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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

リスクオフのきっかけはユーロ/ドルの反落。
9月1日からトレンドが変わった可能性…

2020年09月10日(木)18:18公開 (2020年09月10日(木)18:18更新)
西原宏一

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■今年の為替相場の動きを振り返ってみる

 みなさん、こんにちは。

 早いもので、今月(9月)も第2週に入り、第3四半期も終わりに近づいてきました。

 今年(2020年)最大のビッグイベントである米大統領選挙も間近に迫り、マーケットのボラティリティーも上がることが期待されることから、ここから11月までがトレード収益上、重要な時期に入ると考えています。

 そこで、今年(2020年)の為替の動きを振り返ってみます。

 2020年は、豪州の史上最悪の森林火災などもあり、豪ドル/円を中心にリスクオフ相場から始まりました。

【参考記事】
森林火災危惧も、豪州株は最高値更新。豪ドルは底堅い! 対円は80円へ反発開始(1月16日、西原宏一)

 そして、新型コロナウイルスの感染拡大報道を受け、2月中旬から、さらに事態は悪化。グローバルに株価は急落します。

【参考記事】
FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)

 リスクオフの環境下、為替市場では、資源国通貨を中心に米ドル高・円高が進行。

このコラムでよく取り上げますが、その「米ドル高・円高」がピークになったのが、3月19日(木)。3月19日(木)は、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が政策金利を0.25%引き下げた日であり、豪ドル/米ドルが安値をつけた日です。

【参考記事】
豪ドル/米ドルは、ゴールドとともに上昇! 金鉱株急騰の裏にウォーレン・バフェット(8月20日、西原宏一)

 そして、その利下げが悪材料出尽くしとなったこと、RBAのロウ総裁が「RBAは、必要であれば為替相場に介入する」とコメントしたことで、豪ドル/米ドルは0.5510ドルを安値に反発を開始しました。

 一時0.7414ドルまで一気に急騰し、5カ月弱で35%の急騰を見せました。

豪ドル/米ドル 週足
豪ドル/米ドル 週足

(出所:TradingView

 筆者は、今年(2020年)の為替市場を牽引しているのが豪ドルであると考えており、豪ドルの反発が他通貨の動きを牽引したと考えています。

 まず、豪ドル/円も豪ドル/米ドル同様、3月19日(木)に、59.91円の安値をつけて反発しています。

豪ドル/円 週足
豪ドル/円 週足

(出所:TradingView

 さらに、英ポンド/米ドルが安値である1.1412ドルに到達したのが翌日の3月20日(金)。ユーロ/米ドルが安値に到達したのが、3月23日(月)となっています。

■トレンドが変わる節目の日などを捉えることが重要

 他のプロダクツに目を向けると、ナスダック総合指数が安値である6631ドル到達したのが3月23日(月)となっており、豪ドルが急反発するに連れて、それまでの「株安・円高」の流れが、一気に「株高・円安」の流れに変わっています。

ナスダック総合指数 週足
ナスダック総合指数 日足

(出所:TradingView

 以下の表は、2020年年初から3月19日(木)までの主要通貨の騰落率です。

対米ドル騰落率

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

対円騰落率

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

 前述のように、3月19日(木)までは豪ドルが牽引する形で、NZドルや英ポンドといったリスクアセット通貨が米ドルや円に対し、急落しています。つまり、リスクオフ相場。

 そして、以下の表は、3月19日(木)から9月4日(金)までの主要通貨の騰落率です。

対米ドル騰落率

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

 3月19日からは一転して、豪ドルやNZドル、英ポンドなどが米ドルに対して急騰しています。これはリスクオンの流れであり、ナスダック中心に株価も急騰しています。

 連日、メディアなどで多くのニュースが報道されますが、そうした「ヘッドライン」よりも、このように、マーケットのトレンドが変わる重要イベントや節目の日があり、そうしたタイミングを捉えることがトレードする上でもっとも重要なことと言えます。それが、収益に大きな影響を与えるのです。

