■予想以上にハト派なECB。ボリス首相誕生で英国は…?
先週(7月22日~)はECB(欧州中央銀行)が動きましたね。
マイナス金利を深堀りする可能性を示唆するだけでなく、昨年末に終了すると決めたばかりの量的緩和を再開する計画も示しました。
ドラギECB総裁は経済見通しについて「悪くなる一方」と発言しましたし、9月の利下げだけでなく量的緩和の再開についても示唆するなど、予想以上にハト派だった印象ですね。
そして、今週(7月29日~)は7月31日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)を挟んで、7月30日(火)に日銀、8月1日(木)にはBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])と、日米英で中央銀行の政策発表が続きます。
まず英国から行くと、先週、ボリス・ジョンソン首相が誕生しました。
就任演説では「10月31日(木)にEU(欧州連合)を出る。『もし』も『でも』もない」と明言するだけでなく、ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)でも構わないとも話しています。
ノーディールとなる可能性が、グッと高まってきた印象ですね。
【参考記事】
●ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任。英国の合意なきEU離脱懸念が高まる!(7月25日、西原宏一)

7月24日(水)、英国の首相に就任したボリス・ジョンソン氏。就任演説では合意なき離脱でも構わないと語った (C)Justin Sullivan/Getty Images
■FOMCが米株崩落のトリガーとなるか
ボリス首相の誕生がBOEの政策判断に影響を与えることもあるでしょうか?
今回の利下げ織り込みはゼロですし、9月もわずか6%。ただ、年末になると50%近くまで上昇します。
つまり、10月31日(木)にノーディール・ブレグジットとなれば、その後に利下げに動く可能性が高いと市場は見ていることになります。
米国のように予防的利下げに動くことはないと見られているわけですね。
FOMCは今回、25bp(0.25%)の利下げがコンセンサスです。
そうなるのでしょう。しかし、今回で利下げが終わるわけではありません。
利下げサイクルがいつまで続くのか。金利先物市場では1.75%程度までの利下げがあると予想されています。
7月31日(水)のFOMCは何がポイントになりますか?
注目しているのは米株、とくにNYダウの動向です。
繰り返しになりますが、今月(7月)の米株市場は50bpの利下げを織り込んで史上最高値を更新し、2万7000ドルを上抜いていきました。
それが25bpの利下げとなり、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が記者会見でうまく市場とコミュニケーションが取れないようだと株が崩れる可能性も高まります。
その場合、リスクオフですから為替市場ではクロス円の下落が顕著になるのでしょう。
【参考記事】
●NYダウがブルトラップに!? 米株反落は今週始まるかも…本格的な米ドル安も到来か?(7月22日、西原宏一&大橋ひろこ)

7月31日(水)のFOMCの結果公表後にパウエルFRB議長の記者会見が行われる。パウエルFRB議長がうまく市場とコミュニケーションを取れないようだと株が崩れる可能性も… (C)Bloomberg/Getty Images News
(次ページでは、日銀やGPIF、今週の見通しの話題が…)
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