■米国株は調整。ドルインデックスは持ち直し
米大統領選を控え、市況は一段と混乱してきた。
誰も予測できない選挙だからこそ、誰もが自由に予測できる現時点において、米国株の調整は、むしろ当然の成り行きと思われ、リンクしたようにドルインデックスの持ち直しも見られた。
(出所:TradingView)
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問題は、これからどうなるかだ。
コロナ感染の再拡大は、独、仏が再度ロックダウンしたように、欧米を中心に一段と深刻化してきている。
■中国一強の構図が鮮明化しつつある
一方、コロナ禍をもたらした「張本人」である中国は、見事に疫病を封じ込め、経済活動の活性化を全力で果たしている。世界のサプライチェーンの中国依存が、むしろ一段と深まった模様だ。
防疫で生産能力が著しく低下した、インドなどの新興国から生産注文を奪い、欧米金融緩和の恩恵をたっぷり享受(投資資金の中国流入、給付金で旺盛な個人消費など)し、中国一強の構造が、一段と鮮明化しつつある。中国人民元高のトレンドには、納得できるところが多い。
実際、2020年5月末から米ドル/中国人民元は、ほぼ一貫して下落しており、中国一強の構図を反映してきたと言える。
(出所:TradingView)
中国人民元高は、基本的に中国の輸出コストが高まる要素ではあるが、ライバル不在の状況下で、むしろ、中国企業の利益増加につながっている。
■米ドルの買戻しはリスクオフへの備え
ところで、「最強」の中国人民元でも、最近やっと米ドル/中国人民元で下げ止まりの気配を見せ始めている。
それは他ならぬ、世界情勢が再び変化してきたからだ。
前述のように、米国株の頭が重くなると米ドル全体が買われるから、「最強」の中国人民元でもそれを無視できない。言ってみれば、米ドルの買戻しはリスクオフへの備えである。
欧米で、1日の新型コロナ感染者数の最高記録を更新し続けている現状において、いくら緩和が頼りとはいえ、果たして株高のトレンドが続くかどうか、その疑問に自信をもって答えられる者はいないだろう。
コロナ禍の一段の拡大や延長で、さらなる金融緩和があっても、効果の逓減が想定される以上、また、米国株がすでに大きく買われた以上、株高を支えるかどうかは定かではない。
ブルームバーグの報道によれば、ニューヨーク市で陽性率が上昇しており、来年(2021年)2月までの新型コロナによる死者数が、全米で40万人に達するという予測も出ているが、その予測数字に大した違和感を覚えないところは本当に怖い。
米大統領選の不確実性、特に両党が僅差で集計が遅れ、または司法判断に任さざるを得ない結果になれば、米国株の大きな調整は避けられないと思われる。
米国株のうち、一番買われてきたナスダックは、9月末の安値から大きく切り返してきたものの、10月前半に付けた高値が9月高値を超えられず、今週(10月26日~)の急落で、再度1万1000ドルをいったん割り込んだ。
(出所:TradingView)
米国株は波乱含みで、また、頭の重い展開が観察される以上、一段とリスクオフの米株安(調整)・米ドル高(切り返し)に備えるべきだと思う。
もっとも、欧州のコロナ禍の再拡大もユーロの…
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