■ブレグジット強硬派内閣誕生で、英ポンドの下値余地拡大
先週(7月22日~)に続き、今週(7月29日~)も、英ポンド/円は続落。
一時、131.61円まで下落し、フラッシュ・クラッシュ時に到達した安値を抜いて今年(2019年)の最安値を更新するも、いったん調整で反発。本稿執筆時点では132.30円レベルで推移。
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英ポンド/米ドルは、一時1.2101ドルまで下落、ユーロ/英ポンドは0.9190ポンドまで急騰と、英ポンドは主要通貨に対して全面安となりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
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その英ポンド下落の要因は、前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、ボリス・ジョンソン氏が首相になったこと。
【参考記事】
●ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任。英国の合意なきEU離脱懸念が高まる!(7月25日、西原宏一)
そして、ブレグジット強硬派内閣の誕生により、英ポンドの下値余地が拡大しています。
【参考記事】
●新英首相ボリス・ジョンソンってどんな人? 合意なき離脱を呼ぶ!? ナルシストの正体!(7月30日、松崎美子)
西原氏は、ボリス・ジョンソン氏(写真中央左)の首相就任が英ポンドの下落要因だと指摘。ブレグジット強硬派内閣の誕生により、英ポンドの下落余地が拡大しているという (C)WPA Pool/Getty Images News
■合意なきEU離脱に関する発言は止まらず…
そのブレグジット強硬派内閣ですが、組閣以降、合意なき離脱に関するコメントを繰り返し表明しています。
まず、ボリス・ジョンソン首相は、ブレグジットを巡り妥協するかどうか、また合意なき離脱を回避できるかどうかは「EU(欧州連合)次第だ」とコメント。
さらには「EUが妥協できないのであれば、合意なき離脱に備える必要があるのは明白だ」とウェールズで表明。
一方、ゴーブ国務相(ランカスター公領相)は、「今や、合意なき離脱は極めて現実的な可能性だ」と指摘しました。
このように、英国政府が何度となく、合意なき離脱の可能性についてコメントしているため、英ポンドの下値余地は拡大せざるを得ません。
(出所:Trading View)
加えて、ボリス・ジョンソン首相は合意なき離脱に向けて予算を確保している模様。
ジョンソン氏「合意なき離脱」にさらに2700億円-決意揺るがず
英財務省は7月31日、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」に備えるため、21億ポンド(約2780億円)を新たに確保すると発表した。
出所:Bloomberg
■英ポンド/円は目先125円、中期的に120円へ
そして、英国の中央銀行であるBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])も、合意なき離脱に備えて「利下げ」へシフトするとの観測が増えてきました。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)によれば、11月7日(木)に開催されるBOEの金融政策会合での0.25%の利下げ織り込み度は34.7%まで上がってきています。
こうした環境下、英ポンド/米ドルの下値余地は大幅に拡大中。
(出所:Trading View)
加えて、パウエル議長のマーケットとの対話の失敗により、仮に米国株が軟調に転ずれば、米ドル/円も下落を開始します。
結果、英ポンド/円は続落する公算が高い状況が続いています。
合意なき離脱懸念の拡大と、BOEがハト派に転ずる可能性などから、英ポンドの上値は重いまま。
見通しは変わらず、英ポンド/円は125円、中期では120円に向けて続落するのではないでしょうか?
【参考記事】
●ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任。英国の合意なきEU離脱懸念が高まる!(7月25日、西原宏一)
ボリス・ジョンソン首相とブレグジット強硬派内閣誕生に呼応して続落する、英ポンド/円の動向に注目です。
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