■NYダウの3万ドル乗せが現実的なターゲットに!
米中合意の結果を待つ、静かな市況が続いているが、米国株は「静かに」市場最高値を再更新、米ドル/円も「静かに」200日移動平均線(200日線)に乗せてきた。
【参考記事:FX初心者のための基礎知識入門】
●移動平均線は、テクニカル指標の超定番。SMA・WMA・EMAの違いは…?
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
前回のコラムで指摘した2つの条件のうち、1つがまずクリアされたことで、メインシナリオは一層鮮明になってきた。
【参考記事】
●「相場が間違っている」という論調は危険!カギは米ドル/円と200日線の関係にあり(2019年11月29日、陳満咲杜)
来年(2020年)に向けて、株高・円安のトレンドは、目先なおその途上にあるというメインシナリオは不変、NYダウの3万ドル乗せが現実的なターゲットとなってきた。
いつものように、専門家の論調や市場センチメントは市況に合わせて変化するものなので、出そろったウォール街大手による来年(2020年)の予測の大半も、株高の継続に傾いてきた。
■トレンドに乗れていなかった機関投資家がこれから参入?
ウォール街の面々は、ここ数年、ずっと米国株バブルの可能性を指摘してきた。急落するたびに、「今回こそ暴落」とか、「リーマン級の調整」などと警鐘を鳴らしていた。ゆえに、株高が続いているにもかかわらず、機関投資家の多くは、過去の平均と比べると現金比率が高めで、トレンドに乗ってこなかったと報道されている。
だから、今のトレンドは「長く維持されず、早晩崩れる」という見方が圧倒的だったが、現在は一転して、「現金の割合が多いから、これからトレンドを押し上げる余地が大きい」と解釈されている模様だ。
このように、割と簡単な材料1つでも、解釈によって買いでも売りでも、どっちの根拠にもなりうる。筆者が常に主張してきたように、「材料に関する他人の解釈は、たとえお偉い先生のお話でも距離をおくべきだ」ということの本当の理由は、実にそこにある。
あえて聞くとするなら、材料に流されずにあえて反対意見を述べる方の話だ。なぜなら、少なくとも風見鶏ではないから、もしかしたら“慧眼持ち”の可能性がある(もちろん単に“曲がり屋”であるリスクも大きいが…)。
つまるところ、市況に合わせて材料を解釈する話を聞く暇があるなら、相場をもっと張るべきだと思う。
■株高はやっと「正当化」され、為替はこれから「正常化」へ
ウォール街の見方に話を戻すが、今はアナリストの大半が「買い余力たっぷり」を根拠に、来年(2020年)米株高継続のシナリオを提示しているようだ。
S&P500の2020年のターゲットは、クレディ・スイスの10.36%高、ゴールドマン・サックスの9.55%高をはじめ、株高予想が約8割にのぼり、7%以上の上昇率(いずれも現在と比べ)を予想。モルガン・スタンレーやUBSなど少数派(株安予想)でも、マイナス3%超の予想に留まり、来年(2020年)は米国株が調整に向かっても値幅限定という見方だ。
日本株に関しても同じだ。散々割高と言われる日経平均に関して、最近になって「相場は悲観の中で生まれ」 、「2018年秋→2018年クリスマスへの株価下落は、今年(2019年)の製造業指数悪化を織り込む動きだった 」、「2018年クリスマス→今日(2019年11月)までの株価上昇は、今秋の製造業指数底入れを織り込む動きだった 」と解釈され、そして、本日(11月29日)の日経新聞の報道では、2019年4~9月非製造業の純利益率は最高水準を更新、生産性改善の兆しも濃厚になってきたという。
要するに、株が上がれば、解釈もあとからついてきて、市場センチメントだけでなく、ファンダメンタルズの材料さえも、あとからついてくるから、相場の真実である「価格が先で材料が後」が再度証明されたわけだ。
株高がようやく「正当化」された以上、為替市場の「正常化」もこれからだと思う。株高・円安のセットはまだまだこれからなので、米ドル/円の200日線乗せはあくまで最初のサインとみるべきだ。
11月7日(木)高値109.50円のブレイクもあり、これからやってくる110円の節目打診やブレイクはもはや通過点にすぎず、筆者が繰り返し指摘してきたように、2019年4月高値112.41円へ「全値戻し」への道筋をすでにつけたとみる。
(出所:TradingView)
米ドル/円の堅調は、最近の日足におけるサインが鮮明…
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