■ついに米大統領選! 大事なのは柔軟性
ついに、米大統領選挙の日(11月3日)となりました。4年前の「トランプラリー」は鮮烈であり、今回も同じように大きく動くことを期待したいです。
【参考記事】
●米大統領交代で円高になれば、米ドル/円は100円を割り込み、少し大きな動きになるか(10月28日、志摩力男)
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(2) トランプ氏当選でまさかのリスクオン到来!
こうした大きなイベントの時、大事なのは柔軟性です。
事前にいろいろシミュレーションしますが、必ず思いがけない動きが出てきます。
方向がしっかり決まってから相場に参加しても遅くないでしょう。
■フロリダ州を早い段階で押さえたトランプ氏
事前予想では、「ブルーウェーブ」「トリプルブルー」といった言葉に象徴されるように、青がイメージカラーの民主党が躍進することが予想されていました。
しかし、フロリダ州を早い段階でトランプ氏が押さえたので、事前予想どおりの展開とはならず、様相は2016年そっくりになってきました。
【参考記事】
●トランプ氏がフロリダを制す! 結果判明は長期化も? 情報錯綜、金融市場は複雑な動き
2020年11月3日(火)の米大統領選で、トランプ氏が激戦州のひとつであるフロリダ州を制した (C)Scott Olson/Getty Images
■勝負はペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン
米大統領選挙は、選挙人を選ぶというまったく不思議な選挙方式を続けているので、カリフォルニアやニューヨークでいくら民主党支持者の票数が増えても、結果に影響はまったくありません。激戦州と呼ばれている10州の帰趨で決まります。
前回、トランプ氏が勝った激戦州とそれぞれの選挙人数を列挙すると、フロリダ(29)、オハイオ(18)、ジョージア(16)、ノースカロライナ(15)、ペンシルベニア(20)、ミシガン(16)、ウィスコンシン(10)、アイオワ(6)、アリゾナ(11)、そして、メーンの一部(1)。
前回はトランプ氏が306人、クリントン氏が232人の選挙人を獲得したので、上記州から38人をひっくり返すとバイデン氏の勝利となります。
本稿執筆時点では、アリゾナ(11)はバイデン氏が勝利しそうです。
結局、勝負はペンシルベニア(20)、ミシガン(16)、ウィスコンシン(10)、この3州をバイデン氏が引き剥がすことができるかどうかです。
アリゾナ州はバイデン氏が勝利しそうで、勝負は前回トランプ氏が勝ったペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンを、バイデン氏が引き剥がすことができるかどうかだと志摩氏は指摘 (C)Scott Olson/Getty Images News
米政治情報サイト「Real Clear Politics」による事前の世論調査では、ペンシルベニアは4.3%ほど、ミシガンは5.1%ほど、そしてウィスコンシンは6.6%ほどバイデン氏が上回っていましたが、現時点ではトランプ氏優勢です。
■郵便投票の結果が出てくるまで時間がかかる
しかし、この3州は郵便投票の事前集計を行わないため、結果が出てくるまで時間がかかります。都市部の郵便開票次第でしょう。
【参考記事】
●米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)
特に、ペンシルベニア(20)は、大票田のフィラデルフィア郵便投票の開票が11月4日(水)以降になります。この開票結果を見ないことには、まだなんとも言えない状況です。
■予想よりも強いトランプ氏と共和党。訴訟等で混乱しそう
上院の方も、共和党が健闘しています。まだわかりませんが、共和党が上院を守る可能性が少し高いように見えます。
激戦州の開票待ちなので、為替市場も動きがいったん止まりました。
現時点では、トランプ氏、バイデン氏、どちらが大統領になるのかまったくわかりませんが、事前予想よりもトランプ氏と共和党が強い――。
仮に、フィラデルフィアの郵便投票開票でペンシルベニアがバイデン氏勝利となった場合、トランプ氏は絶対に訴訟等を起こし、異議を唱えるでしょう。混乱しそうです。
■トランプ氏勝利なら、マーケットはどうなる?
11月4日(水)の開票の結果、トランプ大統領となると、事前に米ドル売りを多少織り込んでいたこともあり、米ドルが買い戻されるでしょう。
しかし、米ドルが急騰することもありません。結局は、緩やかな米ドル安トレンドに戻ることになると思います。2016年の時のような、目覚ましいラリーは期待薄です。
上院が共和党であれば、従来どおりの構成となるので、株高と緩やかな米ドル安。民主党政権を織り込んでいた長期金利は急低下することになります。
環境関連の株は、下落しそう…。エネルギセクターは、少し回復でしょうか。
トランプ政権の継続は、日本には朗報でしょう。日本株には極めてポジティブで、日経平均の2万5000円超えはありそうです。
(出所:TradingView)
トランプ+上院民主党の場合は、トランプ氏の政策がほとんど議会を通過しなくなるので、政策が停滞することになります。
最後の4年間に暴れたいトランプ氏は、大統領令を乱発することになります。ただ、トランプ氏も民主党も「大きな政府志向」なので、その思惑は株価にポジティブに作用するでしょう。
【参考記事】
●米大統領選挙後のマーケットの動きを予想。カギとなる財政支出は、上院選の結果次第か(10月14日、志摩力男)
■バイデン氏勝利なら、マーケットはどうなる?
バイデン大統領となっても、華やかな勝利ではないので、米ドル売りの勢いは削がれそうです。
バイデン大統領+上院民主党の可能性は、まだあります。その場合は、株高、金利上昇、米ドル安のバイデントレード再開でしょう。
【参考記事】
●米ドル下落、株価上昇、金利上昇という「バイデントレード」に必要な条件とは?(10月21日、志摩力男)
バイデン大統領+上院共和党の組み合わせは、上院がバイデン氏の増税案を認めないので株価には良いでしょう。歳出は少し拡大、増税なし、民主党左派の勢いは削がれ、これはこれでマーケットには良好と思われます。
とにかく、11月4日(水)以降の開票に注目でしょう。
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