■リスクオンの流れが一段と鮮明に
米中貿易協定は第一段階の合意で一件落着、米国株は当然のようにまた史上最高値を更新、米ドル/円も昨年(2019年)年末高値の更新を果たしている。前回のコラムで指摘したとおり、イラン戦争が杞憂に終わった以上、リスクオンの流れが一段と鮮明になったわけだ。
【参考記事】
●イラン戦争の心配はイランかった!?出た~! 米ドル/円に調整完了のサイン!(2020年1月10日、陳満咲杜)
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
もっとも、米中合意があっても、あくまで最終協議ではない上、中国側が合意内容を実行できるかどうかはわからない。あくまで私見であるが、共産党政府のロジックや今までやってきた経緯から考えると、筆者は合意遵守の可能性に悲観的見方を持つ。
この話題を展開するのは大変なので、ここでは結論のみを申し上げておくが、言いたいことは1つ。米中対立は歴史的なテーマであるだけに、軋轢がこれでなくなるという考えは幼稚すぎる。
とはいえ、相場に対する影響はまた別だ。2018年からだいぶ猛威を発揮してきた分、目先は形式的といえども一件落着なので、ほぼ完全に織り込まれただろう。
■米国株は長期スパンで強気変動にあることを重視すべき
また、より重要なのは、米中対立は深刻化したものの、米国株をはじめとして相場はブル(上昇)基調を保ってきたから、相場の内部構造がより長いスパンにおける雄大な強気変動にあることが示唆されているということだ。この点だけは繰り返し強調する価値があり、また、大局観として何よりも重視しなければならないと思う。
相場というものは、そもそも事前どころか、途中でもなかなかメイントレンドの在り方がわからないものだ。「2008年のリーマンショックを経て、2009年の底から米景気が11年もの間拡大し、また、株価は雄大なブルトレンドを維持でき、さらに史上最高値を更新し続ける」ということを、ウォール街の王者を含め、誰が想定できただろうか。
(出所:Bloomberg)
事前にはもちろん、途中でも懐疑論が一杯出てきて、米国株の頭打ちやベア(下落)レンド転換といった予測は耳にタコができるほど聞かされてきた。2018年から、米中対立もあって、機関投資家でさえ総弱気となり、米国株の暴落が叫ばれてきた経緯からして、トレンドフォローというロジックや行為は、まさに言うのはたやすいが、実行するのは不可能に近いほど至難ということがわかる。
さて、為替相場は米国株ほど明確なトレンドが出ていない…
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