■コロナが続けば官製相場も続く
為替市場は、レンジ相場が続きますね。
違和感を覚えるのは、新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を更新しているのに株価が堅調なこと。
ナスダック総合指数は、先週(7月6日~)も史上最高値を更新しています。
(出所:TradingView)
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【参考記事】
●現実とマーケットの違いに猛烈な違和感。米マイナス金利導入なら米ドル大暴落も…(5月13日、志摩力男)
「新型コロナが収まらないほうが、財政政策や金融政策の大盤振る舞いが続くから株価にはプラスだ」との見方も出ています。
新型コロナが収まらなければ、政府・中銀に支えられた「官製相場」が継続するのだとの見方です。
個別で見ると、テスラ株がバブっていますね。この2週間で50%上昇しています。
(出所:TradingView)
テスラの空売り残高は200億ドルに迫る勢いですから、ショートの踏み上げもあるのでしょう。
■史上最高値のナスダック、反落のきっかけは?
買い方の思惑としては、テスラがS&P500へ採用されるのではとの期待もあるようです。
7月22日(水)に発表される決算が黒字だと、S&P500採用の条件を満たすことになります。
もし、採用されればファンドは買わざるを得ない。その期待が出ているようです。
ファンド関係者と話しても、興味を示すのはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)系の銘柄ばかりですが、ナスダック総合指数ではダイバージェンスが点灯しています。
史上最高値を更新するナスダックに対してNYダウやS&P500は高値を更新しておらず、市場間ダイバージェンスでもある。
どちらかが間違えていることになり、個人的にいずれナスダックが下げるだろうとの見通しは変わりません。
(出所:TradingView)
レムデシビル(※)のニュースでギリアドが上昇し、テスラ祭と同時にバイオ祭でもあります。
ナスダックが反落するとすれば、何がきっかけになるのでしょうか。
(※編集部注:レムデシビルは、米製薬大手ギリアド・サイエンシズがエボラ出血熱の治療薬として開発した抗ウイルス薬。初の新型コロナウイルス治療薬として日米欧などで承認された)
先週(7月6日~)も話したように米中対立がきっかけになるのではと思うのですが、予想できる材料ではないのかもしれませんね。
【参考記事】
●米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたい。株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か(7月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
■米ドル/円、年内100円割れでもおかしくない!?
ポンペオ米国務長官は、TikTokの排除を検討していると話していました。
水面下では、対中制裁の準備が進んでいるようですね。
また、先週(7月6日~)は、バイデン氏が75兆円規模の政府支出案を発表しました。
市場のコンセンサスは「トランプなら株価はOK」ですし、増税を表明しているバイデンだとしても「増税前に巨額の財政支出があるからOK」。
つまり、どちらにせよ株価は上がるという見方が増えています。
総楽観に傾きつつあり、逆に懸念を抱きたくなるセンチメントが支配的となってきています。
増税を表明しているバイデン氏は7月9日(木)、75兆円規模の政府支出案を発表した。米大統領選でトランプ大統領が再選しても、バイデン新大統領が誕生しても、株価は上がるという見方が増えていると西原氏は指摘 (C)Scott Olson/Getty Images News
本日(7月13日)の日経平均は前場で386円高と急反発していますが、米ドル/円は円高。
この動きは、どう解釈すればいいのでしょうか?
九州での豪雨災害に対する保険金支払いに備えた生保のレパトリで、円買いが出ているようです。
(出所:TradingView)
株高により、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の外債の投資余地が拡大しているようです。
7兆円規模になるとの試算もあり、米ドル/円の下支えにはなりませんか?
ただ、これだけ株価が上がっても米ドル/円が上がらないのなら、何があれば上がるのかということ。
株価が反落すれば、米ドル/円はあっさり落ちるのではないかとのイメージがあります。
目先は104円台が強いサポートとなっていますし、その手前、106円台前半には利益確定の注文を入れていますが、年内には100円割れがあってもおかしくないでしょう。
【参考記事】
●トランプ大統領が習主席に再選支援懇願!? 米ドル/円は依然として100円への過程に(6月18日、西原宏一)
●米ドル/円は「雇用統計天井」で反落! ダウントレンド入り…中期では100円へ(6月11日、西原宏一)
(出所:TradingView)
■EU首脳会談での復興基金の行方に注目
コモディティ市場では、銅や鉄鉱石が急騰しています。
米中のインフラ投資への期待がありますし、世界2位の鉄鉱石生産国であるブラジルでは新型コロナが拡大していますから、鉱山の操業停止による供給不安も意識されているようです。
(出所:TradingView)
鉄鉱石と相関性が強いのは豪ドル。
これまでは鉄鉱石が先に動いて豪ドルが追随していましたが、今回は豪ドルが先行する格好となりましたね。
(出所:TradingView)
今週(7月13日~)は日銀やECB(欧州中央銀行)が金融政策を発表しますが、市場が注目しているのは7月17日(金)7月18日(土)に開催されるEU(欧州連合)首脳会談。
難航している復興基金で合意できるのかどうか、がテーマですね。
日銀やECBは現状維持の見通しですし、やはり注目は復興基金の行方。
合意できればユーロ買い、できなければユーロ売りというシンプルな構図です。
EU議長国でもあるメルケル独首相は先週(7月6日~)、「夏前に合意を」と呼びかけています。
すでに夏ですが、オーストリア、オランダ、デンマーク、スウェーデンの4カ国が反対を表明し、なかなか決着がつきません。
いずれにせよ、今週(7月13日~)も米ドル/円の戻り売り方針は変わりません。
106円台前半ではショートの一部を縮小する予定ですが、戻り売り方針の継続でいいのでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたい。株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か(7月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●FB広告ボイコットやコロナ第2波で株安に!? 米ドル/円が上昇する場面あれば、戻り売り(6月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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