■2020年初頭に注目したい通貨と戦略は?
早いもので、今年(2019年)も残すところ、あと1カ月半となりました。
この時期になると、多くの金融機関が来年(2020年)の相場予測を発表することになります。
個人的にも注目しているモルガン・スタンレーも、2020年の相場予測を早々とリリース。
要約すると、2020年の米国の株式は他の国の資産に対し、アンダーパフォームするほか米ドルが下落するとのこと。
米資産、株・債券・通貨が2020年にアンダーパフォームへ-モルガンS
2020年は米国の株式と社債が他の国・地域の資産に対しアンダーパフォームするほか米ドルが下落すると、モルガン・スタンレーが予測した。
出所:Bloomberg
マーケット関係者によれば、モルガン・スタンレーが重要顧客向けに配布している2020年のトップ10トレードにおいて、主要通貨では英ポンド/米ドルのロングが3位に位置しているようです。
そのターゲットは、1.4000ドル。

(出所:TradingView)
そして、先週のコラムで取り上げたNZドルのロングも7位ランクインしている模様。ターゲットはあまり高くなく、0.6900ドル。
【参考記事】
●米ドル/円は2段構えのバリアが上値阻む! 狭いレンジで推移後、108.50円割れか?(11月14日、西原宏一)

(出所:TradingView)
こうした年間の相場予測は、年間を通して参考にするというよりも、年末年始のスタートダッシュに参考にするのが精度が高いと思っているので、年末年始の為替相場は、このコラムでご紹介してきたように、英ポンド/米ドルとNZドルのロングが狙い目でしょうか?
【参考記事】
●米ドル/円は2段構えのバリアが上値阻む! 狭いレンジで推移後、108.50円割れか?(11月14日、西原宏一)
●12月の英総選挙は事実上の再国民投票!? 合意ある離脱なら英ポンドは1.40ドル台へ(10月31日、西原宏一)
■トランプ大統領が吠えても米ドル安にならなかったが…
一方、今週(11月18日~)注目されたのが、トランプ大統領、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長、そしてムニューシン財務長官がホワイトハウスで会談したとの報道。
トランプ大統領のコメントによれば、「非常に良い誠意ある対談だった」とのことで、「金利やマイナス金利、低いインフレ、金融緩和、米ドル高とその製造業に対する影響、中国やEU(欧州連合)などとの貿易を含む」というように、様々な問題を協議したと説明。
トランプ大統領のツイートは、以下の通り。
At my meeting with Jay Powell this morning, I protested fact that our Fed Rate is set too high relative to the interest rates of other competitor countries. In fact, our rates should be lower than all others (we are the U.S.). Too strong a Dollar hurting manufacturers & growth!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) November 19, 2019
翻訳すると、「パウエル議長との会談で、競合する他国・地域に比べて高過ぎると考えている米国の金利について『抗議』した。実際、我々(米国)の金利は他のすべてよりも低くあるべきだ。強過ぎる米ドルが製造業と成長に打撃を与えている!」ということです。
ここで注目は、トランプ大統領が「強過ぎる米ドルが製造業と成長に打撃を与えている!」と付け加えた事。
トランプ大統領の「米ドルは強過ぎる」というコメントは、就任以降、何度となく繰り返されていますが、彼のコメントどおり、マーケットは米ドル安に反応しませんでした。

トランプ大統領は就任以降、「米ドルは強過ぎる」と何度となく繰り返してきたが、マーケットは米ドル安で反応しなかった… (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
その要因は、まず、米国経済が堅調に推移してきたこと。
そして、前述のトランプさんのコメントにもあるように、競合する他国と比較すると、高過ぎる米金利が米ドルを高止まりさせてきました。
ただ、今年(2019年)も後半に入ると、FRBが(昨年(2019年)末に予想されていたような利上げではなく)、3会合連続の利下げに踏み切ったこともあり、英ポンド/米ドルの急騰を筆頭に、総じて米ドルは軟化してきました(米ドル/円は膠着)。
■モルガン・スタンレーは、英ポンドとNZドルのロング推奨
米ドルの下落は、前述のモルガン・スタンレーの予測に沿ったものでもあります。
彼らの2020年の主要通貨における推奨トレードも、英ポンド/米ドル、NZドル/米ドルのロングといったように、対米ドル通貨ペアの米ドル下落を推奨しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
例年、年末に向けて多くの主要銀行で翌年(2020年)の推奨トレードが出揃ってくると、(年間を通してではなく)年末年初においての精度は高いものがあります。
今年(2019年)も年末に向けて、英ポンド/米ドルとNZドル/米ドルの上昇に注目です。
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