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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

強気予測増えたユーロ/米ドル、なぜ下落?
ポジション動向からは、さらなる下落に注意

2020年09月10日(木)11:56公開 (2020年09月10日(木)11:56更新)
今井雅人

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■7月のユーロ/米ドル急上昇後に感じたこと

 7月に、ユーロ/米ドルが急上昇(つまり、米ドル安)した後から、ユーロ/ドルは1.30ドルとか、1.35ドルまで上昇するという予測をする人が出てきました

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

 このとき、僕は、「いつもパターンだな」と、正直、感じました。それは、すでにご紹介しているとおりです。

【参考記事】
クロス円中心の押し目買い継続。ただし、上がったところを追いかけて買うのはNG!(9月3日、今井雅人)
なぜ、米ドル安の長期化を予想する人が増えたのか? 米ドル安第2弾は本格化しない(8月20日、今井雅人)
予想を超えた米ドル安の背景を整理。ここからの米ドル安は、あまり想像できない(7月30日、今井雅人)

■見方がどちらかに偏ったときが危ない!

 1つ、例をお話ししましょう。かなり古い話ですが、バブル時代、日経平均が4万円近くまで急騰したとき、6万円まで上昇するという類の強気の予測が、当たり前のように語られるようになりました。

 その後の結果は、みなさんが知っているとおり、そこからバブルが弾け、底なし相場が始まりました。

日経平均 月足
日経平均 月足チャート

(出所:TradingView

 一般論で申し上げると、人は、今、見ている流れを肯定し、それに影響を受けて、もっと行くのではないかと考えてしまう傾向にあります。それは、カジノなどの博打で儲かっているときなどにも表れる心理状態です。

しかし、そのときは、すでに相場はかなり伸びてしまっている可能性があります。

 もちろん、必ずそうとは言い切れず、そのまま相場が走り続けることもありますが、かなりのケースは、反転することが多いというのが、私の経験則です。

 ですから、いろいろな人のコメントをときどきチェックして、それが、どちらかに偏るようなことがあったときは要注意だと思うようにしています。

■ポジション動向も必ずチェック!

 それと、もう1点、よく見ておいた方がいいのが、ポジション動向です。

 世の中のポジションがどうなっているのかを合計したデータは、世の中には存在しませんから、何かの動向を見て、それで推計、推測することです。

 私は、IMM(国際通貨先物市場)のポジションデータを、毎週、必ずチェックしています。

 直近の、投機筋の米ドルに対するユーロのポジションを見ていると、過去に例がないほどネットロングポジション(=買い越し)が積み上がっていることがわかります。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(ユーロ/米ドル) 9月1日時点
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(ユーロ/米ドル) 9月1日時点

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

こういう状態になっているときに、さらなる強気論が出てくるのは、経験則から言って非常に危険です。そういうところも、重要な視点だと思いますので、参考にしてみてください。

【参考記事】
目先、調整のユーロ/米ドルは戻り売りで! 新たな買い材料がないと上昇は継続しにくい(9月8日、バカラ村)
1.20ドルを背に、ユーロ/米ドルを戻り売り! ラガルドECB総裁はユーロ高を牽制するか?(9月7日、西原宏一&大橋ひろこ)

■米株下落のリスクオフでユーロが下落

 さて、足元の相場状況ですが、2つのことが起きています。1つは、米国の株式が、ここにきて下落してきていること。

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足チャート

(出所:TradingView

 それにより、リスクオフから円高、そして米ドル高という現象が起きています。つまり、ユーロで言えば、ユーロ/円とユーロ/米ドルの下落という現象です。

【参考記事】
安倍ショックの円高は、まったくの偽り!米国株の調整で米ドルの切り返しを想定(9月4日、陳満咲杜)

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:TradingView

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

■英国とEUの貿易交渉がまた難航

 2つ目は、また、英国とEU(欧州連合)の貿易交渉が話題となってきていることです。

 2020年の年末が貿易交渉の期限とされており、そこまでにまとまらないと、関税措置などが行われることになります。

 最近、欧州の報道機関のいくつかが、この交渉が年末までにまとまらない可能性を報じました。また、英国、EU関係者も、同様の発言をしています。これが、英ポンド売りを誘っています。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足チャート

(出所:TradingView

■ユーロ/米ドルは下落しやすい。米ドル/円は…?

 さて、これらを受けた為替相場ですが、英ポンドに関しては、この材料はかつて、英ポンドの暴落を招いたこともあるネタです。安いからといって、うかつに英ポンドを買うわけにはいかなくなりました。要注意です。

【参考記事】
2020年の注目材料とトレード戦略はコレ! オリンピック後の景気後退は都市伝説!?(1月9日、今井雅人)
2019年の為替市場を総まとめ! 米中貿易摩擦とブレグジット問題は、2020年も続く!?(2019年12月27日、今井雅人)

 また、米国の株の下落は、調整の域を出ないと私は思っていますが、それでも、さらなる調整が起きる可能性はあります。

ユーロ/米ドルは、ロングポジションが溜まっていることから下落しやすいと思いますので、注意が必要です。

米ドル/円は、105円台から106円台での狭い動きが、当面、続きそうです。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView


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