■ユーロ/円の年初来安値は米ドル全面高が最大の要因
そして、「米ドル/円の上放れがいったん失敗したから、ユーロ/円の2019年年初来安値がもたらされた」という見方は間違ったものとは言い切れないが、本質的には米ドル全面高が最も大きな原因や背景になるだろう。
(出所:Bloomberg)
米利下げ後、ドルインデックスは一気に2019年年初来高値を更新、米ドル高の受け皿としてユーロ安がもっとも確実なので、ユーロ安がもたらした円高の側面はより大きかっただろう。
(出所:Bloomberg)
英ポンドの場合は合意なきEU離脱懸念もあって、ユーロより先に下値更新していたから、英ポンド/円の下値トライがより激しかったというわけだ。
(出所:Bloomberg)
■「トランプ氏の対中追加関税でリスクオフ」説には違和感
米中貿易協議がなかなか進まず、という事態は、本来はサプライズではなかったはずだ。
中国共産党政府はトランプ氏再選の有無を見極めたいから、最初から「牛歩戦術」にこだわり、時間稼ぎのため、協議に応じるふりをしているだけだと見られる。
トランプ氏はそれに腹を立て、追加関税を示唆したわけだが、市場がそれに驚いたからリスクオフに転じた、という言い方には違和感がある。
繰り返し指摘してきたように、そもそも米国株が歴史的高値を更新し続けている状態において、本格的なリスクオフはあり得ない。
主要クロス円の2019年年初来安値更新は、米ドル高の結果としての外貨安が主因だったことは明らかな上、トランプ氏による「ご乱心」はもはや「定番」であり、マーケット波乱のきっかけにはなり得るものの、昨日(8月1日)の大波乱をもたらすほどにまで効くとは限らないはずだ。
米国株にしても、米長期金利や為替にしても、変動率を急伸させ、波乱となっている背景は、やはり市場心理の揺れが一番大きいのではないかとみる。
実際、トランプ氏の対中追加関税発言前から米国株はすでに大きく反落していたので、トランプ米大統領の苛立ちはマーケットの変動率を拡大させたにすぎない。
(13時30分執筆)
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