■米中通商交渉、合意間近じゃなかったの!?
注目された米中通商交渉ですが、閣僚級の交渉が続いている中、トランプ米大統領やその周辺、あるいは中国側から、楽観的な発言が続いていたことから、うまく合意に至るとの見通しが大勢を占めていましたし、私もそう思っていました。
【参考記事】
●米ドル/円の112円台は短期的な高値圏に!? 米ドル高傾向なのは他通貨よりマシだから(4月25日、今井雅人)
●米ドル/円は110~112円のレンジトレードで。リスクオフ回避でも楽観できない理由は?(4月11日、今井雅人)
●米中貿易交渉の合意期待でリスクオンだがドル/円は右往左往!? 狙いはユーロ/ドル!(4月5日、今井雅人)
しかし、5月5日(日)に、トランプ米大統領が突然、お得意のツイッターで、以下のようなツイートをしたことで、雰囲気が一変しました。
「この10カ月間、中国は500億ドル(5兆5000億円)相当のハイテク製品に対して、米国に25%の関税を支払っている。そして、2000億ドル(22兆円)相当の他の物に対して、10%の関税を払っている。これらの支払いが、米国の好景気の一部要因だ。
この10%の関税は、金曜日(5月10日)に25%となる。中国から米国に輸出される3250億ドル(36兆円)相当の追加の物に対しては、関税がかかっていないが、近い将来、これは25%に上がるだろう。
関税は、米国内の製品コストに少しの影響しか出ておらず、ほとんどは中国が耐えている状況だ。中国は交渉しようとして、貿易協定の進み具合が遅すぎる。これではダメだ」
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■土壇場で中国側の姿勢が一変したから?
どうして、こうなってしまったのか、いろいろ聞いてみたところ、どうやら最後の段階になって、2つの点が問題になったようです。
1つ目は、知的財産権の件。
米国のIT企業などが、中国でビジネスを始める際には、内容をオープンにして業務の許可申請を取らないといけないことになっていますが、これが技術移転につながるとして、米国側が法改正を含めた改善を求めています。
2つ目は、産業補助金の件。
中国は国家戦略として、ICT(情報通信技術)など、今後、重要となる産業の育成のために、企業に対して巨額の補助金を出して支援しています。これが、WTO(世界貿易機関)のルールに違反するとして、米国は中国に対して削減、あるいは撤廃を求めています。
合意文を作っている間に、この点は、中国側も合意していたのに、土壇場に来て、この2つを合意文書から外してくれと要求してきたようです。背景には、中国共産党幹部からの横ヤリがあったとも言われています。
中国側が土壇場で知的財産権と産業補助金の件を合意文書から外すように要求してきたことが、関税引き上げ措置につながったようだと今井氏は指摘。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
さて、トランプ大統領は…
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