■新型コロナウイルスの影響はいつか終わる
新型コロナウイルスは、本当の意味での「ブラックスワン(※)」でした。
(※編集部注:「ブラックスワン」とは従来の知識や経験からは予測できず、人々に多大な影響を及ぼす事象のこと)
まず、まったく事前に予想できず、しかもその影響は甚大。
感染を止めるため、多くの国が「意図的に」経済活動をストップさせるということは、かつて経験したことのない世界です。
【参考記事】
●「342兆円」VS「1855兆円」の行方は新型コロナウイルス次第。リーマンショック級の不景気も!?(2月27日、志摩力男)
●新型コロナの影響で市場は今後どうなる? 世界中が金利ゼロへ!? ドル/円100円割れも!(3月4日、志摩力男)
●原油暴落はなぜ米経済を悪化させるのか? サウジ増産は米シェール企業潰しが目的!?(3月11日、志摩力男)
●利下げにもかかわらずレパトリで米ドル高。弱い商品市況。豪ドルは弱い通貨に逆戻りか(3月18日、志摩力男)
●リーマンショック時も同じ!? 米国株急落と米ドル上昇が同時に起きた4つの理由とは?(3月25日、志摩力男)
米ゴールドマン・サックスは2020年4-6月期の米GDPがマイナス34%と予想していますが、もはやなんの数字であるのか、さっぱりわからないほどの状態です。
米経済成長率、第2四半期は-34% 失業率15%=ゴールドマン https://t.co/2qZtYCDsNE
— reuters_co_jp (@ReutersJapan) March 31, 2020
しかし、この新型コロナウイルスの影響もいつか終わります。
通常12~18ヶ月かかると言われているワクチン開発で終わるのか、世界の多くの人が感染し、抗体を持つことで終わるのかわかりませんが、いつかは終わります。
その時、世界経済はGDPが落ちた分だけ、確実に元に戻るでしょう。
■待っているのは低成長・低金利の世界
そこまではわかりやすいのですが、その後の世界はどうなるのでしょうか。
まったく予想できないリスクというものがあるとわかった以上、過度にレバレッジを効かせた経営、投資は鳴りを潜めることになるでしょう。
レバレッジが下がる分、安全性は高まりますが、成長は低下します。
株価で考えると、新型コロナウイルス克服時に大きく戻しますが、新高値を更新するわけでもなく、低成長を前提に、落ち着いた価格形成になりやすいと言えるでしょう。
世界は長い低成長の時期に入るので、金利も現在のように下がった、事実上のゼロ金利がずっと続くことになるでしょう。
つまり、待っているのは、低成長・低金利の世界です。
安定しているが高値を追えない株価、そして、世界中がゼロ金利という環境は、円にとって好環境と言えます。
【参考記事】
●新型コロナの影響で市場は今後どうなる? 世界中が金利ゼロへ!? ドル/円100円割れも!(3月4日、志摩力男)
期待インフレ率は、米国が高く、日本は低い。そうなると実質金利は日本の方が高くなるので、日本に資金が還流しやすくなります。
■ソフトバンクグループの資産売却→英ポンド/円の売り!?
3月23日(月)、ソフトバンクグループは株価急落に対する対抗措置として、資産売却プログラムを発表しました。
【SBグループ4.5兆円の資産売却】https://t.co/kd3pbII3j2
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) March 23, 2020
ソフトバンクグループは、自己株式取得と負債削減のため最大4.5兆円の資産売却や資金化を行うと発表した。発表を受けソフトバンクグループ株は急伸、一時ストップ高に。
保有資産4.5兆円相当を売却し、2.5兆円は負債の返済に充当し、残りの2兆円で自社株買いするとのことです。
ソフトバンクグループの2020年3月期 第3四半期決算説明会の資料を見てみると、2019年末時点でのソフトバンクグループの有利子負債は単体で7.9兆円、連結で19.2兆円あります。
その一方、ソフトバンクグループ(※)が持つ保有株式価値は合計で31.1兆円あります。
資産を細かく見ると、アリババが16.1兆円、ソフトバンク(※)が4.8兆円、米スプリントが3.2兆円、英アームが2.7兆円、ソフトバンクビジョンファンドが3.2兆円、そして、その他が1.1兆円です。
(※編集部注:「ソフトバンク」は携帯電話事業を展開する会社。「ソフトバンクグループ」はその「ソフトバンク」などを傘下におさめる持株会社)
この中から、いくつか選んで4.5兆円を捻出することになります。
どの株を売るのかわかりませんが、最も時価総額の大きい株がアリババなので、アリババを処分する可能性は高いでしょう。
ソフトバンクの場合、国内企業なので、為替は出ません。
その他に米スプリントや英アームが候補になりますが、金額を考えると、英アーム売却が最もハードルが低そうに見え、その際は、英ポンド/円の売りになります。
(出所:TradingView)
■海外からの「投資回収」が為替にも影響を与える
ある意味、ソフトバンクグループの動きは象徴的で、投資した資金の回収、これが始まったと言えます。
4.5兆円は小さなお金ではありません。
海外にあったこうした投資を回収し、円に替え、銀行に返済し、自社株買いするのですが、このことで為替レートも影響を受けるでしょう。
日本の企業、金融機関は、これまで米経済の圧倒的パフォーマンスに投資してきました。
しかし、今後は「投資回収」、これが重要なことになるかもしれません。
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