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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

「相場が間違っている」という論調は危険!
カギは米ドル/円と200日線の関係にあり

2019年11月22日(金)17:49公開 (2019年11月22日(金)17:49更新)
陳満咲杜

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

■香港デモ激化も、日経平均は底堅く推移

 米中合意がなかなか発表されない中、いろんな報道や憶測が出て、マーケットも一進一退を繰り返している。

 もっとも、日米とも株高の局面にあり、高値圏でのスピード調整といった側面が大きく、材料による影響はたいぶ低下しているように見える。

 香港デモ激化の中、米上下院による「香港人権法案」が可決され、香港株の急落をもたらしたが、日経平均は底固かった日経225先物は昨日(11月21日)ザラ場において一時、2万2720円にトライしたものの、大引けは2万3130円を回復、執筆中の現時点で一時、2万3220円を達成し、完全回復の様子を示している。

日経225先物 1時間足
日経225先物 1時間足チャート

(出所:TradingView

米ドル/円も108.28円にトライしたものの、その後、切り返し、現在まで、値幅は限定的ではあるが、堅調な値動きを保っているようにみえる。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足チャート

 (出所:TradingView

 日米株とも「割高」と言われ、また、専門家と世の中の両方から「手を出すな」、「暴落必至」、「様子見すべき」などの声が多数聞こえる中、日米株のスピード調整は「意外」に値幅が限定的であり、また、前述のように、リスクオフを引き起こしてもおかしくなかった材料に「鈍感」になってきたことは、示唆に富んでいると思う。

■見方の高度な一致は「異常」な状況

 だいぶ前に本コラムにて書かせていただいたように、そもそも「正常な相場」は常に意見の相違が目立つもので、専門家同士においても、一般投資家同士においても、皆の意見がわかれ、また、対立する状況は日常茶飯事である。

【参考記事】
正しいのは相場! 市場心理に惑わされず、勇気をもって行動した少数派が勝つ!(2019年9月20日、陳満咲杜)

 それに対して、「異常な相場」の特徴は他ならぬ、見方の高度な一致だ。専門家同士や一般投資家同士のみでなく、専門家グループにおける共通認識が、巷の共通認識あるいはセンチメントとかなり合致している時は、気をつけなければいけない。

 なぜなら、それは「異常」な状況なので、相場に突っ込まれるリスクの方が高いからだ。

 そもそも相場の不確実性から言えば、相場参加者の合意が「突っ込まれ」また「裏切られる」リスクのほうが高いこと自体は理にかなう。

 そうでないと、猫も杓子も相場で食っていけるから、誰も働かなくてすんでしまう。だから、見方や意見の高度な一致は信頼できるサインではなく、むしろ疑わしいシグナルなので、安易に流されないように注意が必要だ。

 もちろん、これは総論で、個別の事象についてはケースバイケースになることもあることは併記しておきたい(この意味では、今回、総意自体が正しいという可能性もある)。

■「相場が間違っている」という論調は危険

重要なのは相場自体の値動きだ。猫も杓子も、専門家もアマチュアも口をそろえて日米株の「割高」や「リスク」を指摘している中、米中株がリスクオフの材料に大して左右されず、高値圏を維持していること自体、明らかにポジティブなサインと受け取るべきだと思う。

 それは、相場の内部構造がより長いスパンにおける強気志向を示唆しているというほかあるまい。今のところ、このような考え方を大事にしたい。

 米国株バブル論を言うセンセイたちの多くは「相場が間違っている」とあれこれ理屈を立てて論証しているが、相場における理屈はそもそも理路整然と説明できるものではないことを悟ってないようにみえる。

 そもそも、「相場が間違っている」という論調自体がかなり危険なロジックだ。一個人どころかプロ集団でさえ、相場のすべてを読みきれないから、相場自体より賢い人間や集団は存在しないはずだ。

 実際、ここ数年ウォール街のレポートを真剣に読み、また、忠実に実行した方はもう何回も破産したはずだ。何しろ、米国株バブル論はここ数年ずっと言われ続けてきた上、ショートポジションを推薦するアドバイスは一昨年(2017年)からかなり多かった。

 もちろん、昨年(2018年)年末から今年(2019年)年初のような急落の局面においては、ショート筋が儲かったはずだが、問題は、米国株は2009年以来、本格的な反落がなかったので、「世紀の大暴落」を狙う欲張りのショート筋が多かった気がするということだ。

 米国株の強さ、また、トレンドの中期的な継続は構造的なブル(上昇)基調によるものだが、テクニカル的、また、ミクロ的視点では、ショート筋が多かった分、いわゆる「踏み上げ」をされてきたから、目先の高値につながった側面も無視できない

 株の話がまた長くなったが、言いたいことは1つ。米国株バブル論とは距離をおくべきで、日米株のブル構造が支配的である限り、相場はリスクオフの局面に戻れないはずということだ。ゆえに、為替市場はリスクオンムードの継続といった視線でフォローしていくのがロジック的に正しいかと思う。

■主要クロス円の上昇がリスクオン局面を象徴するシグナル

 典型的なリスクオンの局面においては、前回のコラムでも強調したように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇がもっとも特徴的、また、印象的なシグナルだとみる。その背景には、米ドルに対する主要外貨の上昇と、米ドル/円の上昇の同時進行が見られるから、リスク選好の環境において、これはもっとも確認されやすいはずだ。

【参考記事】
主要クロス円の反落は押し目買いの好機。NYダウのバブルは3万ドルを超えてから!(2019年11月15日、陳満咲杜)

ユーロ/円、英ポンド/円や豪ドル/円といった主要クロス円は2019年8月安値、あるいは9月安値からすでに大きく反発しており、メイントレンドとしてなお切り返しの局面を維持している。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

今月(11月)に入ってからの調整は、あくまで途中におけるスピード調整という視点でフォローしていけば、おのずと限界の位置づけがおわかりいただけるかと思う。

■クロス円の上昇を加速する2つの前提条件

 とはいえ、目先を含め、クロス円の保ち合いがしばらく続く可能性もある。「前提条件」をクリアしないと、再度上昇波を加速していけないから、目下の動意薄も「仕方ない」と思われる。

 その前提条件として2つ、シンプルな視点が挙げられる。

 1つはドルインデックスが200日移動平均線(200日線)を割り込むこと、もう1つは米ドル/円の200日線完全回復だ。

【参考記事:FX初心者のための基礎知識入門】
移動平均線は、テクニカル指標の超定番。SMA・WMA・EMAの違いは…?

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート 

  (出所:TradingView

米ドル/円 日足
 米ドル/円 日足チャート

  (出所:TradingView

 米ドル/円はいったん200日線を上回ったものの、維持できなかったから、これから本格なブレイクがあれば、上昇モメンタム加速のサインが点灯したこととなろう。

 ドルインデックスの200日線割れに比べ、目先、米ドル/円のほうが、再度200日線ブレイクのハードルが小さいように見えるから、来週(11月25日~)の本格的な上放れを期待したい。

 もちろん、株の急落なしという前提条件付きだが、前述のように、株急落云々は目先杞憂にすぎないから、むしろ「押し目待ちに押し目なし」といったリスクのほうが真剣に考えるべきかと思う。市況はいかに。

 (13:00執筆)

外為どっとコム

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