■FOMCでは予想どおり0.25%の利下げが決定!
今日から8月。7月は非常に好調だったのですが、野球選手と同じで、いつもうまく行き続けるとは限りません。気を引き締めてやっていきたいと思うので、引き続き、よろしくお願いします。
さて、昨日(7月31日)の米国では、注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。
政策金利は予想どおり0.25%の利下げで、一部の人が期待していた0.5%の大幅利下げとはなりませんでした。

※誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
また、9月末に予定されていたテーパリング(※)の停止を前倒しするかもしれないとの見方がありましたが、こちらは2カ月前倒しして、8月1日(水)をもって停止することを決めました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●107円台前半からの米ドル/円反発予想が的中した理由は? 7月FOMCの焦点はここ!(7月25日、今井雅人)
●いよいよ運命のFOMC! 米利下げが実施されたらドル安? ドル高?(7月26日、陳満咲杜)
●主要国の中銀が通貨安合戦へ!? FOMCの注目点と米ドル/円の今後の行方を予想!(7月30日、バカラ村)
■FOMC慎重な判断をトランプ大統領が非難!?
そして、一番注目が集まったのは、声明文の内容です。そこに、次の利下げに関して何らかの示唆があるのかどうかがポイントでした。
その部分に関しては、将来のさらなる金融緩和を示唆するような内容はなく、将来の金利の調整に関しては、「これから出てくる経済指標などをよく分析した上で判断する」という、とても慎重な言い回しになりました。

※ザイFX!にて編集
(出所:FRB)
こうした一連の慎重な判断に対して、トランプ米大統領は「失望した」と激しく批判しています。
....As usual, Powell let us down, but at least he is ending quantitative tightening, which shouldn’t have started in the first place - no inflation. We are winning anyway, but I am certainly not getting much help from the Federal Reserve!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 31, 2019
■中央銀行の矜持を示したFRB
個人的に言わせてもらえば、米中貿易協議はまだこれからで、しかし、足元の経済指標は好調なわけですから、今後の緩和姿勢を求める方が、本当はおかしいです。
FOMCは当たり前の判断をしただけだと、私は思っています。そういう意味においては、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長を含め、FOMCのメンバーは、中央銀行の矜持を示したということになるではないでしょうか。

約10年半ぶりの利下げを決定したFOMC。大幅な金融緩和を求めていたトランプ大統領からは非難を浴びているが、今井氏はFOMCは当たり前の判断をしただけで、中央銀行の矜持を示したと指摘。写真はパウエルFRB議長 (C)Bloomberg/Getty Images News
■FOMC後の流れは続かない!?
FOMCの結果発表後は、金融緩和の姿勢が消極的だったことを背景に、株安・短期金利上昇・米ドル高の展開が進んでいます。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 15分足)
極めて自然な反応を、市場はしていると思います。その上で、今後の相場展開について、考えてみたいと思います。
確かに、目先、すぐに追加緩和観測が出てくる可能性はなくなってきました。そういう意味においては、FOMC後の相場の流れが、今後も続くと考えたくなるところです。
しかし、私はそこまでは、現状では考えられません。
まず、少なくとも米国は金利の引き下げを実行したわけで、この結果、米ドルと他の主要通貨との金利差は縮小しました。それは、米ドル高の阻害要因となってくると思います。
今回は、市場が期待し過ぎていた反動だと考えるのが、より自然ではないかと私は考えています。
【参考記事】
●市場の過剰反応は利益を上げるチャンス! 米ドル/円は当面、逆張り戦略が有効か?(7月11日、今井雅人)
■ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルの戻り待ちで
それに加えて、これからまた、政治的なイベントも出てきます。代表的なものは、米中貿易交渉と日米貿易交渉です。
米中に関しては、中断されていた閣僚級協議が再開されました。まだまだ、両国の間にはかなりの隔たりがあるようなので、予断を許しません。
国内では、参議院選挙が終わったので、これから日米貿易交渉が本格化していきます。心配なのは、交渉途中におけるトランプ米大統領の不規則発言でしょう。交渉が難航すれば、円相場に言及したりすることも考えられます。注意が必要です。
【参考記事】
●FOMC前までレンジ相場か。でも、今後は円高圧力がかかりやすい。そのワケとは?(7月19日、今井雅人)
全体的な相場観としては、急激な米ドル高にはならないものの、好調な米国経済と低調な欧州経済を反映して、徐々に対ユーロ、対英ポンドなどで、米ドルがじり高になっていくと考えています。
ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルでの、戻り売りのチャンスを狙いたいと考えています。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
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