昨日は欧州時間まではリスクテークが進んだ。世界的にコロナ感染からの出口戦略に向けて動き出す姿が、市場にリスク許容度の増大をもたらしている。また発表された中国の貿易収支でも大きな改善が見られ、それが安心感を与えたようだ。ドル円も朝がたの水準よりも50ポイントほども上がってニューヨーク勢の参入となった。
失業保険のデータはすこぶる悪かったが、それが市場を惑わすことはなかった。しかしドル金利の低下が目立った。短期金利はいよいよゼロ%を下回ってきそうな領域まで低下してきたのだ。
2年債の利回りも過去最低まで下がって、市場の不安心理を呼び覚ますこととなった。米国株は利食い売りも出てきて、軟化して終了。ドル円もニューヨーク時間の午後からは売りものに押されて106円台の前半まで押し込まれた。
今晩は雇用統計だが、今回は予想がかなり悪いものばかり出そろっているので、あまりマーケットに与える影響は少ないであろう。就業者数は2000万人以上の減少が見込まれているが、これが2500万人と出たところで市場の反応は変わらないということだ。
市場の関心はこの悪いデータが好転するのはいつになるのかに移っており、悪いデータに関してはすでに3月でのディップで消化済みだとする姿勢を堅持している。悪い雇用統計がでるのがわかっているのに、米国株も欧州株もコロナ以来の戻しの最高値に位置しているのでもわかる。
金融政策などへの影響を計るうえでも、ドル金利の動向は重要性を増してきた。あれだけ「マイナス金利はない」と言ってきたFRBであるだけに、この市場の期待感をどう扱うのか。しばらくは「マイナス金利は考えていない」という言動を繰り返して否定に躍起になるだろうが、市場の発している叫びを武士できないことは先般の電撃利下げの局面でも証明されている。
こうした金利に対するスタンスの変更は大きなドル安をもたらすかもしれない。またブラジルやトルコなどの新興国で通貨安が記録的なレベルまで進んでいるのは、ドル相場の一段安を見込んでのことなのかもしれない。
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