■米大統領選前の米国株は底堅いのがコンセンサスだが…

 次に、3月19日(木)にリスクオフからリスクオンに変貌したマーケットのトレンドに変化があるのかをチェックしてみます。

 RBAが利下げを決断した日(3月19日)から、マーケットは大きく変貌しました。

 3月19日(木)以降のリスクオンの流れの中で、もっとも注目を集めたのがナスダック総合指数の急騰。

 9月2日(水)の高値である1万2074ポイントまで、一気に暴騰しています。安値である6631ドルから考えれば、驚きの82%もの急騰を見せたことになります。

ナスダック総合指数 週足
ナスダック総合指数 週足

(出所:TradingView

 次の重要イベントは、11月3日(火)の米大統領選挙。

 マーケットのコンセンサスは、米大統領選挙まで2カ月を切ってきたこの時期に米国株が大崩れすることは考えにくく、底堅く推移するというものです。

 ところが、今月(9月)に入って、そのナスダック総合指数が急落しています。

 ここでは取引の詳細は割愛しますが、「ソフトバンクグループが、米ハイテク株に関するデリバティブ(金融派生商品)に巨額の投資をしていた」との報道がナスダック総合指数の利益確定の売りを誘引した形となり、一時10%も急落しました。

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足

(出所:TradingView

■ECBのチーフエコノミストの発言で、ユーロは反落

 為替市場に目を移すと、ナスダック総合指数の下落に歩調を合わせる形で、一転して「米ドル高・円高」のリスクオフが進行。

 そのリスクオフのきっかけになったのが、ユーロ/米ドル。

 ユーロ/米ドルは、極めて重要なレジスタンスである1.2000ドルを上抜けず、もみ合っていましたが、今月(9月)1日(火)、ついに1.2000ドルのバリアが決壊し、一時1.2014ドルまで急騰しています。

【参考記事】
110円へと反発を始めた米ドル/円に注目! バフェット氏の日本の商社株取得も追い風か(9月3日、西原宏一)

 ただ、その高値に到達した瞬間から一気に反落して、ユーロ/米ドルは値を下げる展開。

 そのきっかけとなったのが、ECB(欧州中央銀行)のチーフエコノミストの口先介入とも取れる下記のコメントです。

欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーでチーフエコノミストのフィリップ・レーン理事は、為替レートを金融政策の目標にしてはいないが、「ユーロ・ドルのレートは重要」だと、オンラインで行われたパネル討論会で語った。

出所:Bloomberg

 このコメントをきっかけに、ユーロ/米ドルは1.2014ドルを高値に反落。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(出所:TradingView

 そして、ユーロ/米ドルに歩調をあわせ、英ポンド/米ドルも1.3500ドルの強烈なレジスタンスを超えられず反落しています。

 英ポンド/米ドルの1.3500ドルレベルは、昨年(2019年)12月13日の英国総選挙でボリス・ジョンソン首相が大勝したことで急騰するも、「セル・ザ・ファクト」で一転して反落したレベルであり、その後、「英ポンド」が急落したことが記憶に新しいところ。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足

(出所:TradingView

 このコラムで今年(2020年)のリーディングカレンシーであるとしている、豪ドルも、対米ドルで節目の0.7500ドルを超えられず反落しています。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(出所:TradingView

 以下の表のように、9月1日(火)から4日(金)までの主要通貨の騰落率を見ると、一転してリスクオフの展開となっています。

対米ドル騰落率

 今月(9月)は、まだ始まったばかりで、この後の米国株、特にナスダック総合指数の動向をチェックしたいところですが、先ほど紹介した9月1日(火)のECBのチーフエコノミストのコメントをきっかけに「株高・米ドル安」の流れが変わってしまい、ゲームチェンジとなる可能性があるため、要注意です。

■ECB理事会と米国株の動向が、今後のカギを握る

 筆者が注目していた英ポンド/円は、一時的に140円を超えたのですが、本稿執筆時点では、137.85円レベルへと反落しており、逆流しています。

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足

(出所:TradingView

 本稿執筆時点では、本日(9月10日)のECB理事会とラガルド総裁のコメントを確認したいところですが、前述のように、英ポンド/円も急落しており、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)全体の上値も重くなっている状態ですから、9月1日(火)が、今年(2020年)2番目のゲームチェンジの日となる可能性が高まります

 そうなれば「米大統領選前に米国株は崩れない」というマーケットのコンセンサスと逆行することになるのですが、米大統領選挙前のコンセンサスは、当てにならないというのは4年前の米大統領選挙で実証済み

【参考記事】
米大統領選挙は予想外のトランプ氏勝利!リスクオフで米ドル/円急落も意外な動き…

 4年前の米大統領選挙を控えてのコンセンサスは、ヒラリーさんの圧倒的勝利であり、仮にトランプさんが勝利したとすれば、マーケットに大きな負荷がかかり、株安、円高になるというものでした。しかし、結果はすべて逆でした

9月1日(火)から、トレンドが変わった可能性がある米国株とクロス円相場

 その行方については、ECB理事会とナスダック総合指数の動向が鍵を握っています。下値余地が拡大しつつある、ナスダック総合指数と英ポンド/円の動向に注目です。


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