■米ドル/円、年内100円割れでもおかしくない!?
ポンペオ米国務長官は、TikTokの排除を検討していると話していました。
水面下では、対中制裁の準備が進んでいるようですね。
また、先週(7月6日~)は、バイデン氏が75兆円規模の政府支出案を発表しました。
市場のコンセンサスは「トランプなら株価はOK」ですし、増税を表明しているバイデンだとしても「増税前に巨額の財政支出があるからOK」。
つまり、どちらにせよ株価は上がるという見方が増えています。
総楽観に傾きつつあり、逆に懸念を抱きたくなるセンチメントが支配的となってきています。

増税を表明しているバイデン氏は7月9日(木)、75兆円規模の政府支出案を発表した。米大統領選でトランプ大統領が再選しても、バイデン新大統領が誕生しても、株価は上がるという見方が増えていると西原氏は指摘 (C)Scott Olson/Getty Images News
本日(7月13日)の日経平均は前場で386円高と急反発していますが、米ドル/円は円高。
この動きは、どう解釈すればいいのでしょうか?
九州での豪雨災害に対する保険金支払いに備えた生保のレパトリで、円買いが出ているようです。

(出所:TradingView)
株高により、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の外債の投資余地が拡大しているようです。
7兆円規模になるとの試算もあり、米ドル/円の下支えにはなりませんか?
ただ、これだけ株価が上がっても米ドル/円が上がらないのなら、何があれば上がるのかということ。
株価が反落すれば、米ドル/円はあっさり落ちるのではないかとのイメージがあります。
目先は104円台が強いサポートとなっていますし、その手前、106円台前半には利益確定の注文を入れていますが、年内には100円割れがあってもおかしくないでしょう。
【参考記事】
●トランプ大統領が習主席に再選支援懇願!? 米ドル/円は依然として100円への過程に(6月18日、西原宏一)
●米ドル/円は「雇用統計天井」で反落! ダウントレンド入り…中期では100円へ(6月11日、西原宏一)

(出所:TradingView)
■EU首脳会談での復興基金の行方に注目
コモディティ市場では、銅や鉄鉱石が急騰しています。
米中のインフラ投資への期待がありますし、世界2位の鉄鉱石生産国であるブラジルでは新型コロナが拡大していますから、鉱山の操業停止による供給不安も意識されているようです。

(出所:TradingView)
鉄鉱石と相関性が強いのは豪ドル。
これまでは鉄鉱石が先に動いて豪ドルが追随していましたが、今回は豪ドルが先行する格好となりましたね。

(出所:TradingView)
今週(7月13日~)は日銀やECB(欧州中央銀行)が金融政策を発表しますが、市場が注目しているのは7月17日(金)7月18日(土)に開催されるEU(欧州連合)首脳会談。
難航している復興基金で合意できるのかどうか、がテーマですね。
日銀やECBは現状維持の見通しですし、やはり注目は復興基金の行方。
合意できればユーロ買い、できなければユーロ売りというシンプルな構図です。
EU議長国でもあるメルケル独首相は先週(7月6日~)、「夏前に合意を」と呼びかけています。
すでに夏ですが、オーストリア、オランダ、デンマーク、スウェーデンの4カ国が反対を表明し、なかなか決着がつきません。
いずれにせよ、今週(7月13日~)も米ドル/円の戻り売り方針は変わりません。
106円台前半ではショートの一部を縮小する予定ですが、戻り売り方針の継続でいいのでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたい。株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か(7月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●FB広告ボイコットやコロナ第2波で株安に!? 米ドル/円が上昇する場面あれば、戻り売り(6月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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