■ラガルドECB総裁、ユーロ高をけん制せず!
9月10日(木)は、ECB(欧州中央銀行)理事会が開催されました。
ECB理事会の数日前に、レーンECB専務理事が、ユーロ高へのけん制発言をしていたこともあり、ECB理事会後の記者会見で、ラガルドECB総裁も何らかの発言をするのか、会見には注目が集まりました。
ECB理事会後の記者会見では、ラガルドECB総裁からユーロについて何かしらの発言があるか、注目が集まったが… (C)Visual China Group/Getty Images
しかし、一部報道機関から関係者の話として、「ECBはユーロ高に過剰に反応する必要はないことで合意した」と報じられ、さらに、ラガルドECB総裁の会見でも「ユーロの上昇については話し合ったが、為替には目標はない」と、ユーロ高へのけん制がなかったことから、ユーロ/米ドルは1.1916ドルまで上昇しました。
(出所:TradingView)
ただ、ユーロを買っていくような材料も出なかったことから、ユーロ/米ドルは1.17~1.20ドルの横ばいが続いています。
【参考記事】
●目先、調整のユーロ/米ドルは戻り売りで! 新たな買い材料がないと上昇は継続しにくい(9月8日、バカラ村)
●ECB総裁の「裏切り」によるユーロ上昇は続かない。ユーロ/米ドルは、早晩反落か(9月11日、陳満咲杜)
●1.20ドルを背に、ユーロ/米ドルを戻り売り! ラガルドECB総裁はユーロ高を牽制するか?(9月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
■今週は金融政策イベント多いが、トレンドには期待薄!?
今週(9月14日~)は、15日(火)~16日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、16日(水)~17日(木)には日銀金融政策決定会合や英MPC(金融政策委員会)があり、金融政策を決める会合が多い週になります。
ただ、どの会合でも、政策金利などの大きな変更は予想されていないこと、各国の金利差もほとんどないことから、瞬間的な動きはあったとしても、金融政策は材料とはなりにくく、トレンドが出ることは期待できないと思います。
為替市場のメインとなる、米ドルや円やユーロは、動きがなく横ばいが続いており、今週も横ばいが続くのではないかと考えています。
■ユーロ/米ドル、調整の下げがあれば買い検討も
ユーロ/米ドルも、先週(9月14日~)は短期的な調整を想定していましたが、1.1752ドルまでしか下がらず、1.1700ドル前後のサポートまでも、届いていない状態です。
(出所:TradingView)
IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向では、投機筋の米ドルに対するユーロのポジションは買い越しに偏っており、ラガルドECB総裁の会見があっても動きが出ていないこともあって、今週も、動きは期待できない状態です。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
長期では、米ドル安からユーロ/米ドルは上昇すると考えていますので、短期的な調整の下げがあれば、長期での買いも検討して良いのではないかと思います。
【参考記事】
●目先、調整のユーロ/米ドルは戻り売りで! 新たな買い材料がないと上昇は継続しにくい(9月8日、バカラ村)
●ユーロ/米ドルは深い調整を期待しにくいが、短期的にはレンジ下限1.17ドルを下抜けそう(8月25日、バカラ村)
■ソフトバンクGの英アーム売却が米ドル/円の上値を抑えるか
米ドル/円も、105~107円のレンジが続いており、ボリンジャーバンドもバンド幅が収束していることから、動きが出てくることに期待したいところです。
【参考記事】
●FX初心者のための基礎知識入門:ボリンジャーバンド
●バカラ村流トレード術を徹底解剖(1) ボリンジャーバンドの5パターンで儲ける!
(出所:TradingView)
ソフトバンクグループが、保有している英半導体設計大手のアーム・ホールディングス株を、米半導体大手のエヌビディアへ、最大400億ドルで売却すると発表しました。
為替市場への影響は、まだわからないところがありますが、円高になるとの観測もあり、実際にそうなると、米ドル/円の上値も抑えられることになります。
また、株式市場が堅調であれば、リスク選好からの米ドル安も期待できることになります。
■基本は米ドル/円の戻り売りと英ポンド安
英ポンドに関しては、米大手金融機関のゴールドマン・サックスが、割安ということから買い推奨も出していますが、10月15日(木)までは合意なき離脱懸念もあるため、軟調に推移しやすいと考えています。
【参考記事】
●目先、調整のユーロ/米ドルは戻り売りで! 新たな買い材料がないと上昇は継続しにくい(9月8日、バカラ村)
●ポンドを戻り売り! 合意なき離脱での下落余地大きいが、ボリスのウルトラCには注意(9月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
お伝えしているとおり、基本的に、今週(9月14日~)の為替市場は、動きに期待しにくいですが、米ドル/円の戻り売り、そして、英ポンド安を基本に考えたいと思います。
■年末に向けて、米ドル安が期待できる環境へ
為替市場への影響はありませんでしたが、9月14日(月)には菅官房長官が、自民党総裁選で新総裁に決まりました。
10月下旬に解散総選挙が行われる可能性もあり、過去の傾向を見ると、解散総選挙では、日経平均の上昇が期待できます。
【参考記事】
●解散総選挙は「株高・円安」になりやすい! 米ドル/円、英ポンド/円は押し目買いか(2017年9月26日、バカラ村)
(出所:TradingView)
今年(2020年)は、米大統領選もあるため、しばらくは動きにくい状態が続くと思いますが、季節性もあわせて考えると、11月から年末にかけては株式市場の上昇が期待できるのではないかと思います。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
為替市場に関しては、その時期の季節性としては、米ドル/円は上昇する傾向が強いのですが、リスク選好ということもあり、年末に向けて米ドル安が期待できるのではないかと思います。
【参考記事】
●米ドル/円、長期的には104円のサポートを割り込む可能性。戻り売りが良さそう!(9月1日、バカラ村)
●米ドルは戻り売りで!バフェット氏の金鉱株購入は、長期的な米ドル安を見越した動き!?(8月18日、バカラ村)
(出所:TradingView)
※次回のコラムは、9月23日(水)の公開予定となります。
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