これは、2018年1月23日(火)~2月14日(水)の下落幅を超えている。
同時期(1月23日~2月14日前後)における米ドル/円の下落幅を見てみると、6円近かったので、その時は連動性があったと言える。しかし、今回の米ドル/円は10月4日(木)高値114.56円から10月15日(月)安値111.62円までの値幅が約3円足らずだ。
そして、日経平均は10月15日(月)終値2万2271円から、さらに1300円の下落を達成したのに対して、米ドル/円は執筆中の現時点において、10月15日(月)終値の111.78円より高い水準をキープしている。
米株安に追随する形の日経平均の下落は「規則正しい」とされるが、米ドル/円と日経平均の連動性がまったくみられなくなってきたことは「異常」としか言えない。
■伝統的なリスク回避先通貨、スイスフランの異常さは円以上
「異常」とまで言い切れるのは、米ドル/円だけでなく、同じく伝統的なリスク回避先として評価されてきたスイスフランも然り。
米ドル/スイスフランの日足を見ればわかるように、世界株式市場の大幅下落が続いているにもかかわらず、スイスフランは9月21日(金)安値からほぼ一貫して売られ、現在、2018年7月安値に逆戻りしようとしているかに見える。
(出所:Bloomberg)
世界の株式の大幅安でリスクオフなら、スイスフランは円と同じく買われるはずだったが、足元を含め、完全に「逆行」しているように見える。この意味では、スイスフランの「異常さ」は円以上と言える。
前回のコラムでも強調したように、株式市場と為替市場のパフォーマンスの乖離は、まったく意味がない、もしくは偶然ではないなら(基本的には偶然と言うことはあり得ない)、株か為替のどちらかが「間違った」動きであるはずだ。
【参考記事】
●日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか?(2018年10月26日、陳満咲杜)
株式市場で大幅安の進行があったにもかかわらず、為替市場にリスクオフの動きがもたらされていないなら、そもそも株式市場の方が「異常」なのではないかと疑われる。
アルゴリズムやら、AIやら、機関投資家の…
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