■IG証券が「ノックアウト・オプション」をリリース
IG証券といえば、FXやCFDの取り扱い銘柄数が業界トップ水準で、FXでは主要通貨ペアのスプレッドをネオ系に迫る狭い水準で提供している会社だ。
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さらにIG証券では、PC用のウェブブラウザ版で「HTML5」に準拠した、サクサク動く新取引システムも最近リリースしている。
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このように、豊富な取扱い銘柄や最新技術に準拠した取引ツールまで、まるっと充実しているIG証券から、2018年9月11日(火)に新サービスがリリースされた。
それが、「ノックアウト・オプション」だ。

ノックアウト・オプションとは、定められた期間内に原資産価格が、ある所定の価格に達するなどの条件を満たした場合に権利が消滅するオプションのこと。IG証券が今回リリースしたものも、この条件に則ったものとなっている。
■上昇か下落かを予測し、ノックアウトレベルをユーザーが選択
IG証券がリリースしたノックアウト・オプションでは、為替だけでなく、株価指数や商品(コモディティ)も取引することが可能。
ユーザーはブル(上昇)かベア(下落)かを予測し、ノックアウトレベル(=維持証拠金)を自身で設定して発注するしくみとなっている。
ノックアウトレベルとは、FXでいうところのストップやロスカットレベル。原資産価格が一度でもノックアウトレベルに到達してしまうと、保有している対象のポジションは決済されてしまう。
また、IG証券のノックアウト・オプションは、その名のとおりオプション取引。取引期限が設けられているので、それを迎えるとポジションは強制的に決済されてしまう。
バイナリーオプションの場合、1回あたりの取引期間は最大でも数時間というように、短いスパンのものが多いが、記者がIG証券に問い合せたところ、ノックアウト・オプションの取引期間はIG証券が決めていて、最大1年ということだった。取引期間はかなり長いものとなっている。
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もちろん、取引期間内でノックアウトレベルに到達していなければ、利食いや損切りなど、自身の判断でポジションを決済することもできる。
■同じロット数でもリスク許容度によって証拠金額を選べる
ここまでIG証券がリリースしたノックアウト・オプションの概要について見てきたが、もう少し詳しく見てみよう。
以下は、ノックアウト・オプションとFXの維持証拠金を比較したもの。IG証券の公式サイトに掲載されている表だ。

1ドル=100円のときに1万通貨取引した場合、FXだと維持証拠金は4万円になる。日本では個人のFX取引は最大レバレッジが25倍に制限されており、1ドル=100円のとき、1万ドル分(=100万円分)のFX取引をするなら、その25分の1に当たる4万円の証拠金が必要という計算になるからだ。
これがノックアウト・オプションになると、自身が設定したノックアウトレベルによって、維持証拠金の数字が変わってくる。
上の例では、1ドル=100円のとき、ノックアウトレベルを99.50円に設定した場合、維持証拠金は1万通貨あたり5100円となっている。
この5100円という数字がどこから出てくるか説明しよう。
通常のFX取引で1ドル=100円のときに米ドル/円を1万通貨買ったあと、1ドル=99.50円まで相場が下がったとすると、損失は5000円になるが、上記ノックアウト・オプションの維持証拠金5100円のうちの5000円はこの金額に相当するものだ。
残り100円は何かというと、これはノックアウト・プレミアムというもの(※)。ノックアウト・オプションという特別な金融商品を取引する手数料のようなものと考えれば良さそうだ。
このノックアウト・プレミアムがかかる代わりに、相場が急変して、99.50円を突き抜けて95.00円まで一気に下がるような驚くべき急落が起こったケースでも、損失が5100円より拡大することはない。それをIG証券が保証している。
(※ノックアウト・プレミアムは一定ではなく、相場状況によって変化する)

通常のFX取引で、もしもこのレベルの急落が起これば、ストップロス注文を入れておいても、それはスベって不利なレートで約定するだろうし、場合によっては強制ロスカットも間に合わず、証拠金以上の損失が発生することが可能性としてはある。
つまり、FXだとフルレバレッジ(25倍)で1万通貨あたり4万円の維持証拠金がかかるところ、IG証券のノックアウト・オプションでは、自身が設定するノックアウトレベルによっては、もっと少額の維持証拠金で取引できるということなのだ。
そして、上の条件でポジションを保有した場合のレバレッジを計算してみたところ、なんと196倍になった…。
■リスク限定で取引可能。しかもスリッページなし!
結局、ノックアウト・オプションは、少し長ったらしい表現になるが、以下のような特殊なFX取引と考えることもできそうだ。
あらかじめ一定の水準にストップロス注文を必ず入れる必要があり、そこにレートが到達したら少しも滑ることなくスパッと約定するしくみが備わった取引が可能なFXのようなもの。
ちなみに、IG証券のノックアウト・オプションでは、はじめに設定したノックアウトレベルに達した段階で保有しているポジションが強制的に決済されるので、維持証拠金以上の資金が口座に入っていなくても、ノックアウトレベルまではポジションを保持し続けることができる。
ただし、ノックアウト・オプションでは、発注した段階でノックアウトレベルは固定されるので、あとから変更することはできない。
たとえば原資産価格から近い水準にノックアウトレベルを設定した場合、維持証拠金は少額で抑えられるが、ノックアウトレベルまでの水準が狭くなってしまうため、少し動いただけでノックアウトレベルに到達してしまう場合もあり得る。この点についてはご注意を。
次にノックアウト・オプションにかかる…
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