■上海総合指数の下落が止まらない
みなさん、こんにちは。
このコラムで何度かご紹介させていただいたように、上海総合指数の下落は止まらず。
【参考記事】
●「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!(10月11日、西原宏一)
●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(10月18日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
中国当局が市場支援のための政策措置を取るとの報道から一時、中国株は反発する局面もあったのですが、上値は限定的です。
■市場関係者の中国株への見方は依然として弱気
市場関係者の中国株に対する意見も、引き続き、弱気なものが目立ちます。
たとえば、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの中国株戦略責任者は、「上海総合指数は2日続伸となっているが、上海総合指数のパフォーマンスは世界で最も低いもののひとつであり、現在の急回復はセンチメントの回復による短期的なもの。結果反発は長続きはしないだろう」とコメント。
前回のコラムでご紹介させていただいたように、米中貿易戦争は収まるどころか深刻化しており、なかなか中国株が反発するメドは立ちません。
【参考記事】
●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(10月18日、西原宏一)
先週(10月15日~)までは、この中国株の続落が、米国株に大きな影響を与えませんでした。
米中貿易戦争の勝利者は米国であるため、中国株の下落は米国株に悪影響を与えないというわけです。
ただ、中国株の続落が他の主要株価指数にまったく悪影響を与えないという考え方には、筆者も含め多くのマーケット参加者は違和感を持ち続けていました。
つまり、中国株と米国株のデカップリングに矛盾を感じていたわけです。
■今週に入って米国株は急落
ただ、その矛盾は今週(10月22日~)、解消されることに。
今週(10月22日~)初めから、米国株は軟調に推移していましたが、24日(水)の米国株は急落。
S&P500は3.09%、ナスダック総合指数は4.43%も急落しました。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
そして、NYダウは前日比608ドル安に。

(出所:Bloomberg)
S&P500とNYダウは年初来の上げをすべて喪失してしまいました。
■米国株の急落は調整が顕在化しただけ
米国株急落には、下記の要因が挙げられます。
(1)オバマ前大統領とヒラリー・クリントン氏宛に爆発物と見られる不審物が届き、シークレットサービスが捜査を開始したという報道がセンチメントを悪化させたこと
(2)10月24日(水)発表のテキサス・インスツルメンツの決算が予想外に弱かったこと
ただ、米国株に関しては、何度かご紹介させていただいたように、テクニカル分析で示していた調整が顕在化しただけだと想定しています。
【参考記事】
●「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!(10月11日、西原宏一)
こうした動きに呼応して、日経平均も2万2000円を大きく割り込み、一時2万1282円レベルまで急落しました。

(出所:Bloomberg)
リスクオフにより、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は急落。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
本稿執筆時点では、ユーロ/円は127.51円、豪ドル/円は79.00円、そして米ドル/円は111.82円まで下落しています。
中国株の下落により、豪ドル/円は順調に値を下げていますが、マーケットの注目はユーロ/円です。
■予算案をめぐり、イタリア情勢は混迷
一方、イタリア情勢は混迷を深めています。
欧州委員会は、イタリアの予算案を拒否。3週間以内に再提出するように指示しました。
しかし、コンテ首相は政府内に予算案を変更する「プランB」の用意はないと主張。
予算案の差し戻しは、過去に例がありません。
結果、イタリア債は続落し、金利は上昇。

(出所:Bloomberg)
■週足雲を明確に突破し、ユーロ/円は下落余地拡大
欧州の景況感も悪化しています。
10月24日(水)発表された独製造業PMI、ユーロ圏製造業PMIは、軒並み悪化しました。
中国経済の悪化は豪州のみならず、欧州にも影を落とし始めた展開。
これにより、もみ合いを続けていたユーロ/円の下落基調が鮮明に。以下は、ユーロ/円の週足チャートです。

(出所:Bloomberg)
2016年後半からのユーロ/円の動きは、週足の雲の位置が重要なポイントとなっています。
【参考記事】
●中間選挙まで2週間。大統領は株価を意識!? 決算本格化で「業績相場」が盛り上がるかも(10月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
いったん雲の中に入ると、なかなか抜け出してこないのですが、ブレイクすると、その方向に明確に動きはじめます。
ユーロ/円は、先週(10月15日~)末、週足の雲を下抜けるかどうかの神経質なレベルでクローズしています。
ただ、イタリア情勢の悪化などを背景に、テクニカル分析で方向性が明確になる前から、ユーロ/円にフォーカスしていた参加者は、筆者も含め多数。
そして、今週(10月22日~)、米国株をも巻き込んだグローバルな株急落の動きを受けて、ユーロ/円は週足の雲を明確に突破し、下値余地が大幅に拡大。

(出所:Bloomberg)
S&P500とNYダウが年初来の上げをすべて失うなど、大きく値を下げている米国株を筆頭とした株安によるリスクオフの流れ。加えて、イタリア情勢の悪化が下落を後押しし、下値余地が大きく拡大しているユーロ/円の動向に注目です。
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