■中国市場悪化も、日米株のスピード調整は終盤戦突入か
中国株や中国人民元は、昨日(10月18日)、また安値を更新し、市場センチメントを再び悪化させた。

(出所:Bloomberg)
したがって、昨日(10月18日)の米国株や日経平均の反落を中国市場のセンチメント悪化の一環と見なしても、大した間違いではなかろう。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
ところで、前回のコラムでも指摘したように、そもそも今月(10月)以降の株式市場の大幅調整は、本格的なリスクオフというよりもスピード調整の側面が大きいから、米国株や日本株自体のブル(上昇)基調は、なお維持されている。
【参考記事】
●日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!(2018年10月12日、陳満咲杜)
NYダウは、10月11日(木)安値をもっていったん底を打ち、また、200日移動平均(200日線)をキープしているところがその最大の証拠となる。そして、中国株の動向に左右されやすい日経平均についても200日線を巡る攻防が続き、2万2000円の大台を守れている限り、「底割れ」の状況ではないと思われるから、スピード調整も終盤戦に入りつつあるかと思う。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
リスクオフかどうかの判断は決して容易ではないが、為替市場との連動性で考える場合は、やはり、円とスイスフランが全面高になったかどうか、また、伝統的なリスク回避先とされる商品の金(ゴールド)が買われるかどうかがひとつのバロメーターだと言える。
そして、昨日(10月18日)を含め、10月以降、株式市場の波乱があっても、リスク回避先通貨や商品の値動きは限定的だったので、前回のコラムで行った判断が維持されるわけだ。
【参考記事】
●日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!(2018年10月12日、陳満咲杜)
■クロス円の重い動きはリスクオフではなく米ドル全面高の結果
一方、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くは頭が重く、続落の市況となっている。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
これをリスクオフの前兆と捉える向きもあるが、詳細に見てみると、リスクオフより米ドル全面高の結果ではないか、という見方が浮上する。
換言すれば、外貨安による受動的な円高が大きな背景となり、円全面高の状況とはほど遠い。
ドルインデックスは95後半にトライし、今月(10月)高値の更新を果たしていくだろう。この場合、9月安値を「ヘッド」とした「逆三尊(※)」というフォーメーションの成立につながり、また、同フォーメーションの成立でドルインデックスは2018年年初来高値の更新を果たす見込みだ。
(※編集部注:「逆三尊」はチャートのパターンの1つで、「三尊型」と反対に、底を示す典型的な形とされている)

(出所:Bloomberg)
■米ドル高は、懐疑的な見方の多さに比例して長続きする!
この見方は米ドルの対極として位置づけされるユーロ/米ドルでみると、一番わかりやすいだろう。
プライスアクションの視点では、10月16日(火)のサインがもっとも重視されるから、詳細について、10月17日(水)のレポートをもって説明したい。本文は以下のとおり。
(出所:FXブロードネット)
ユーロ/ドルの切り返し、昨日の高値をもって完成された可能性が大きい。根拠は以下の通り。
まず、GMMAチャートにおける抵抗ゾーンや9月高値を起点とした全下落幅の半分押しに合致していたこと。
次に、10月12日安値を下回ったこと。同安値の割り込み、昨日罫線の「スパイクハイ」の意味合いを証左したのみではなく、昨日高値打診自体が「フォールス・ブレイクアウト」の可能性を示唆。
なにしろ、12日、15日で「インサイド」のサインを点灯、昨日同サインの上放れを一旦果たしたわけだった。しかし、結果的に反落してきたので、同上放れ自体が「ダマシ」であることを証左したわけ。ちなみに、MACDのサインもベアトレンドの継続を示唆。
総合的にみると、これから早期昨日の高値を更新しない限り、ユーロ/ドルは続落、またベアトレンドを推進してくる蓋然性が高いと思われる。
ドルインデックスの見通しと同じく、ユーロ/米ドルは早晩、2018年年初来安値を下回るだろう。米ドル高の進行は、米ドル高の継続に懐疑的な見方の多さと比例して、実に息の長いトレンドになりやすいかと思う。
■米ドル/円はメインサポートラインを維持している
米ドル/円の方は、株式市場の大波乱があったにもかかわらず、2018年3月安値から引かれているメインサポートラインを維持していることが見逃せない。
(出所:FXブロードネット)
同サポートラインが維持される限り、米ドル/円のスピード調整があっても限定的で、2018年3月安値を起点とした上昇波の継続が想定される。
ゆえに、ユーロ/円など主要クロス円の反落は外貨安が主因で、円高の傾向があっても受動的だと判断される。
リスクオフの円高ではない以上、やはり下値余地があってもガンガン拡大していく状況ではないから、前々回のコラムで指摘したように、基本的には大型保ち合いの範疇に留まるだろう。
【参考記事】
●ユーロ/円の値動きで今後の市況がわかる!? リスクオン継続で株高・円安の見通しは不変(2018年10月5日、陳満咲杜)
■日経平均年内2万5000円突破、米ドル高はむしろこれから!
中国情勢が不安定で、中国株式市場の調整は長引く可能性があるものの、前述のようにもう終盤に入っており、そろそろ反騰してくるだろう。
本格的なリスクオフでない限り、いったん底打ちが確認されれば、反騰も速いかと思われ、日経平均が2018年の年内に、2万5000円の大台を突破することを引き続き有力視する。

(出所:Bloomberg)
この見方は、やはり、米ドル/円の見通しとリンクしてみないと説得力がない。ここで強調したいのは、米ドル/円の内部構造だ。
2015年高値からの大型トライアング型保ち合い、先月(9月)にてやっと上放れを果たしたばかりなので、米ドル高のモメンタムは、むしろこれからだと言える。
(出所:FXブロードネット)
株式市場の大波乱があっても、米ドル/円の値動きが限定的だった本質的な要因は、そこにあるのかもしれない。
このあたりの検証はまた次回、市況はいかに。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)