■香港デモ激化も、日経平均は底堅く推移
米中合意がなかなか発表されない中、いろんな報道や憶測が出て、マーケットも一進一退を繰り返している。
もっとも、日米とも株高の局面にあり、高値圏でのスピード調整といった側面が大きく、材料による影響はたいぶ低下しているように見える。
香港デモ激化の中、米上下院による「香港人権法案」が可決され、香港株の急落をもたらしたが、日経平均は底固かった。日経225先物は昨日(11月21日)ザラ場において一時、2万2720円にトライしたものの、大引けは2万3130円を回復、執筆中の現時点で一時、2万3220円を達成し、完全回復の様子を示している。
(出所:TradingView)
米ドル/円も108.28円にトライしたものの、その後、切り返し、現在まで、値幅は限定的ではあるが、堅調な値動きを保っているようにみえる。
(出所:TradingView)
日米株とも「割高」と言われ、また、専門家と世の中の両方から「手を出すな」、「暴落必至」、「様子見すべき」などの声が多数聞こえる中、日米株のスピード調整は「意外」に値幅が限定的であり、また、前述のように、リスクオフを引き起こしてもおかしくなかった材料に「鈍感」になってきたことは、示唆に富んでいると思う。
■見方の高度な一致は「異常」な状況
だいぶ前に本コラムにて書かせていただいたように、そもそも「正常な相場」は常に意見の相違が目立つもので、専門家同士においても、一般投資家同士においても、皆の意見がわかれ、また、対立する状況は日常茶飯事である。
【参考記事】
●正しいのは相場! 市場心理に惑わされず、勇気をもって行動した少数派が勝つ!(2019年9月20日、陳満咲杜)
それに対して、「異常な相場」の特徴は他ならぬ、見方の高度な一致だ。専門家同士や一般投資家同士のみでなく、専門家グループにおける共通認識が、巷の共通認識あるいはセンチメントとかなり合致している時は、気をつけなければいけない。
なぜなら、それは「異常」な状況なので、相場に突っ込まれるリスクの方が高いからだ。
そもそも相場の不確実性から言えば、相場参加者の合意が「突っ込まれ」また「裏切られる」リスクのほうが高いこと自体は理にかなう。
そうでないと、猫も杓子も相場で食っていけるから、誰も働かなくてすんでしまう。だから、見方や意見の高度な一致は信頼できるサインではなく、むしろ疑わしいシグナルなので、安易に流されないように注意が必要だ。
もちろん、これは総論で、個別の事象についてはケースバイケースになることもあることは併記しておきたい(この意味では、今回、総意自体が正しいという可能性もある)。
重要なのは相場自体の値動きだ。猫も杓子も…
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