■2019年度は「株高、円安」でスタートも、上値は重い?
今週(4月1日~)から新年度入りしました。今年度も、よろしくお願いします。
新元号は「令和」に決定。今期(4~6月)は、ご祝儀相場期待もあり、期初の日経平均、米ドル/円は堅調。
【参考記事】
●新元号は「令和」! ご祝儀相場に期待!? ブレグジット注意だがドル/円は押し目買い(4月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
米中通商協議が順調に進行しているという報道も加わり、本稿執筆時点での日経平均は一時2万1787円、米ドル/円は111.58円の高値まで上昇しています。

(出所:Bloomberg)

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新しい期に入るとニューマネーがマーケットに流入し、リスクオンの様相を呈する傾向がありますが、今期もリスクオンでスタート。
しかし、今期はその流れが長く続かないかもしれません。
1月3日(木)のフラッシュクラッシュから一転して、反発を演じている米ドル円ですが、3月5日(火)に112.14円まで到達して以降は、調整局面に。
【参考記事】
●フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?
●フラッシュクラッシュのロスカット等未収金は過去3番目の規模! 25%がくりっく365から発生

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日経平均も、なかなか2万2000円台を回復せず、本稿執筆時点での日足のTDシーケンシャルはカウントダウンを点灯し、早晩の調整を示唆しています。

(出所:Bloomberg)
特に米ドル/円は、下押しした局面では本邦機関投資家からまとまった米ドル買いが出てくるものの、112円台が近づくと急速に失速。
【参考記事】
●英ポンドの運命を握る3日間! 採決次第で方向性が決まる!? 米ドル/円は当面底堅そう(3月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
新年度入りし、リスクオンの状況が継続しているにもかかわらず、112円を目前に、すでに上値が重くなっている米ドル/円は、一転して反落する可能性も高まっています。

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■IMF専務理事のコメントが早めの「セル・イン・メイ」を示唆!?
加えて、4月2日(火)のマーケットではIMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が「世界的に成長が鈍化する中、世界経済は不安定な状況にある」とコメント。
このコメントは、現時点で多くの中央銀行が緩和スタンスに移行していることを裏付けるコメントであるとも言えます。
ラガルド専務理事が指摘するように、「世界的に成長が鈍化する中、世界経済は不安定な状況にある」のであれば、5月を控え、少し早めの「セル・イン・メイ(Sell in May)」(※)が訪れる可能性も警戒する必要があるのかもしれません。
(※「セル・イン・メイ(Sell in May)」とは、元々は米国株に関する相場格言で「5月に株を売れ」という意味。5月に株が下がりやすい傾向があるためできた言葉。そこから少し意味が転じて、「5月にリスク資産が急落すること自体」を指して使われることがある)
もうひとつ、米ドル/円の上値を抑えているのが、引き続きブレグジット(BREXIT)に揺れる英ポンドの動向が不安定であることです。
■ブレグジットの膠着打開は近い?
このところ、為替マーケット全体に膠着状況を作り出しているのが、混迷を極めるブレグジットの行方。
そのブレグジットに関して今週(4月1日~)、ゴールドマン・サックスが膠着打開は近いというレポートを出している模様。
ポンドに妙味、膠着打開近い
ゴールドマンの外国為替・新興国市場戦略グローバル共同責任者のザック・パンドル氏は、メイ英首相がまとめた離脱案の代案について支持動向を探る下院の投票で、いずれも反対が賛成を上回ったことを受け、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、「大詰めの段階に差し掛かりつつある。これらの投票で支持が得られなかったとしても、進展しつつあると思う」と述べた。
出所:Bloomberg
過去2回の示唆的投票(indicative vote)において、もっとも支持を得ていたのがカスタムユニオン(customs union)、つまり、関税同盟に残留すること。これを前提に、EU(欧州連合)と一から交渉をやり直すという案が支持を集めています。
上記のパンドル氏の分析によれば、「再国民投票とパッケージ化された恒久的な関税同盟残留を含むと考えられるソフトな離脱アプローチについて、一両日中にめどが立つこともあり得る」と予想しているようです。
■メイ首相が労働党党首へ協力要請! 英ポンドは上値余地アリ
繰り返しになりますが、為替相場を長らく膠着状態に陥らせているのが、ブレグジットの行方。
その行方が、パンドル氏の分析のように一両日にメドが立つのであれば、市場関係者にとって朗報なのですが、このレポートの後、メイ英首相に動きがありました。
メイ英首相は7時間に及んだ閣議の末、危機打開のためEUの離脱期限を4月12日(金)から、さらに遅らせる必要があるだろうとコメント。
さらには秩序だった離脱のため、労働党のコービン党首との協議を提案し、同党首と協力したいと表明。
メイ英首相の労働党党首への協力要請は、場合によってEUとの関税同盟にとどまるような首相案より、かなりソフトなEU離脱の可能性を高めます。
これは、メイ英首相にとって交渉のレッドラインを大きく踏み越えることを意味しますが、産業界にとっては朗報。
コービン労働党党首はメイ英首相の申し出を歓迎し、「非常に喜んで」 会うと発言したほか、EUサイドの最初の反応も前向きなものであったようです。
これを受け、英ポンド/米ドルは1.31ドル台後半まで反発。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
本稿執筆時点では、メイ英首相と労働党のコービン党首が行った会談について、両者はともに「建設的」だったと明らかにしています。
ただ、ユンケル欧州委員長は、英国が5月22日(水)までの離脱延長を勝ち取るには同議会が4月12日(金)までに離脱協定を承認する必要があるとコメントしている模様。
加えて、コービン党首は「隠れ離脱派」であるため、彼がどこかで期待を裏切るのではないかという懸念も残ります。
しかし、これでノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)だけは避けられる可能性が高まったということで事態は好転し、英ポンドの上値余地は拡大しています。

(出所:Bloomberg)
超えるべきハードルはまだ高いのですが、膠着打破が期待されるブレグジットの行方と英ポンドの動向に注目です。
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