■「逆張り」を試したい気持ちも重々わかるが…
「徹底的」と強調するのも理由がある。人間という者、どうしても目先の利益に弱く、また、短絡的な行為に走る習性があるから、メイントレンドが上とわかっていても、何らかの材料が出ると逆張りのショートを試したいのだ。目先の中国の新型肺炎に対する懸念や思惑は、まさにその好例ではないかと思う。もともと株価が高いとか、円高懸念がくすぶるとかの論点が多いから、売り材料が出れば、投機行為を正当化できるため、一層試したくなるのである。
そして、往々にして短期スパンに限っては、こういったメイントレンドに逆張りする行為が利益を生む。また、高いレバレッジをかければ、時には莫大な利益を計上できる可能性も大きい。
しかし、経験則で言えば、そのような利益を計上したトレーダーの多くにとって、それは悲劇の始まりだともいえる。なぜなら、彼らは材料の勝手読みや逆張りの習慣化、正当化にふけるから、リスク管理を少しでもミスすれば、早晩相場から退場させられる運命にあるからだ。
■相場のメイン基調を大事に!
まとめてみると、今回の中国の新型肺炎の件、これからどうなるかはまだ読めないが、相場の基調を修正できる材料になるとは思わない。
したがって、今回も相場のメイン基調を大事にし、逆張りではなく、押し目を拾うといった順張りのほうが、中長期スパンにおいてうまくいくと思う。今回言いたいことはこれに尽きる。
米ドル/円もそうだが、主要クロス円も同じである。短期スパンで見る限り、目先、ユーロ/円の反落幅は米ドル/円を超え、クロス円の方がより不安視されるが、これは一時な値動きにとどまるだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
そもそもユーロ/円の反落は、リスクオフの円高のみでなく、ユーロ/米ドルの大幅反落につられた側面も大きいから、その点も注意しておきたい。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
米ドル全体(ドルインデックス)については、現在、再度200日移動平均線を巡る攻防が起きている。
(出所:Bloomberg)
結論から申し上げると、米ドル全体の切り返しは限定的で、反落波の進行がまだ続く可能性が大きい。ゆえに、主要クロス円の反落も長くは続かないだろう。
このあたりの話は、前回論じた「仮に円高になる場合、90円も」の視点と共に、また次回にて詳細を記したい。市況はいかに。
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