■米利上げは2019年で終了!?
FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策の行方に、市場の関心が集まっています。
11月27日(火)に、FRBのクラリダ副議長が、「引き続き緩やかな利上げを継続する必要がある」と表明しましたが、市場関係者はこの発言を、今後も利上げは続けるというメッセージと捉えました。
ところが、翌日の28日(水)、パウエルFRB議長はニューヨークでの講演の中で、「FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は、米経済成長を加速も減速もさせない、経済にとって中立となる水準の幅広い推定レンジをわずかに下回っている」と発言しました。
11月28日(水)の講演で、現在のFF金利の誘導目標は中立水準をわずかに下回っていると発言したパウエルFRB議長。市場では2019年に1回程度の利上げで、米国の利上げサイクルが終わるとの見方が広がった。写真は2018年9月のFOMC終了後に行われた記者会見時のもの (C)Bloomberg/Getty Images News
この発言を受けて、市場では来年(2019年)1回程度で、利上げが停止されるのではないかという観測が広がりました。
【参考記事】
●米ドル/円は12月中旬に下がりやすい傾向!? ユーロ/ドルは1.13ドル割れ見据え、戻り売り(11月27日、バカラ村)
■パウエルFRB議長の真意は…?
パウエルFRB議長は10月3日(水)に、「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」と発言しており、そのときに比べると、急に弱気の発言をしたと捉えられました。
この中立という金利水準は、政策金利の3%という水準であると考えて良いでしょう。その上で、FRBは、中立金利に幅を持たせて考えるということを、パウエルFRB議長は言いかったようです。
幅をプラスマイナス0.5%と考えると、中立のレベルは2.5%~3.5%ということになります。10月の時点で中立を超えるという話をしていたときは、3%を超えるかもしれないという趣旨の話ではなかったかと思います。
※FF金利誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
しかし、今回は、中立の幅の下限である2.5%に対して、現在の政策金利の目標レンジ上限が2.25%なので、推定レンジを「わずかに下回っているだけだ」と言っているのだと思います。
■12月のFOMCがより重要に
これだけの内容を見ると、たしかにパウエルFRB議長は利上げに対して、若干、トーンダウンしているように聞こえます。一部からは、「トランプ米大統領からの圧力に屈したのではないか」という観測さえ聞こえてきています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
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ただ、まだ本心はよくわかりません。
仮に、利上げのペースを以前より弱めるということであれば、米ドル高シナリオを見直す必要も出てきますが、現段階では、断定的なことは言えません。
12月18日(火)~19日(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)が、今後を占うにあたって、より重要になってきたことだけは間違いありません。
当面はFOMCに向けて、さまざまな憶測が市場を駆け巡るのではないかと思います。当面、為替相場は、より方向感を失ってくるのではないかと考えています。
さて、それ以外に関して、今週(11月26日~)の注目は…
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