■今週は重要イベントが目白押し!!
今週(7月29日~)は連日、重要イベントが続きます。
まず、本日(30日)は日銀金融政策決定会合。そして30日(火)~31日(水)はFOMC(米連邦公開市場委員会)と、米中閣僚級協議があります。8月1日(木)はスーパーサーズデー(※)で、翌2日(金)には米雇用統計の発表があります。
(※編集部注:「スーパーサーズデー」とは、英MPC(金融政策委員会)の金融政策発表と四半期インフレレポート公表、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])総裁の会見が重なる日のこと)
今日(30日)と明日(31日)で、日米の金融政策会合がありますが、先週、7月25日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会がありました。
直前に発表されたドイツのIFO企業景況感指数が悪く、ECB理事会での利下げ予想も、少数ですが出ていました。
しかし、結果は据え置きとなり、瞬間、ユーロは上昇しました。ただ、声明では先行きの政策金利を「2020年半ばまで、現行水準もしくはそれを下回る水準にする」に変更され、ドラギECB総裁は「大規模な金融緩和が必要」と発言。利下げや資産買い入れを再開する用意があることも示唆しました。
7月25日、ECBは政策金利を「2020年半ばまで、現行水準もしくはそれを下回る水準にする」とし、フォワードガイダンスを変更。さらにドラギECB総裁は「大規模な金融緩和が必要」と発言し、利下げや資産買い入れを再開する用意があることも示唆した (C)Bloomberg/Getty Images
■ユーロは年初来安値を更新。中銀の緩和合戦に!?
これを受けてユーロは下落し、ユーロ/米ドルは今年(2019年)の安値を下抜け、1.1102ドルまで下がりました。
しかし、ドラギ総裁はその後に、「経済は依然として強い兆候がある」、「利下げ幅や資産買い入れについては議論しなかった」とも発言したことから、ユーロは反発し、ユーロ/米ドルで1.1188ドルまで上昇しました。
(出所:TradingView)
反発はしましたが、ECBはハト派で景況感も悪いため、ユーロを買っていくような状況でもありません。
【参考記事】
●消去法的な米ドル買いは行き過ぎている!? 米ドル/円は105円台見据えた戻り売りで!(7月23日、バカラ村)
RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])による利下げ時期の前倒し観測から豪ドルも売られており、主要国の中銀は緩和合戦となっています。
(出所:TradingView)
通貨安合戦でもあるため、ユーロの下げも続いていない状況です。
■FOMC利下げ幅が0.25%と考える理由は?
今週(7月29日~)はイベントが多いですが、一番重要なのは、明日(31日)のFOMCになります。
利下げ幅に関しては、これまで、0.25%か0.5%かで何度も振れる動きがありましたが、トランプ大統領の「小幅な利下げでは不十分だ」などの発言もあり、0.5%の利下げ予想も、少数ですがあります。
0.25%の利下げは市場に織り込まれていますが、0.5%の利下げは完全には織り込まれていないため、可能性は非常に低いと考えていますが、0.5%の利下げとなれば、米ドル安に推移することになります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
ただ、米国株は堅調で、経済指標も悪いものばかりでなく、良いものもあり、という今の状況で、0.5%の利下げは行き過ぎではないかと思います。
そのため、0.25%の利下げが行われると思います。
【参考記事】
●ハト派なECB。GPIF動けばユーロ/円下落!? いろいろあるが、何はともあれFOMCに注目!(7月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
●いよいよ運命のFOMC! 米利下げが実施されたらドル安? ドル高?(7月26日、陳満咲杜)
●107円台前半からの米ドル/円反発予想が的中した理由は? 7月FOMCの焦点はここ!(7月25日、今井雅人)
■米ドル/円は戻り売り目線のままで!
0.25%の利下げ自体は織り込まれていますが、0.5%の予想も少数あるため、発表直後は、やや米ドル高に推移するのではないかと思います。
そして、年内の残りの利下げ回数に焦点が移りますが、もし、利下げがしばらくないような発言になれば、株式市場は崩れる可能性が高いと思いますので、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長も利下げの可能性を残したままにすると思います。
市場は0.25%の利下げを織り込み済み。焦点は年内の利下げ回数に移ることが予想されるが、パウエルFRB議長は株式市場にも配慮して、利下げの可能性を残したままにするとバカラ村氏は予想している (C)Bloomberg/Getty Images News
そうであれば、米ドル安へ推移するのではないかと考えています。
米ドル/円も、これまでと変わらず、戻り売り目線のままです。
【参考記事】
●消去法的な米ドル買いは行き過ぎている!? 米ドル/円は105円台見据えた戻り売りで!(7月23日、バカラ村)
(出所:TradingView)
■英ポンドは、まだまだ軟調な展開が続きそう
昨日(7月29日)は、英ポンドが独歩安の展開となりました。
英国のボリス・ジョンソン新首相は「戦時内閣」を設置し、離脱強硬派の6人を閣僚に選任しました。
これで内閣の意思統一を図っており、合意なき離脱への可能性も高まっています。
【参考記事】
●ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任。英国の合意なきEU離脱懸念が高まる!(7月25日、西原宏一)
英国の新首相に就任したボリス・ジョンソン氏。離脱強硬派の6人を閣僚に選任したこともあり、市場では合意なき離脱への可能性も高まっていると考えられている (C)Justin Sullivan/Getty Images
また、EU(欧州連合)が現在の交渉姿勢を変えない場合は、合意なき離脱に向けて準備するとの発言もあって、市場は合意なき離脱に備えるために英ポンドを売っている状況です。
英ポンド/米ドルでは、約2年4カ月ぶりの安値水準である、1.2212ドルまで下がりました(※)。
(※編集部注:本記事の寄稿後、7月30日(火)の東京時間に英ポンド/米ドルは一時、1.2162ドル付近まで下落した)
(出所:TradingView)
英ポンドが上昇するのは、ショートカバーぐらいで、新たに買いを作っていくような状況ではなく、軟調な展開がまだ続きそうです。
■株式市場はまだ底堅いけれど…
合意なき離脱に備えて、英ポンドは軟調ですが、株式市場は、まだ底堅い推移をしています。
(出所:Bloomberg)
各国中銀が緩和姿勢ということもあり、底堅いですが、本当に合意なき離脱に備えるのであれば、株式市場も下がってしまうことになります。
その点からも、米ドル/円の上値は重くなるのではないかと考えています。
【参考記事】
●消去法的な米ドル買いは行き過ぎている!? 米ドル/円は105円台見据えた戻り売りで!(7月23日、バカラ村)
●米ドル/円は中期的に105円台へ下落かも。参院選後にトランプ大統領が日本に圧力!?(7月16日、バカラ村)
●ドル/円の大きな流れは戻り売り。利下げはいつ? パウエル議長の議会証言に注目!(7月9日、バカラ村)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)