■米株高・米ドル高市況が継続される公算大
最近、為替市場の変動率が再び小さくなってきたが、総じて米ドル高の基調を保っている。ドルインデックスも米ドル/円も堅調な値動きを見せ、米国株の堅調とともに、米株高・米ドル高といった市況が継続される公算が高い。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
米ドル高の根拠について、最近の本コラムで指摘したとおり、まず、米利上げ最終局面においては米ドル高になりやすいことが、次に米逆イールドが当面杞憂であったことが、理論的な話として挙げられる。
米国株の堅調もあって、いわゆるリスクオフの円買いが当面発生しにくいことも、既述のとおりだと思う。
【参考記事】
●逆イールドを深刻に捉えすぎる必要はない!? 景気後退は早くても来年、当面ドル高維持(2019年3月29日、陳満咲杜)
●米利上げ最終局面で米ドル安になるより、米ドル高が鮮明になるのはなぜか?(2019年3月22日、陳満咲杜)
■110円以下にいったん落ちたが、短期間で回復した
米ドル/円に関して、3月22日(金)のコラムで、重要なことを記していたはずだ。それは
「今回のFOMC政策発表を受け、米ドル全体は調整してきたものの、下値余地は限定的だろう。また、米ドル/円について、110円の節目以下の終値がなければ、2019年の年初安値を起点とした上昇波がなお維持されるだろう。さらに、仮に110円を下回ったとしても、米ドル/円の調整が深い押しにならずに済む可能性は大きいだろう」
という箇所だ。
【参考記事】
●米利上げ最終局面で米ドル安になるより、米ドル高が鮮明になるのはなぜか?(2019年3月22日、陳満咲杜)
実際、3月22日(金)に大きく続落し、また、110円の節目以下で大引けとなったものの、3月25日(月)の安値は109.70円に留まり、翌日3月26日(火)の大陽線で調整波の底打ちを示唆した。
110円の節目以下の終値があったものの、短期に終わったこと自体、米ドル/円のメイン変動を示したと思う。
(出所:FXブロードネット)
プライスアクションの視点では、3月28日(矢印)の強気「リバーサル」、または「アウトサイド」のサインが重要であった。
同日のチャート自体が、「スパイクロー」のサインを点灯しながら、一目均衡表の「雲」の支持を再確認したから、より強いサインとして効いたわけだ。
したがって、その後、ほぼ一直線に上昇し、昨日(4月4日)、200日移動平均線(200日線)を再度上回ったことも大きい。
これから3月高値のトライ、またブレイクが有力視され、2019年年初来安値を起点としてV字回復し、まず、昨年(2018年)12月13日(木)高値の113.70円の打診をもたらすだろう。
■クロス円は「居心地のよい」段階。米ドル/円の支えに
米ドル/円の堅調、また、上値余地の予測について、基本的には主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の堅調なしでは心細い。現在の状況は、まさしくクロス円でも「居心地のよい」段階なので、米ドル/円の支えになっているとみる。
主要クロス円の中でも、英ポンド/円の状況は一番参考になるだろう。テクニカル上のポイントについて、昨日(4月4日)のレポートをもって説明したから、ここでも開示しておきたい。本文は以下のとおり。
(出所:FXブロードネット)
ポンド/円は強気基調を維持、また新たな上値を示唆するサインを点灯している。近々高値更新を試し、またその後も上値余地を拓く公算が高まりつつある。
まず、200日線のサポートを再三に渡って確認されたところは大きい。3月11日の大陽線(1)、強気「リバーサル」、また「アウトサイド」のサインを点灯してから切り返し、200日線のみではなく、2月22日安値に対する一時の下放れが「ダマシ」であったことを証明、「フォールス・ブレイクアウト」のサインでもあったとみる。
直近のサインとして、3月29日(2)のサインが鮮明であったでしょう。3月21日~同28日罫線で形成された「インサイド」(厳密ではないが、見方として
概ねできる)を一旦下放れ、また3月11日安値に接近していたものの、その後切り返しを果たしたわけなので、200日線のサポートを維持できた上、強気サインの再燃が期待された。
同サインの認定、3月21日、同26日や27日の高値のブレイクをもって行われ、昨日の続伸、新たな強気サインとして認識できる。GMMAにおける「鰯喰い」サインの確認と共に、近々高値再トライ、また更新を果たす見通し。
ユーロ/円では、3月高値・安値までの変動パターンは、典型的なジグザグ変動として調整波の構造を示し、3月末安値をもって調整をいったん完了した可能性がみられる。
(出所:FXブロードネット)
豪ドル/円に至っては、3月25日(月)安値(矢印)が3月8日(金)安値をいったん下回ってから切り返し、「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯してから大型保ち合い変動に復帰、目先の上値打診もあって、同保ち合いを上放れする公算が高い。この場合はまず、200日線の80.25円にトライする見通しである。
(出所:FXブロードネット)
まとめてみると、米国株の堅調とともに、円売りがじわじわ効いてくる環境にあるのが現段階の状況であるとみる。
米ドル/円について、仮に前述のように昨年(2018年)12月高値の回復があれば、長期スパンにおいてもう1つ重要なサインを点灯することになるから、次回にて詳説したい。市況はいかに。
(14:00執筆)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)