■過去の経験則に基づく円急騰予測は、今回は当たらない!
株の話はさておき、米ドル/円の行方にも、悲観論がなお多いようだ。株暴落論と同じく、過去のデータからいくらでも根拠を見つけ出せるから、経験則に頼る「正論」につながりやすいかと思う。
最近の事例として挙げられるのが、くりっく365における米ドル/円ロングポジションが1年半ぶりの買い越し転換したのを根拠に、円の急騰ありといった予測であろう。が、それは株安論とおなじく、今回は当たらない可能性が大きいと思う。
くりっく365におけるドル/円ロング転換、2017前半や2018年前半の例をもってこれから円高になるという予測は偏っているようにみえる。何しろ、2018年10、11月当たりや2019年3、4月当たりはむしろ非常に正確なタイミングを示していた・・・日本の個人投資家は賢く成長している。 pic.twitter.com/Q3yM1sTaVH
— 陳 満咲杜@ブルベアFX (@chinmasato) 2019年12月13日
確かに、上のチャートを見る限り、2017年、2018年の2回とも、米ドル/円ポジションのロング転換後、円は急騰していた。しかし、それは直近のデータに頼る「経験則」にすぎず、より大きな背景が考えられていない。
■個人投資家のロングポジションへの転換は順張りのサイン
言ってみれば、日本の個人投資家は近年、米ドル/円のレンジ変動を想定し、逆張りの姿勢が強かったから、このような現象が観察されたのだろう。また、2015年高値から米ドル/円は大型トライアングル型保ち合いを形成してきた。
個人投資家の総意としてレンジ変動の認識自体は正しかったが、トライアングル型の保ち合い、また、その保ち合いにおける値幅を想定できなかっただけの話で、トレンドの形成があれば、個人投資家のポジションのロング転換は、逆張りのサインではなく、むしろ順張りのサインとみるべきではないかと思う。
つまり、2015年高値を起点とした大型保ち合いはもう終わった公算が高まる中、くりっく365における日本の個人投資家のポジション総計を「経験則」をもって逆張りのサインと見なすのもリスキーである。
実際、くりっく365以外に、店頭FXやCME(シカゴ先物取引所)のポジションの統計もあるから、総合的に見れば、かなり違ってくるかと思う。
そもそもくりっく365は「特殊」な存在、店頭のポジション総計と見比べると、その差は歴然。 pic.twitter.com/dmwFcSSYJY
— 陳 満咲杜@ブルベアFX (@chinmasato) 2019年12月13日
CMEには一般的にプロやセミプロが多いと言われ、最近のドル円ロング転、むしろ合致した動きにみえる・・・ pic.twitter.com/YtaEOklDvp
— 陳 満咲杜@ブルベアFX (@chinmasato) 2019年12月13日
CMEにおけるポジションは、一般的にプロやセミプロと呼ばれる投資家たちの方向性を示唆するものだが、最近のデータを見る限り、くりっく365の傾向と合致しており、日本の個人投資家の総意はむしろ正しいのではないかと思われる。
いずれにせよ、どの見方が正しいのかはこれからの相場が検証してくれるが、株の話と同様、為替市場は今新しい段階に入った可能性が大きく、従来の「経験則」に縛られないように注意が必要だ。
また、データ自体が真実だとしても、その解読者によってまったく違う見方もできるから、当方の見解も含め、鵜呑みにしてはいけない。皆さん自身の目でお確かめになることが一番大事だ。
市況はいかに。
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