
■SNSで話題のノックアウト・オプションって?
「あ、今はノックアウト・オプションを使うチャンスかも」
そう思ったのは4月中旬のことだった。
ノックアウト・オプションは、IG証券が提供する新しい金融商品。FXとしくみはよく似ているが、取引開始時に「ノックアウト・レベル」=損切りラインを設定することで、FXよりも柔軟性の高い取引ができることが特徴だ。
SNSでも話題となる機会が増えているのだが、実際に取引してみないと、そのしくみや魅力、革新性が伝わりづらい。実際にどんな感じで取引するのか、見てみよう。
【作成日時:2019年5月9日→最終確認・更新日:2019年5月13日】

■「ここはカタイ!」と思ったら、使いどき!
ノックアウト・オプションの特徴のひとつがノックアウト・レベル。
「ここを超えてしまったら負け」のラインだから、逆に言えば「ここは超えない」、「この価格はカタイ」というラインが明確なときは、ノックアウト・オプションの「使い時」ともなる。

たとえば、4月中旬の米ドル/円。1円ほど上昇したあと、112円台を明確に抜けるのに苦労していた。こんなときはノックアウト・オプションを検討してみる価値がある。
「もう少し上がっても112.60円は超えずに反落するかな」とシナリオを建てたら、ノックアウト・レベルを112.60円に設定し、ベア(下落)の買いだ。

(出所:IG証券)
■ノックアウト・オプションの発注方法は簡単!
ノックアウト・オプションの発注方法は簡単だ。今回は、本番口座のスマホ専用アプリ(iPhone版)を使って発注してみた。
スマホ専用アプリから口座にログインして、ウォッチリストを開くと、「ノックアウト・オプション」がすでに登録されているはず。そこを選ぶと取引可能な銘柄が一覧表示される(※)。
(※ノックアウト・オプションはデモ口座のスマホ専用アプリでも取引を試すことができる。操作手順は次のとおり。ログイン後、画面下部のメニューから「マーケット」をタップ。同画面内の「ノックアウト・オプション」を選択し発注)
今回だったら、米ドル/円を売り方向でエントリーしたいので、選ぶのは「USDJPY ベア(下落)KO」。上昇を見込んで買いでエントリーしたいときは「USDJPY ブル(上昇)KO」だ。

(出所:IG証券)
■ノックアウト・レベルはどうやって選べばいい?
ノックアウト・オプションでちょっと独特なのが、取引レートの単位だ。ノックアウト・オプションでは、112.50円が「11250.0」と表示される。
ユーロ/米ドルの1.1200ドルなら「11200.0」だ。ようは普通の為替レート表示の小数点が省略されているだけだから、頭に入れておこう。
このノックアウト・レベルは数字を入力するのではなく、提示された中から選ぶことになる。現在レートに近いところから10銭単位で表示され、数円先まで選択できる。
ノックアウト・レベルと取引ロット数を決めると、最大損失額=維持証拠金額(必要となる証拠金額)が表示される。これは一般的なオプション取引のオプション購入額に相当するものだ。
米ドル/円の取引を例に見てみよう。今回はノックアウト・レベルを約60銭離して設定した。このとき1万通貨の取引に必要な証拠金(オプション購入額)は約6250円、この金額で約110万円分のポジションが保有できる。一方、通常のFX取引で1万通貨を取引するのに必要な証拠金は約4万3000円。この優位性については説明するまでもないだろう。
同じ1ロットの取引でもノックアウト・レベルが近ければ必要な資金は少なく済むし、遠くに設定するとより多くの資金が必要となる。ここはノックアウト・オプションの大きな特徴だ。
「米ドル/円を売りたいならFXで売ればいいじゃん」と思うかもしれないが、同じ1万通貨の売りでも、ノックアウト・レベルの設定によっては必要資金がかなり少なく済むのがノックアウト・オプションの魅力でもある。
ノックアウト・レベルと取引ロット数を入力したら、購入ボタンを押して取引完了だ。

(出所:IG証券)
■余分なコストを払わずに済ませるためのTIPS
購入ボタンには、今回の場合「69.2」と謎の数字が書いてあるが、あまり気にしなくてもいい。
念のため数字の内訳を説明しておくと、エントリーしたレートからノックアウト・レベルまでの値幅(67.2ポイント)に「ノックアウト・プレミアム」と呼ばれる手数料(2ポイント)を載せた数字だ。
ノックアウト・プレミアムは、ノックアウト・レベルに達して損切りされたときに発生する手数料。米ドル/円なら2銭相当だから短期トレードでは無視できない数字だが、回避する術がある。
ノックアウト・プレミアムが発生するのは、ノックアウト・レベルに達したとき。つまり、ノックアウト・レベルに達する前に自ら決済すれば、この手数料はかからない。
ノックアウト・オプションでは、指値や逆指値が利用できる。ノックアウト・レベルの少し手前に損切りの逆指値を置いておくだけで無駄なコストを支払わないで済む。
この場合、コストとなるのはスプレッドだけとなる。ただし通常のFXと同じように、逆指値は相場急変動時、指定レートでの約定が100%保証されているわけではない。この点も覚えておこう。
ノックアウト・オプションのスプレッドは、米ドル/円が0,6銭原則固定。そのほか、ユーロ/円が1.5銭原則固定、英ポンド/円が2.5銭原則固定、ユーロ/米ドルが0.6銭原則固定……などとなっている(※)。
(※上記通貨ペアのスプレッドは日本時間午前9時~翌日午前3時において原則固定【例外あり】)

■1ロット=1万通貨、1pipsの損益は100円
エントリー後にやることはFXと同じ。レートの変化を見ながら、好きなタイミングで決済するだけだ。
米ドル/円が1銭動いたときの損益もFXと考え方は同じ。1ロット(1万通貨)の取引なら1銭の損益は100円、1円なら1万円だ。
ノックアウト・オプションの決済方法には、次の4種類がある。

自身で損切りの逆指値を入れなくても、ノックアウト・レベルに到達すれば損切りされるため、リスク管理面ではFXよりも安心感がある。
あとは利益確定だが、指値を入れておいてもいいし、チャートを見ながら任意のタイミングで決済してもいい。損益状況を確認しながら判断していこう。

(出所:IG証券)
ノックアウト・オプションではスプレッドのほか…
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