先週の金曜日は海外市場でリスクテークとなった。米国株は高値引けし、そのまま史上最高値を更新した。ロス商務長官も「米中合意はほぼ成立するだろう」ということで前向きなコメントを出している。
それが漂っていた高値恐怖症を薄めたものと考えられる。しかし一方で景況指数や鉱工業生産などのマクロ指標は決して楽観を許すものではない。何か良い材料だけを探している姿勢がありありとしている。
ドル円は108.50あたりまで昼間は押し込まれていたが、海外市場ではリスクオンムードに乗って108.85近辺まで上昇した。109円台にまで駆け上がるほど力強さは見られなかったものの、ドル相場としての堅調さを維持した。いうまでもなくクロス円も堅調だった。
今週は後半にセンチメント指数の発表などを控えているが、おおむね大きなイベントは少ない。むしろ政治のイベントに向けての観測がマーケットを左右することがありそうだ。いま激化しつつある香港問題だが、日曜日には地方議会の選挙が予定されている。
予定されているだけであり、目下のところ、延期される可能性もはらんでいる。デモの指導者が立候補を認められなかったことで、民主派とのいっそうの軋轢を招いているからだ。また警察の強行突入なども現実味を増してきており、これが米中協議を進めているアメリカのスタンスにも微妙な影響を及ぼしている。
できるならば他国の内政には口出ししたくないアメリカだが、放置してしまうと米中協議の「部分的な合意」はパフォーマンス目当てだったのではないかとの批判を浴びてしまうことになる。
また週末には日韓のG-SOMIAの失効が待っている。いつもならば日本側がなにがしらの助け船を出すことを期待されるところだが、今回はそうではない。韓国側が折れない限り、失効もやむなしというところまで来てしまっている。北朝鮮を含め、地政学的リスクの高まりが意識されると、マーケットではリスクテークに向かいにくくなるのも当然の成り行きだ。
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