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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたい。
株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か

2020年07月06日(月)16:40公開 (2020年07月06日(月)16:40更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■ロサンゼルス上空を盛大に彩る花火は天井シグナル!?

今朝(7月6日朝)の株式市場、強いですね。前場の日経平均は306円高。


6月上旬から続いた三角保ち合いを上抜けしたようにも見えます。


週末には中国株が年初来高値を更新し、今日も吹き上がっています。

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingView

上海総合指数 日足
上海総合指数 日足

(出所:TradingView

中国については休業補償も出しておらず、コロナ禍の震源地であるにもかかわらず、「もっとも傷の浅い国」とも言えます。

中国政府が財政政策を強化する、との報道も一部では出ています。その影響もあるのかもしれませんね。

ただし、コロナ禍に目を向けると世界の新規感染者数は7月4日(土)に過去最多を更新


米国やブラジルでの感染が拡大しています。

新型コロナウイルス感染者数の推移(世界&米国&ブラジル)

(出所:TradingView

そんな中、迎えたのが米国の独立記念日。


独立を祝う花火がロサンゼルス市内のあちこちで打ち上げられていたようです。


日本だと河川敷のような広い場所での打ち上げをイメージしますが、ロサンゼルスでは各々が勝手に打ち上げるんですね。

もともと民主党のカリフォルニア州知事は、花火の打ち上げを禁止していました。


それに反発した市民が勝手に花火を打ち上げた、ということのようです。


冗談半分ではありますが、米国の友人は「花火が盛大に打ち上がると株価のピークは近い」とも指摘しています。

■カニエ・ウェスト出馬はトランプに追い風か

大統領選挙でも動きがありました。


人気ミュージシャンのカニエ・ウェストがツイッターで大統領選への出馬を表明


もともとトランプ支持者として知られたカニエですから、トランプ支持者の分裂を誘いかねないとも思うのですが、どんな意図があるのでしょうか?

BLM(Black Lives Matter)運動(※)で黒人票がバイデンに流れやすくなっています。


しかし、黒人であるカニエが出馬すれば黒人票をバイデンから奪え、トランプに有利になる、との思惑があるのかもしれません。

(※編集部注: Black Lives Matter運動とは、米国ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性が白人警察官に膝で首を押さえつけられ、死亡した事件を受けた抗議運動のこと)

【参考記事】
米ドル/円は戻り売り継続! コロナ再拡大に香港情勢、トランプ劣勢報道など懸念増大…(7月2日、西原宏一)
米大統領選まで4カ月! トランプの支持率は低下…バイデン大統領誕生なら何が起こる?(7月1日、志摩力男)

バイデンさんに対しては、過去の発言を不安視する声も多いですね。


スーパー・チューズデーをスーパー・サースデーと言い間違えたり、コロナ禍での全米死者数12万人を1.2億人と誤ったり。


77歳という高齢もあって、認知症を心配する声もあがっています。

バイデン元副大統領写真

バイデン氏に対して過去の発言を不安視する声も多いと大橋ひろこ氏は指摘。77歳という高齢もあって、認知症を心配する声もあがっているという (C)Scott Olson/Getty Images News

■株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か

世論調査ではバイデン有利が伝えられ、コロナ禍は終息の気配が見えない。


さらに香港をめぐる米中対立も先鋭化し、リスクオフ要因が目立ちます

7月4日(土)には、米海軍の原子力空母2隻が南シナ海で大規模な演習を行いました。


同時期に中国も軍事演習を行っており、緊張感の高まりを感じさせますね。

香港への経済制裁をトランプがいつ決断するのか、さまざまなリスクオフ要因を孕みながらも、しかし、ナスダックや上海を筆頭に株式市場は絶好調


こうした環境は、コロナショック直前の2月を思い出させます


当時も「FRB(米連邦準備制度理事会)の隠れQE(量的緩和)があり、リスクオフ要因はあっても株価は天まで上がるのだ」とする論調があって、株価も好調。ベア派も「やはり上がるのか」とブルに転じた直後、起きたのがコロナショックでした。

【参考記事】
新型コロナが猛威振るう中、なぜ株は好調? 豪ドルが影響を織り込む一方でユーロは…(2月13日、西原宏一)
史上最高値更新のNYダウはブルトラップ? 英国とEUの交渉難航!? 欧州通貨を戻り売り(2月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

きっかけは、アジアのローカルな感染症と思われていた新型コロナウイルスが、イタリアでも深刻化したことでした。


今回は、何がトリガーとなるのでしょうか

コロナではなく、香港をめぐる米中対立かもしれませんね。

【参考記事】
香港に衝撃! 中国政府が国家安全法制定へ。なぜ中国は今、動いた? リスクオフになる?(5月27日、志摩力男)
米中対立で株価調整へ。ドル/円は、赤字に転落したソフトバンクGの売りに注目!(5月25日、西原宏一&大橋ひろこ)

中国寄りだった英国でも、5G通信網からファーウェイ製品を排除との報道が出ています。

「香港返還後50年は政治体制を変更しない」との約束が破られようとしていますから、英国としても穏やかではないでしょう。

■ETFの分配金捻出売り、米株では納税売り

細かいことを言えば、今週7月8日(水)、7月10日(金)は主要なETF(上場投資信託)の決算日が集中


分配金捻出の売りが、7000億円程度出るようです。


米国では、延期されていた確定申告が7月半ばに期限を迎えます。


還付の人は先に済ませ、まだ済ませてないのは納税が必要な人たちでしょう。彼らの納税売りにも要注意です。

季節要因では、先週(6月29日~)から新たな四半期がスタート


株買いや米ドル買いが出ることもあります。

今週の戦略は、どう考えますか?

米国で拡大するコロナ禍、米中対立、バイデン有利な情勢――こうしたことから、「ある日突然、株価が暴騰する」というシナリオよりは、「ある日突然、暴落する」可能性の方が高いように思います。


だとすれば、米ドル/円の戻り売りでいいのでしょう。


ただ、年金の買いが入りやすい時期でもある。


戻りを慎重に売っていきたいですね。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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