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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

トランプ砲で米ドル/円は窓開けスタート!
米中交渉決裂なら米国株は総崩れに…!?

2019年05月06日(月)14:10公開 (2019年05月06日(月)14:10更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■トランプ砲炸裂! 米ドル/円は窓開けスタート

今朝(日本時間5月6日早朝)は驚きましたね。

トランプ米大統領のツイートですね。中国からの輸入品2000億ドル相当に対する関税を10%から25%へと引き上げると警告しました。

トランプ大統領はツイッターで、中国からの輸入品2000億ドル相当に対する関税を10%から25%へと引き上げると警告した (C) Chip Somodevilla/Getty Images

トランプ大統領はツイッターで、中国からの輸入品2000億ドル相当に対する関税を10%から25%へと引き上げると警告した (C) Chip Somodevilla/Getty Images

この衝撃で今朝(日本時間5月6日早朝)の米ドル/円は、窓を開けて110円台後半からのスタートとなりました。

米ドル/円 30分足
米ドル/円 30分足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足

いったんは切り替えしたのですが、「中国が8日からの閣僚級協議を取りやめることを検討」とウォール・ストリート・ジャーナルが報じたことが第2の衝撃波となり、米ドル/円は、一時110.30円近辺まで円高が進行しました。

フラッシュ・クラッシュへの警戒が高まっていた10連休の最終日に出たトランプさんのツイート。

 

5月8日(水)からの閣僚級協議で中国に譲歩を求める狙いがあったと思われますが、これが本当に取りやめとなり米中交渉破談が現実となるなら、今まで高かった市場が崩れるのかもしれません。

 

とくに要注意なのが、ナスダック総合指数やS&P500が最高値を更新していた米国株でしょうか。5月に入り、セル・イン・メイが警戒される時期でもありますし……。

【参考記事】
10連休中は月曜早朝に要注意! フラッシュクラッシュが起きれば米ドル/円の買い場に!?(4月22日、西原宏一&大橋ひろこ)

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足

(出所:Bloomberg)

S&P500指数 日足
S&P500指数

(出所:Bloomberg)

米ドル/円のチャートはかなり崩れた形になりました。日本の10連休が明ける明日(5月7日)からは本邦勢が買ってくるとは思うのですが…。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

■「リスクオフの円買い」は短命に終わるか

先週(4月29日~)は米雇用統計やFOMC(米連邦公開市場委員会)もありました。


FOMCでは利下げ期待が後退し米ドルが買われましたが、米雇用統計は賃金上昇率と平均時給の伸びが悪く、直後に発表されたISM非製造業景況指数も予想より低い数字。米ドルが軟化しました。

 

先週(4月29日~)は米ドルが主役でしたが、今朝(日本時間5月6日早朝)のトランプさんのツイートで「円買い」が主役になるでしょうか

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

「円高・米ドル高」ですね。このところ「リスクオフでの円買い」は長続きしませんから、今回もそうだろうと考えています

イギリスでは統一地方選挙もありました。与党が歴史的大敗、野党第一党の労働党も議席を減らし、EU(欧州連合)残留や2度目の国民投票を主張する自由民主党が大躍進


この結果を受けて、英ポンドが買われています。再度の国民投票への期待、ということでしょうか。

【参考記事】
ブレグジットが12カ月間の「柔軟な延長」となる確率75%!? 英ポンド高を予想するが…(4月10日、松崎美子)

ロジックとしてはそうなのでしょう。4月の英ポンドはイベント満載でしたが、結果としてレンジ。


とはいえゴールドマン・サックスをはじめ、いまだ強気な見通しの金融機関も多く、「1.2850ドルを割らなければ上昇基調継続」との見方が目立ちます。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足

■銅の急落は「炭鉱のカナリア」か

明日(5月7日)はRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])、あさって(5月8日)はRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])と、オセアニア通貨の政策金利発表が続きますね。

現時点での利下げ織り込みは、豪ドルが49%、NZドルが53%。ともに利下げを完全に織り込んだ状態とは言えません。


個人的には、豪ドルは利下げの可能性が強いと考えており、RBAが下げればRBNZも下げざるを得ないでしょう。

【参考記事】
GW相場が米ドル/円を買う好機になるか!? 利下げ予想のあるNZドルは売り継続で!(4月18日、西原宏一)
令和とともに、円高から円安にシフトか? 平成の終焉間近。米ドル/円相場を振り返る(4月25日、西原宏一)

仮に株式市場や米ドル/円が大きく崩れるなら、先行していたことになるのが原油や銅。


トランプさんは連休前、サウジアラビアなどへ増産要請を行なったとの報道で原油価格は崩れていました。


また、先週(4月27日~)は銅価格が急落しています。トランプさんが2兆ドルのインフラ投資法案を検討すると、コモディティ(商品)市況にとってポジティブなニュースが流れていたにもかかわらず、です。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足

(出所:Bloomberg)

銅先物 日足
銅先物 日足

(出所:Bloomberg)

問題は株式市場でしょう。株価が続落するようだと、米ドル/円の押しも深くなりそう。本日(5月6日)は英国がお休みのため、今週(5月6日~)前半の株式市場を注視したいですね

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

■オセアニア売り、相手通貨は株次第

週末には北朝鮮も不穏な動きを見せていましたね。

イランやロシアを含め、水面下で何かが動いている気配はありますね。安倍首相が「無条件で」日朝首脳会談開催の意向を示したのも、何か起きていることの裏返しだと思います。それが為替市場へどう影響するかは、まだわかりませんが。

今週(5月6日~)の戦略はどう考えますか。

オセアニア通貨の売りでしょうか。利下げという材料があり、また米中破談でリスクオフからの株安が続くならオセアニア通貨にネガティブですし、そうでなくとも上海株は重い。

上海総合指数 日足
上海総合指数 日足

(出所:Bloomberg)

株が落ちれば対円、そうでなければ対米ドルでオセアニア通貨を売りで回していきたいと思います。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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