■米ドル/円の「底割れ」回避自体が大きなシグナル
その内部構造については、先週(8月9日)のコラムで指摘済みなので重複して説明しないが、チャートのみ再掲載しておきたい。
【参考記事】
●米ドル/円はさらに下がっても、あくまで一時の行きすぎ!? 米金利も底打ち間近!(2019年8月9日、陳満咲杜)
(出所:Bloomberg)
チャートは、諸処のファンダメンタルズ予想を織り込んでおり、また、これからのファンダメンタルズに対する予想であり、市場参加者の合意であるので、足元の米ドル/円の「底割れ」回避自体を、大きなシグナルとみるべきだ。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の動向も同様である。クロス円は総じて弱含みでお盆(実際には本日8月16日も含まれる)を「すごして」いるが、下げ止まり感がある。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
そして、これからのクロス円のパフォーマンスは、円よりも外貨の動向に左右されやすいから、米ドル全面高が続くかどうかは重要な問題だと思う。
■ドルインデックスはいったん調整があった方が…
米7月小売売上高の好調もあって、米ドル全体(ドルインデックス)はまた切り返しを果たしているが、結論から言うと、このまま高値再更新を果たすといった見方には懐疑的である。
(出所:Bloomberg)
米ドル全体は、比較的に大きな調整なしでは、かえって今後の米ドル高の基盤を構築できないから、このまま上昇するよりもいったん調整があった方が、より健在なブル(上昇)トレンドを形成できるとみる。
その兆しはすでに出ている。「もう売りしかない」と言われる英ポンドは安値圏での保ち合いを維持、中国の影響が大きい豪ドル/米ドルのチャートに底打ちのサインが点灯した可能性もある。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
その可能性について、8月8日(木)のレポートをもって視点を提示したので、下記ご参照を。
(出所:Bloomberg)
豪ドル/ドルは昨日NZの予想外大幅利下げの影響を受け、一時0.6678の安値を付けた。一方、大引けは0.6758と高く、日足では「スパイクロー」のサインを点灯した。
より重要なのは、1月3日安値の一時割り込み、また終値をもって回復しているところだ。1月3日の罫線、究極な「スパイクロー」のサインだったことに鑑み、昨日の安値トライ、所謂「ダマシ」の可能性がある。プライスアクション的な言い方は「フォールス・ブレイクアウト」だが、同サイン点灯する条件としてやはり再度安値を割らないこと、または直近の抵抗を上回る(厳格的に言うと終値をもって)ことなどが挙げられる。ここでは、0.68関門を目先の条件としてクリアの有無が注目される。
もっとも、RSIなどオシレーター系指標の多くは切り返しを指示、目先相当「売られすぎ」であることを示唆、この意味では、0.68関門のブレイクは難しいものではないかと推測される。7月19日高値0.7083を」起点とした急落、途中8月2日の「星線」や8月6日の「スパイクハイ」風陽線を無視する場合、ほぼ「14連陰線」を達成、戻りも同半分程度の0.6880前後を目指すかと思われる。目先は下値追いを避け、戻りの余地を図りたいところ。
仮に前述のレポートの視点が正しければ、これから外貨の切り返しでクロス円における円高圧力が緩和され、米ドル/円の切り返しの支えにもなるかと推測される。検証はまた次回、市況はいかに。
(12時30分執筆)
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