長らく日本のFX業界では「米ドル/円スプレッドは0.3銭原則固定がおおよそ業界最狭水準」となってきました。取引量を限定したり、キャンペーンだったりで、0.3銭原則固定より狭い水準を提示するFX会社も一部ありましたが、大手から中堅まで非常にたくさんのFX会社が米ドル/円スプレッドを0.3銭原則固定としてきたのです。
その壁が打ち破られ、2019年10月15日(火)から10月18日(金)にかけて、怒濤の勢いで、米ドル/円スプレッドを0.2銭原則固定へ縮小するFX会社が続出し、さらには0.1銭原則固定へ縮小する会社まで出現したことは以下の2つの記事でお伝えしたとおりです。
【参考記事】
●10月15日の異変!? ドル/円0.2銭原則固定へ! 「連鎖的スプレッド縮小騒動」の衝撃
●「連鎖的スプレッド縮小騒動」続報。米ドル/円はついに0.1銭原則固定へ!
なぜ、怒濤の「連鎖的スプレッド縮小騒動」は起こったのでしょうか?
10月16日(水)より米ドル/円の通常スプレッドを0.3銭原則固定から0.2銭原則固定へ縮小し、さらに11月29日(金)まではキャンペーンで0.1銭原則固定まで縮小したトレイダーズ証券。同社の為替ディーラーである井口喜雄氏に今回の「連鎖的スプレッド縮小騒動」はなぜ起こったのか、寄稿していただきました(ザイFX!編集部)。
<急な米ドル/円スプレッド縮小の背景には何があった?>
10月15日(火)、楽天証券「楽天FX」さんがキャンペーンにて米ドル/円のスプレッドを0.2銭原則固定にされたことを皮切りに、多くのFX会社で米ドル/円スプレッドが0.2銭原則固定に縮小されました。
各社一斉に米ドル/円のスプレッドを縮小しているため、通常であればインターバンク市場のスプレッドが縮小したのだと考えるのが一般的かと思いますが、今回は違います。
では、なぜこのタイミングで一気にスプレッドが縮小されたのか。
打ち破られた「0.3銭原則固定まで」という暗黙の了解
この数年、米ドル/円以外の通貨ペアにおいてスプレッド競争をすることはあっても、米ドル/円については「0.3銭原則固定まで」、「ここは触ってはいけない」といった暗黙の了解のようなものがありました。できれば価格競争はしたくはありませんので、確かに米ドル/円の0.3銭は心地よくもありました。
一方、FX業界全体として考えると、ある種「閉塞感」のようなものがあったのかもしれません。皆、どこかで「何か変化が欲しい」という思いがあったのも事実ではないでしょうか。
近年では米ドル/円をはじめ、為替相場のボラティリティが低下傾向にあり、FXも以前ほどの盛り上がりはなく、一番人気の通貨ペアである米ドル/円のスプレッドも「0.3銭原則固定まで」という暗黙の了解があり、手をつけられませんでした。そうした「変化」したいという気持ちが、今回は一気に噴き出たのではないかと思っております。
マラソンで言えば、大きな先頭集団のかたまりがあって、そろそろ仕掛けたいという気持ちはあれ、誰も前に出られなかった状況下で一人が集団を抜け出した途端、皆、待っていましたと言わんばかりに間髪を入れずついていったような状況でしょうか。
常に米ドル/円スプレッド縮小の準備はしていた
当然ながら当社・トレイダーズ証券も、昨年より「スプレッド業界最狭水準宣言」をしていたこともあり、常に米ドル/円スプレッド縮小の準備はしていたため、即時スプレッド縮小を決定いたしました。
しかし同時に、この流れで各社一斉に米ドル/円を0.2銭原則固定と横並びにするのでは、あまり目立たないとも考えました。数年ぶりにFX業界全体が盛り上がる話題でもあったため、ここは思い切って0.1銭原則固定まで縮小(※)することで、さらなるインパクトを狙ってみました。
(※編集部注:米ドル/円0.1銭原則固定は11月29日(金)までのキャンペーン)
スプレッド0.1銭原則固定という未知なる領域に踏み込んでみましたが、やると決めた以上は、トレーダーの皆様にご満足いただけるよう、最大限努力したいと思っております。
>>>トレイダーズ証券「みんなのFX」の最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツでご覧ください
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