■米国株は上昇トレンドが維持される公算大
次に、昨年(2018年)から米ドル/円の変動は、日米金利差よりも米国株の高安との連動性を強め、現在もその相関性を維持しているようにみえる。
米国株に関しては、米中貿易戦争の悪化があってもブル(上昇)トレンドが維持される公算が大きく、長期戦に突入した米中対抗の材料に振りまわされるものの、トレンド自体がむしろ強化される可能性がある。
繰り返し指摘してきたように、マーケットの値動きは、一見諸材料によって形成されるように見えるが、本質的には相場自体の内部構造によって決定されるから、米中対抗の激化でトレンドが修正されるというよりも、米中対抗で米利上げ休止の長期化、また場合によっては利下げの選択肢などが協議される可能性も大きく、むしろすでに確認されているブルトレンドをより強化していく可能性が高い。
■米中対抗という材料が、悪材料とは限らない
米国株の史上最高値更新は、三大指数のNYダウのみまだ確認されていないが、ブル基調の安易な崩れが想定されにくい以上、NYダウの後追いが確実視され、目先の反乱は、むしろ出遅れたロング筋にとってチャンスと見なされるべきであろう。
(出所:Bloomberg)
つまるところ、米国株が崩れない限り、円高の余地があっても限定的であり、また米中対抗の激化を理由に、日本政府の消費税増税見送りや日銀の一段金融緩和など思惑も一層出やすいから、市場コンセンサスにおいても、米中対抗という材料が悪材料とは限らない。
この意味では、足元の円高、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を含め、出遅れた円売り筋にとって、そろそろ仕掛けるチャンスが近いかもしれない。
もっとも、日経平均も米ドル/円もいつものように「打たれ弱い」習性がある。米中紛争の当事国、つまり米国や中国より、日経平均や米ドル/円が敏感に動く傾向自体が「大袈裟」で、また「行きすぎ」と思われる。
ちなみに、執筆中の現時点では、日経平均も米ドル/円も昨日(5月9日)終値よりマイナスで変動を維持しているが、上海株は後場がオープンしてから一時2%以上の上昇幅を達成した。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
最後に、対中関税引き上げが実施されたが、米中協議自体が続いているので、何らかの合意があれば、米国株も大きく反騰するだろう。
では、なぜ合意ありと予想するかと聞かれると、カギはやはり今回「ご乱心」した習近平氏にある。このあたりの話はまた次回、市況はいかに。
14:20執筆
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