■森林火災の被害危惧も、豪州株は最高値更新
みなさん、こんにちは。
年初のイラン情勢の緊迫化により、マーケットはリスクオフに傾斜し、急速に「株安、資源国通貨安、円高」が進行しました。
しかし、そのリスクオフ相場も一時的で、マーケットは、すでに落ち着きを取り戻しています。
【参考記事】
●第3次世界大戦の危機!? 今はイラン情勢がすべて。ドル/円や豪ドル/円は戻り売りか(1月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●イランと米国による戦争回避で株価反発! リスクオフ沈静化で豪ドル買いに妙味!?(1月9日、西原宏一)
そんな環境下、底堅く推移しているのが豪ドル。

(出所:Trading View)
現在、豪州といえば、森林火災の被害が危惧されています。
豪州は、空気が乾燥していることで、ほぼ毎年のように森林火災が発生。
2019年12月には記録的な熱波が到来し、大規模な森林火災が発生しました。
今回の森林火災による被害は甚大であり、豪州経済の成長率を押し下げることが予想されます。RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は、年内に0.25%利下げし、政策金利は0.50%になることが予測されている状況です。
RBAの利下げが予測されている局面では、通常、豪ドルは値を崩すことが多いのですが、豪ドルは総じて底堅く推移しています。
そして、豪州の株式市場も堅調。
先週(1月6日~)、豪州の代表的な株価指数であるS&P/ASX200は、過去最高値を更新しています。

(出所:Bloomberg)
■豪州はすでに貿易黒字国に変貌した?
このS&P/ASX 200の上昇と、豪ドルの底堅さの要因を豪州のトレーダーに聞いてみました。
まず、豪州の森林火災に関してですが、マーケット参加者の視点はすでに復興需要に移行しています。
豪州の株式市場の好調さは、この復興需要を織り込んでいることが要因と言われているのです。
S&P/ASX200の上昇が、豪ドルが底堅い要因のひとつ。

(出所:Trading View)
そして、豪ドルの底堅さの要因でもっとも重要なことは、豪州が経常黒字化したことではないかと指摘していました。
豪経常黒字、第3四半期は過去最大の79億豪ドル 資源輸出好調で
豪連邦統計局が3日発表した第3・四半期の経常収支は79億豪ドル(53億6000万米ドル)の黒字と、黒字幅はアナリスト予想(63億豪ドル)を上回り、過去最大となった。アジア向け資源輸出の好調が米中貿易摩擦の悪影響を打ち消した。同期の輸出は前年同期から14%増え、過去最大の1270億豪ドルに上った。鉄鉱石と金の価格上昇や液化天然ガス(LNG)生産の大幅増が寄与した。
出所:ロイター
豪州が経常黒字化した要因は、前述の記事にもあるように、急増した天然ガスの輸出です。
豪、LNG輸出カタール抜き世界首位へ 2019年に 豪政府予測
オーストラリアが2019年、液化天然ガス(LNG)の輸出でカタールを抜き、世界首位になる見通しとなった。
出所:日本経済新聞
■豪ドル/円は80円目指し、反発開始
彼の指摘によれば、経常黒字化し、政策金利も極めて低い通貨である豪ドルは、すでにリスクアセット通貨ではなくなりつつあるとのこと。
どちらかといえば、ドイツや日本のような側面を持つことになります。
つまり、年初のようにリスクオフの局面で豪ドルが売り込まれる必要はなくなることになります。
このところ、リスクオフで豪ドルが売られる局面はあるものの、その後、急速に持ち直す傾向があることは、確か。
こうした豪州の変貌は、現在の為替レートに織り込まれておらず、豪ドルは過小評価されているのではないかと考えています。
そのため、豪ドル/米ドルは0.73ドルレベル、豪ドル/円は80円へと値を戻すのではないでしょうか?

(出所:Trading View)

(出所:Trading View)
経常黒字化し、復興需要を株式市場に織り込みつつある豪州。
豪ドル/米ドル、豪ドル/円の反発に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。















![ヒロセ通商[LION FX]](/mwimgs/9/7/-/img_975127cf2c6be2ac1a68a003ef3669c022946.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)