■2011年安値から2015年高値までの強気相場が再び!?
ブル構造の根本は、2011年安値75.55円を起点とした長期スパンにおける米ドル/円の構造にある。
本コラムが繰り返し指摘してきたとおり、2011年の歴史的な円高から一転して円安時代に入り、その第1弾として2015年の高値125.86円まで大きく上昇したわけだ。
【参考記事】
●度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円のシナリオを再考、考えに考え抜いた結論は?(1月11日、陳満咲杜)
●なぜ、2008年安値を境に米ドル安の時代は終わったのか? リーマンショックの再来は?(5月24日、陳満咲杜)
そして、2015年から今年(2019年)年初の安値まで大型トライアングル型の保ち合いを形成していたが、経過する期間は2011年安値から2015年高値までの上昇期間とほぼ等しいから、この保ち合いもすでに完成されたはずだ。
ゆえに、米中対立の深刻さが一段と増している目下でも、米ドル/円は年初来安値に接近できず、また、年初来安値の更新なしという筆者の見方が証明されれば、これから地合いの改善を図り、その後、ブル基調への復帰を果たすだろう。
(出所:TradingView)
前記トライアングル型保ち合いの上限は、右肩下がりで切り下がっており、打診の時期にもよるが、場合によっては110~111円台の再打診でブレイクを果たす可能性もある。材料次第で、一気にブレイクしやすいのではないかと見る。
2011年安値を起点とした強気な相場変動は、まず、大型N字型と想定されやすいから、仮に何らかの材料で一転して円安トレンドへ動き出したら、2011年安値から2015年高値までの強気な相場変動に等しいトレンドを形成していくとも推測される。
したがって、長期スパンで考えれば、目下の円高はむしろ逆張りの好機と言えるだろう。もちろん、絶対的な水準はないから、あくまで相対的な視点である。
■米中協議の再開や何らかの合意への思惑で相場は逆転か
同じ見方に基づくと、目下の米ドル/円の安値保ち合いも解釈しやすいかと思う。
米ドル/円は、2019年の年初来安値を起点とした全上昇幅の61.8%押し前後に留まっているから、このまま維持できれば、いずれ反落波の終焉につながる。そして、徐々に地合いの改善を図って、その後、ブル基調への復帰を果たす公算だ。
(出所:TradingView)
前記のように、材料次第ではこのような逆転が急速に行われる可能性もある。では、想定される好材料は何かあるだろうか。
米利下げ以外で相場の逆転をもたらす可能性があるのは、米中協議の再開、また、何らかの合意(暫定でも)に達する可能性ではないかと思う。
対メキシコ関税切り上げが見送られたように、相場はこういったサプライズ材料に「弱い」、というか、そもそも想定されていないからサプライズとなって、大きな反応を示すのだろう。
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