■英ポンドの急落は、米ドルの売られすぎの裏返し
重要なのは、ファンダメンタルズ上、弱い要素を抱える英ポンドの急落は、米ドルの売られすぎの裏返しであることを認識すべき、ということだ。換言すれば、米ドルの「売られすぎ」がなければ、英ポンドは、ここまで売られずに済む可能性があった。
前回のコラムでも指摘させていただいたように、英ポンドの下落は先行サインと見なすべきだ。
後に続く形で、ユーロなど主要な通貨も対米ドルでの「買われすぎ」が修正されていく公算は大きいから、米ドル全体の切り返しの継続を、なお有力視したい。
【参考記事】
●ECB総裁の「裏切り」によるユーロ上昇は続かない。ユーロ/米ドルは、早晩反落か(2020年9月11日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
■ユーロ/米ドルは高値圏で保ち合った後、修正下落か
そうなると、対英ポンドで強気な動きを維持しているユーロは、対米ドルでも高値圏での保ち合いを継続しているが、ここからさらなる高値をトライする局面があっても、それは決しても容易ではないと思う。
ユーロ/米ドルについて、ここからもっとも考えられる市況としては、再三、高値圏にて頭が重いことを確認してから反落し、3月安値を起点とした大型切り返しを修正していくことが挙げられる。
■米ドル/円は、本格的な「底割れ」が生じにくいと見る
ユーロは、たちまち急落するのではなく、高値圏での保ち合いを経てから反落する、といった見方が正しければ、実は、米ドル/円の見通しにも通用する。
何しろ、繰り返し指摘してきたように、米ドル全体が「売られすぎ」の状況を修正しようとすれば、その切り返しが急速であるか、それとも緩やかなものに留まるかによって、米ドル/円の下値余地が推測されるのだ。
詳細は、また次回に譲るが、結論から申し上げると、米ドル全体の緩やかな切り返しが有力視される。
だからこそ、米ドル/円の下値リスクが目先、燻っていても、また、4連休中に不意打ちされるリスクが大きくても、米ドル/円は、本格的な「底割れ」が生じにくいかと思う。
一時的に7月安値である104.18円割れがあったとしても、そのまま下値更新を続けるとは限らない。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
どうしても円を買いたいなら、米ドル/円の売りよりも、クロス円の売りのほうが比較的、無難かと思う。
市況はいかに。
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