■週明けの英ポンドは上昇。でも、急落の可能性も…
11月25日(日)にEU(欧州連合)首脳会議が開催され、英国の離脱協定案が正式合意されました。
これを受けて、週明け11月26日(月)は、英ポンドが上昇しました。
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ただ、一番重要なのは、英議会での承認となります。ここで否決されるようであれば、合意なき離脱(※)となる可能性が高まり、英ポンドは急落することになります。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
英議会が承認するのかどうかは、まだ不透明です。ラーブ前英離脱担当相は「英議会は首相の案を否決するだろう」とも発言しており、まだ楽観できるような状況とはなっていません。
■FRBメンバーの発言に注目。タカ派にはなりにくい!?
本日、11月27日(火)は、クラリダFRB(米連邦準備制度理事会)副議長の講演、28日(水)にはパウエルFRB議長の講演が予定されています。
先々週(11月12日~)に、クラリダFRB副議長がハト派な発言をしたこともあり、米長期金利が3.03%台まで低下しました。パウエルFRB議長から、それに追随する発言が出てくるのか、注目されます。
(出所:Bloomberg)
株式市場が、まだ軟調なため、タカ派にはなりにくいと思いますが、利上げの打ち止めの可能性を少しでも述べるようなハト派な発言が出てくれば、米ドル安に推移することになります。
【参考記事】
●米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)
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■米ドルは12月中旬に下がりやすい!?
今年(2018年)に入ってからの米ドル/円は、株式市場やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)との相関性が無くなっていますが(相関係数が低下)、米国の金利に対しては相関性があるため、FRBによる利上げの先行きが、米ドル/円の動きを左右します。
【参考記事】
●米ドル/円は9円幅の下落を演じた昨年と同じ状況に!? 111円台半ばの下抜けに期待(11月20日、バカラ村)
(出所:Bloomberg)
季節性からは、リパトリも出やすく、米ドル高になりやすい時期のため、米ドル/円は底堅いです。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げも、ほぼ確実なため、そのことも米ドル/円を底堅くしています。
ただ、12月中旬になると下がり出すことも多く、さらに、利上げをしたときが高値になるというアノマリーもあるため、上値も限定的になるのではないかと考えています。
【参考記事】
●FOMCで利上げした後はドル/円が下がりやすい。ユーロ/ドルは下ヒゲ長く反発示唆(6月5日、バカラ村)
今月末(11月30日~)からは、G20(20カ国・地域首脳会合)が開催され、米中首脳会談も予定されています。
米中間の争いは、米中間選挙を前にして、一時的に沈静化していましたが、今月(11月)末に向けて米国の強硬姿勢が強まる可能性も高く、米ドル/円の上値を抑えることになると考えています。
■米ドル/円はトレンドレス継続か? でも、中長期的には…
大阪万博の開催が決定したこともあって、昨日(11月26日)は期待感から日経平均が上昇して、それに連れて米ドル/円も上昇しました。ただ、米ドル/円は2カ月間で3円幅、直近1カ月では2円幅しか動いておらず、膠着した推移が続いています。
(出所:Bloomberg)
今週(11月26日~)は、月末に向けてイベントが多いこともあって、動きにくいことから、まだトレンドができるようには思えず、小動きが継続しそうです。
ただし、中長期としては、米国の利上げ打ち止めの可能性が出てくれば、米ドル/円は下がるのではないかと考えています。
■ユーロ/米ドルは戻り売り。1.13ドルが重要なポイントに
ユーロ/米ドルは、イタリアの財政問題がまだ継続しており、Brexit(英国のEU離脱)も影響して、上値の重い状態が続いています。
【参考記事】
●イタリア予算案リスクは織り込み済みでも、ユーロ/米ドルに1.11ドル台ヘの下落余地!(11月13日、バカラ村)
先週(11月19日~)は、ショートカバーで1.1471ドルまで上昇しましたが、ユーロ/米ドルは売り目線のままです。
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ただし、1.1300ドルがサポートされるようであれば、チャート上は上昇しやすい形となるため、1.13ドルをしっかり下抜けるかが、重要なポイントと考えています。
(出所:Bloomberg)
G20を前にした動きにくい展開で、米ドル/円もまだ膠着すると思いますが、ユーロ/米ドルに関しては、基本的には、1.13ドルも下抜けて下がるのではないかと考えているため、戻り売りで考えています。
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