■サウジで「砂漠のダボス」開催。記者殺害事件の影響は…
サウジアラビア人ジャーナリスト殺害事件の波紋が大きくなっていますね。
【参考記事】
●世界的に株価脆弱で、ドル/円は戻り売り! 米国は中国を為替操作国に認定するのか!?(10月15日、西原宏一&大橋ひろこ)
犯行時の音声データがApple Watchに残っていたという記事も出ていますが、実態はトルコ政府に盗聴されていたということなのでしょうね。総領事館の中での犯行は大胆というか、雑な印象です。
トルコのエルドアン大統領から見れば、アメリカと歩み寄るカードを手に入れたということでもあります。
【参考記事】
●ブランソン牧師釈放。経済制裁解除も近い!? トルコリラ/円は20円超えに向けて上昇中!(10月17日、エミン・ユルマズ)
明日(10月23日)からは、サウジで「砂漠のダボス」(Davos in the Desert)と称される国際会議が開催されます。黒幕とされるムハンマド皇太子が出てくるのか、出てくるのなら何を話すのか。トルコでは、エルドアン大統領が会議にぶつけるようにして声明を発表するようです。
日本人としては、ムハンマド皇太子と仲のいい孫正義さんが出席するのかどうかも気になるところです。
【参考記事】
●住友商事・高井裕之氏に聞く原油相場(3)驚きのサウジ大改革を進める「MBS」とは?
サウジアラビア人記者殺害事件の黒幕とされるムハンマド皇太子。「砂漠のダボス」に出てくるなら何を話すのか… (C)Anadolu Agency/Getty Images
■米中間選挙まで残り2週間。米大統領は株価を意識?
対サウジ経済制裁をトランプ米大統領が決断するのかも注目ですね。
気がつけば米中間選挙まで残り2週間。国内世論にも耳を傾けながら判断していくのでしょう。
中間選挙が終わるまでは「調査中」と、うやむやにして、結論を先送りする可能性もありそうです。
中間選挙に向けては、トランプさんが「中間所得層向けの大規模な減税を検討している」と突然のコメント。投票日(11月6日)の数日前に発表する可能性もあるようです。
株価を意識しているのかもしれませんね。米長期金利が3.2%からもう一段上昇すれば、米国株が、さらにグラっとくる可能性もありますし、そうなれば投票行動にも影響が出るでしょうし。
(出所:Bloomberg)
米長期金利の上昇については、やはり、中国による米国債売却が効いているのでしょう。金利上昇に加えてサウジ問題が深刻化すれば、株価急落の可能性もある。それは、トランプさんとしても避けたいところでしょう。
【参考記事】
●114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!?(10月4日、西原宏一)
■決算発表本格化!「業績相場」が盛り上がる可能性も
日米で業績相場が本格化してきます。米国では10月24日(水)にマイクロソフト、10月25日(木)にアマゾンやグーグル(持株会社はアルファベット)など、「GAFA銘柄」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)には注目が集まりそうです。決算発表を前に相場が崩れたので、買いやすくなったとの指摘も。いい数字には素直に反応するかもしれません。
日本の大企業・製造業は、想定為替レートが107.40円。実勢レートとの乖離が大きいため、業績の上方修正に対する根強い期待があります。サウジの問題はすぐに答えが出るわけではないでしょうから、今週(10月22日~)は決算に焦点が移って業績相場が盛り上がる可能性もありそうです。
ブレグジット交渉も結論が先送りされました。EU(欧州連合)のバルニエ首席交渉官が、「(合意は)手の届くところにある」と発言していましたし、昨日(10月21日)もメイ英首相が、「95%すでに決着している」と言っているのですが、発言と実態に乖離があるようです。
【参考記事】
●「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!(10月11日、西原宏一)
オオカミ少年のようになってきましたね。ユーロ圏ではイタリアの予算が難航しています。欧州委員会は予算案を認めるかどうか、10月29日(月)までに結論を出すとのこと。それに先立って、ムーディーズはイタリアの格下げを発表しました。
今週(10月22日~)の10月26日(金)には、S&Pも格付け見直しを発表します。
■ユーロ、トルコ、カナダで中銀会合。カナダは利上げ濃厚!?
今週(10月22日~)は、ECB(欧州中央銀行)理事会も開催されますね。政策変更は予想されていないのですが、経済見通しやドラギ総裁の発言には気をつけておきたい。
10月25日(木)は、トルコ中銀の政策金利ですが、据え置きの見通し。トルコリラについては、悪材料がひと通り出尽くして、ポジティブな材料に反応しやすくなってきたようです。
【参考記事】
●ブランソン牧師釈放。経済制裁解除も近い!? トルコリラ/円は20円超えに向けて上昇中!(10月17日、エミン・ユルマズ)
●トルコ中銀は年内にさらなる利上げが必要!? 米国人牧師の釈放期待後退で相場要注意(10月10日、エミン・ユルマズ)
10月24日(水)には、カナダの政策金利もありますね。
利上げの織り込みを見ると91%。利上げが濃厚です。
(出所:Bloomberg)
マクロ要因からはサウジ、イタリア予算、ブレグジット交渉の難航、アメリカの中距離核戦力(INF)全廃条約破棄など、リスク要因がたくさんあるのですが、為替市場はレンジですね。
■上海株急反発も、中期的な豪ドル安の見方変わらず
大きな注目は、上海株でしょう。節目だった2638ポイントを割り込んで、2449ポイントまで急落した上海総合指数ですが、先週(10月15日~)の10月19日(金)から急反発。
本日(10月22日)は、2650ポイント台まで戻しています。株価対策として、「近い将来に一連の政策措置に踏み切る見通し」との報道が出たことが下支えとなったようです。
【参考記事】
●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む(10月18日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
上海株の下落とともに下げてきた豪ドルの売りは、今年(2018年)のメイントレンドでした。これが、まだ続くのかどうか…。
中間選挙で共和党が勝利すれば、手付かずのインフラ投資に乗り出してくるかもしれない。そのとき、コモディティが上昇し、豪ドルが買われるシナリオも考えられませんか?
可能性はありますが、ペンス米副大統領が中国への強硬姿勢をあらわにしたように中国は当分、厳しい。豪州自体を見ても、10月20日(土)の下院補選で与党候補が敗退し、過半数割れへと追い込まれている。もし、コモディティが急騰する場面があれば、豪ドル以外のコモディティ通貨を買えばいいのかなと思います。
中期的な豪ドル安のビューは変わりませんが、今週(10月22日~)は、イタリア予算案の問題も抱えたユーロ/円の売りがいいかと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
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