■FOMCは、2023年までのゼロ金利維持を示唆
みなさん、こんにちは。
日本時間9月17日(木)未明、注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が公表されました。
FOMCでは、新型コロナウイルスによるパンデミックからの米国経済回復を支援するため、少なくとも2023年いっぱいは、ゼロ付近の金利を維持することを示唆。
注目された9月FOMCでは、少なくとも2023年いっぱいはゼロ付近の金利を維持することが示唆された。写真はFRBのパウエル議長 (C)Bloomberg/Getty Images News
加えて、期間平均で2%のインフレ率を達成し、中長期的なインフレ期待が2%でしっかり留まり続けるまで「緩和的な金融政策スタンスを維持する方針だ」と表明しました(政策決定は賛成8・反対2)。
結果、2023年までFOMCはゼロ金利を維持するようで、これは米ドル安要因となります。
■米ドル安材料が出たのに、なぜ、ユーロ/米ドルは反落?
しかし、この発表を受けて、ユーロ/米ドルは1.17ドル台ミドルへ反落(米ドル高・ユーロ安)。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドル反落の要因は、マーケットがFOMCの結果を織り込んでいたこともありますが、今月(9月)に入って、ECB(欧州中央銀行)がユーロ高を牽制していることが大きな要因として挙げられます。
先週(9月7日~)末も、ラガルドECB総裁がユーロ高に言及しています。
ラガルドECB総裁、ユーロ高に言及-インフレの押し上げ効果損なう
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は13日、最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し上げ効果が一部相殺されたと指摘。必要とあれば政策手段の全てを調整する用意がECBにはあるとあらためて表明した。
出所:Bloomberg
FOMCの「長期に渡ってのゼロ金利維持」は米ドル安要因ですが、ECBがユーロ高懸念を表明したことで、先月(8月)まで米ドル安を牽引してきたユーロ/米ドルが失速したわけです。
(出所:Bloomberg)
■米ドル安の流れは消去法で「円」に向かう
では、米ドル安の流れがどの通貨に向かうのか?ですが、消去法で円にプレッシャーがかかります。
先週のコラムでも取り上げましたが、9月1日(火)にユーロ/米ドルが1.2014ドルの高値に到達してから、マーケットの流れは変貌した可能性がさらに高まっています。
【参考記事】
●リスクオフのきっかけはユーロ/ドルの反落。9月1日からトレンドが変わった可能性…(9月10日、西原宏一)
9月1日(火)は、ユーロ/米ドルのみならず、豪ドル/米ドルも0.7414ドル、そして、英ポンド/米ドルも1.3482ドルの高値をつけた後、反落。
しかし、この後、対主要通貨で米ドル高になるのかといえば、FOMCの2023年までのゼロ金利維持というスタンスは変わりませんので、中期の米ドル安の流れは変わりません。
結果、米ドル安、ユーロ安の流れになり、主要通貨の中で強くなる通貨は、消去法で円になります。
以下の表は、9月1日(火)から本稿執筆時点(9月17日)までの主要通貨の騰落率です。
今月(9月)に入ってから、英ポンドや豪ドル、そして、ユーロなどが米ドルに対して下落していますが、それらとは逆に、米ドルに対して上昇しているのが「円」。
「米ドル高・円高」の流れとなっており、これはリスクオフ時に起きる流れです。
■米ドル/円は、節目の104.00円割れを目指してじり安
リスクオフの流れであれば、株安――。米国株を牽引してきたナスダック総合指数も、9月2日(水)に1万2074ドルの高値に到達して以来、調整モードに入っています。
(出所:Bloomberg)
つまり、今月(9月)に入ってからは「株安・円高」のリスクオフ相場。
マーケットで話題になっている、「FOMCのゼロ金利維持による米ドル安相場」という流れにはなっていません。
「リスクオフ=米ドル高・円高」の流れのなかで、唯一、米ドル安の流れになっているのが米ドル/円です。
今月(9月)に入ってからのクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落により、米ドル/円も、再び節目の104.00円割れを目指してじり安の展開。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルは、以前公開した 「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でコメントしたとおり、1.2000ドルを背に戻り売りで変わらずです。
【参考記事】
●1.20ドルを背に、ユーロ/米ドルを戻り売り! ラガルドECB総裁はユーロ高を牽制するか?(9月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
そして、「株安・円高の流れ」の中での注目は…
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