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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

新型コロナ後の世界はどうなる?
ソフトバンクGの資産売却でポンド/円の売り!?

2020年04月01日(水)17:00公開 (2020年04月01日(水)17:00更新)
志摩力男

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■新型コロナウイルスの影響はいつか終わる

新型コロナウイルスは、本当の意味での「ブラックスワン(※)でした。

(※編集部注:「ブラックスワン」とは従来の知識や経験からは予測できず、人々に多大な影響を及ぼす事象のこと)

 まず、まったく事前に予想できず、しかもその影響は甚大。

 感染を止めるため、多くの国が「意図的に」経済活動をストップさせるということは、かつて経験したことのない世界です。

【参考記事】
「342兆円」VS「1855兆円」の行方は新型コロナウイルス次第。リーマンショック級の不景気も!?(2月27日、志摩力男)
新型コロナの影響で市場は今後どうなる? 世界中が金利ゼロへ!? ドル/円100円割れも!(3月4日、志摩力男)
原油暴落はなぜ米経済を悪化させるのか? サウジ増産は米シェール企業潰しが目的!?(3月11日、志摩力男)
利下げにもかかわらずレパトリで米ドル高。弱い商品市況。豪ドルは弱い通貨に逆戻りか(3月18日、志摩力男)
リーマンショック時も同じ!? 米国株急落と米ドル上昇が同時に起きた4つの理由とは?(3月25日、志摩力男)

 米ゴールドマン・サックスは2020年4-6月期の米GDPがマイナス34%と予想していますが、もはやなんの数字であるのか、さっぱりわからないほどの状態です。

 しかし、この新型コロナウイルスの影響もいつか終わります

 通常12~18ヶ月かかると言われているワクチン開発で終わるのか、世界の多くの人が感染し、抗体を持つことで終わるのかわかりませんが、いつかは終わります。

 その時、世界経済はGDPが落ちた分だけ、確実に元に戻るでしょう。

■待っているのは低成長・低金利の世界

 そこまではわかりやすいのですが、その後の世界はどうなるのでしょうか。

 まったく予想できないリスクというものがあるとわかった以上、過度にレバレッジを効かせた経営、投資は鳴りを潜めることになるでしょう。

 レバレッジが下がる分、安全性は高まりますが、成長は低下します。

 株価で考えると、新型コロナウイルス克服時に大きく戻しますが、新高値を更新するわけでもなく、低成長を前提に、落ち着いた価格形成になりやすいと言えるでしょう。

 世界は長い低成長の時期に入るので、金利も現在のように下がった、事実上のゼロ金利がずっと続くことになるでしょう。

 つまり、待っているのは、低成長・低金利の世界です。

 安定しているが高値を追えない株価、そして、世界中がゼロ金利という環境は、円にとって好環境と言えます。

【参考記事】
新型コロナの影響で市場は今後どうなる? 世界中が金利ゼロへ!? ドル/円100円割れも!(3月4日、志摩力男)

 期待インフレ率は、米国が高く、日本は低い。そうなると実質金利は日本の方が高くなるので、日本に資金が還流しやすくなります。

■ソフトバンクグループの資産売却→英ポンド/円の売り!?

 3月23日(月)、ソフトバンクグループは株価急落に対する対抗措置として、資産売却プログラムを発表しました。

保有資産4.5兆円相当を売却し、2.5兆円は負債の返済に充当し、残りの2兆円で自社株買いするとのことです。

 ソフトバンクグループの2020年3月期 第3四半期決算説明会の資料を見てみると、2019年末時点でのソフトバンクグループの有利子負債は単体で7.9兆円、連結で19.2兆円あります。

 その一方、ソフトバンクグループ(※)が持つ保有株式価値は合計で31.1兆円あります。

 資産を細かく見ると、アリババが16.1兆円、ソフトバンク(※)が4.8兆円、米スプリントが3.2兆円、英アームが2.7兆円、ソフトバンクビジョンファンドが3.2兆円、そして、その他が1.1兆円です。

(※編集部注:「ソフトバンク」は携帯電話事業を展開する会社。「ソフトバンクグループ」はその「ソフトバンク」などを傘下におさめる持株会社)

 この中から、いくつか選んで4.5兆円を捻出することになります。

 どの株を売るのかわかりませんが、最も時価総額の大きい株がアリババなので、アリババを処分する可能性は高いでしょう。

 ソフトバンクの場合、国内企業なので、為替は出ません。

 その他に米スプリントや英アームが候補になりますが、金額を考えると、英アーム売却が最もハードルが低そうに見え、その際は、英ポンド/円の売りになります。

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足チャート

(出所:TradingView

■海外からの「投資回収」が為替にも影響を与える

 ある意味、ソフトバンクグループの動きは象徴的で、投資した資金の回収、これが始まったと言えます。

 4.5兆円は小さなお金ではありません。

海外にあったこうした投資を回収し、円に替え、銀行に返済し、自社株買いするのですが、このことで為替レートも影響を受けるでしょう。

 日本の企業、金融機関は、これまで米経済の圧倒的パフォーマンスに投資してきました。

 しかし、今後は「投資回収」、これが重要なことになるかもしれません。


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