■中国の新型肺炎深刻化でリスクオフムードだが…
中国の新型肺炎の深刻化を受け、いくぶんリスクオフの動きが出てきた。案の定、「打たれ弱い」日経平均と米ドル/円はともに反落し、短期スパンにおける円高の進行はクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でも確認されている。
(出所:Bloomberg)
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もちろん、「打たれ弱い」かどうかは比較しないと言えないが、日経平均と米ドル/円がリスク要素により敏感であることは、過去の相場で検証され、また周知されている。
実際、昨日(2020年1月23日)、米ナスダック総合指数やS&P500はまた高値更新していたから、米国株において同じようなリスクオフの動きがあったとは言えない。
NYダウの調整があっても、そもそも連日高値を更新したあとの正常な調整の範囲に留まっているように見えるから、リスクオフ云々にはほど遠い。
となると、日経平均も米ドル/円も、いくぶんリスクオフの動きが見られたとしても、過度な深読みは要らないだろう。中国の新型肺炎の拡がりを根拠にリスクオフの株売りや円買いを仕掛けるのは短絡的な行為であり、継続した値動きになるとは思わない。
本格的なリスクオフなのに、その反応が日本株や米ドル/円だけに出る、ということは絶対にないから、米国株の基調が維持される限り、杞憂というか、必要以上の懸念や行動は要らない。
■今回の円高は出遅れたロング筋にとって好機!
そもそも株高・円安のトレンドがホンモノであれば、これぐらいの材料でトレンドが終焉するはずもない。
この視点では、目下の材料があったからこそ、出遅れたロング筋にとっては参入の好機ではないかと思う。少なくとも現時点では、日経平均も米ドル/円や主要クロス円も日足におけるブル基調を維持しているから、円高トレンドへ転換するサインが点灯されない限り、先走りの仕掛け(ショート)は避けるべきであろう。
材料があるからと、その材料から勝手に連想し、また、思惑を膨らませて性急な逆張りを仕掛けたりして結果的に大負け、といった事例は投資の世界では枚挙に暇がない。
最近の好例はイラン危機であろう。イランによる米軍基地攻撃でイラン戦争を連想し、米国株を含めた株売りや円買いを仕掛けた投機筋はその後の上昇に踏み上げられ、大損したことは記憶に新しい。つまるところ、相場より自分が賢いと思わず、相場より先走りしないのが一番賢いかもしれない。
■株価2割高を期待できるサインが出現!
もっとも、米ドル/円にしても日経平均にしても、いくぶんリスクオフの傾向を示したものの、値幅は限定的で、スピード調整の範囲に留まっているから、市場参加者の多くはロングポジションの決済は行ったとしても、本格的なショートポジションは建てていないことが暗示されている。
やはり、ブル(上昇)基調が維持される相場において、逆張りできるテクニカルの根拠があまりないから、性急な行動は取れないと判断する向きは多いだろう。
実際、日経平均は米国株に大きく出遅れたものの、堅調な基調を保ち、また、歴史的なシグナルを形成しようとしている。
本日(1月24日)のブルームバーグの報道によると、日経平均の月足では12カ月移動平均線と24カ月移動平均線のゴールデンクロスが完成間近であり、同クロスは過去40年で4回出現、そのうち3回大幅高をもたらした経緯があったから、今回も現在の株価から2割高を期待できるという。
(出所:Bloomberg)
こういったサインの有効性や、今回当たるかどうかの検証問題はともかく、大事なのは、今はブル基調にあり、また、ブル基調は修正されるどころか、ますます強化される可能性が大きいことだ。
ゆえに、一時的な材料の浮上でリスクオフの動きがあっても、スピード調整の範疇に考えるべきで、メイントレンドをしっかり見据え、また、徹底的にトレンド・フォローするのが、本当の賢いやり方だと言える。
「徹底的」と強調するのも理由が…
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