■欧州のコロナ第二波の本格化がユーロ上昇の足かせに?
相応するように、ユーロ/米ドルの2020年年初来高値更新があれば、2018年高値1.25ドルの大台を打診する余地が拓けるものの、素直に高値更新をできるかどうかは定かではない。
(出所:TradingView)
真冬の到来を控え、英国を含め、欧州のコロナ第二波の本格化も鮮明になってきた。
英仏独のロックダウンがすでに再発動され、感染者や死亡者の上昇が春の第一波を超えているだけに、米ドルの対極としてユーロや英ポンドがそのまま買われていくとは思わない。
状況が比較的安定していると言われる豪州でも、資源大国として多くの品目が中国の輸入禁止措置に遭い、景気回復が打撃を受ける情勢なので、豪ドルの堅調が続くかどうかは疑問視される。
いずれかの外貨が米ドル売りの受け皿として大きく買われなければ、米ドル安も進まないが、米ドルの対極としては、やはりユーロの重要性が一番大きい。
その意味では、これから円が買われても、ドルインデックスがさらに安値更新していくとは限らない。
なぜなら、ユーロ/米ドルの2020年年初来高値更新がなければ、ドルインデックスの年初来安値更新も回避される見通しで、円の上昇余地があったとしても、それがそのまま米ドル全体安につながるとは限らないからだ。
■「クロス円のショートに妙味あり」は健在
もっとも、前回のコラムで指摘したように、クロス円のショートに妙味ありという見方はなお放棄していない。
【参考記事】
●リスクオフの兆しだが「危」は「機」なり。これからクロス円のショートに妙味あり!(2020年10月30日、陳満咲杜)
米大統領選の進展状況自体はシナリオどおりになった。一方、株式の反応や米ドル全体の値動きは見通しが外れたため、主要クロス円は外貨高の影響で、目先総じて堅調に見える。しかし、上値打診するには力不足だとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
前述のように、米ドル/円の104円節目割れを受け、目先、米ドル/円の下振れ余地が拡大し、また、下値トライが一番想定されやすい。ある意味では米ドル/円はこれまで「出遅れ」ていたわけだ。
9月安値で測る場合、3月安値よりドルインデックスは3%(約290pips)も安くなっていた。にもかかわらず、米ドル/円は大きく反落してきたとはいえ、執筆中の現時点で3月安値より2円以上(200pips以上)高い位置にある。このように、米ドル/円は「出遅れ」てきたわけだから、今からその分を埋めてくる可能性を無視できない。
(出所:TradingView)
そうなると、やはりクロス円は米ドル/円に「合わせる」形で頭の重さが確認され、また、米ドル/円に「追随」して反落してくることが想定される。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
主要外貨の上昇が続き、また、クロス円における外貨高・円安の調子が強まれば、米ドル/円の下値打診を制限する形で出遅れた円の上昇を阻止するシナリオもあり得るが、現時点で米ドル/円の下値リスクに照らして考えると、やはり「出遅れた」分、目先、円の一段上昇、また、クロス円の反落がより有力視される。
■歴史に残る米大統領選、最後まで油断禁物!
最後に、今回の米大統領選は歴史に残るものだから、最後まで紆余曲折のある展開が想定される。
ゆえに、目先、株高で安堵を覚える市場参加者が多いと思うが、油断しすぎない方が良いかと思う。
この意味でも、これから一本調子の展開にならない可能性も念頭におき、引き続きクロス円の動向に注目していきたい。市況はいかに。
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