昨日になってECBが利下げしかしないのではないかという観測が立ち始めた。それまではマイナス金利の深掘りに加え、資産買い入れを含んだ量的緩和もあるのではないかと期待されていたからだ。それはECB会合での理事の数合わせでは、次回の利下げですら嫌がっているメンバーが多数を占めているからだ。
そうした思惑もあるためか、ユーロドルは動きが少ない。緩和ならば緩和ということで、もっとユーロ安が進んでもよさそうだが、一向に下向きに突っ込んでいく気配がない。
それでも欧州債は前日に引き続いて大きく下落。そうした長期金利の上昇は、米国債にも及んだ。アメリカの長期金利も続落。ニューヨーク時間ではドル相場が比較的に強いものとなった。ドル円も107円台の中盤を上回ってきた。
しかしドル円もユーロドルと同様で一気に方向感が明確になるような動きは出てこない。値段が飛んだりしないのだ。それだけECBやFRBのアクションを見てからでも遅くはないだろうという見方が強まっているのだ。従ってドル相場が堅調といっても、為替レートの値幅はとても小さいものにとどまっている。
長期金利の上昇はマーケットのムードを暗くして、米国株は軟調な地合いでスタートした。ニューヨーククローズ間際に大きな米国株買いが集まって、それまでのマイナス分を回復した。史上最高値圏に手が届くところにいるというのは変わりがないままだ。
ECBの会合は木曜日迫っているが、仮に利下げのみにとどまっても、依然として緩和期待は継続するものと思われる。ドラギ総裁が任期満了を迎えるからであり、次のラガルド氏に手を打つ余地を残しておいたからだという言い訳が成されるだけだろう。
そうなるとユーロの一段安も考えられるのだが、現在のポンドの動向と同じように会合が終わったらショートカバーが先行しそうだ。まだ先行きの方向感が出ないうちは、ポジションを傾けて決め打ちするのは早計だと思う。
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