■米大統領選、バイデン氏がほぼ勝利も結論は長期化か?
みなさん、こんにちは。
今回の米大統領選挙は、まれに見る激戦に。
一時、トランプさんが極めて有利な展開となったものの、それがレッドミラージュ(赤い蜃気楼=最初の開票時点では共和党優勢(赤)となるも、郵便投票の開票が進むに連れて民主党(青)が逆転すること)となりつつあり、本稿執筆時点ではバイデンさんが264票を獲得。ほぼ勝利を手にしている展開です。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説

米大統領選挙は激戦となったものの、バイデン氏が264票を獲得していて、ほぼ勝利を手に入れている展開 (C)Scott Olson/Getty Images News
しかし、トランプ陣営はウィスコンシン州での開票作業のやり直しを要求していますので、結論までにはまだ時間がかかりそうです。
ウィスコンシン州は2016年の米大統領選の時も、グリーン党のジルさんが開票作業のやり直しを要求しましたが、トランプさんの勝利は変わりませんでした。
■上院は共和党が過半数維持でも、米国株は総じて上昇
一方、米連邦議会選挙ですが、上院は共和党が過半数を維持。
下院はコンセンサスどおり、民主党が過半数を確保。
つまり「トリプルブルー」ではなく「大統領(=民主党・バイデン氏)、上院(=共和党)、下院(=民主党)」のパープル政権となる可能性が高まっています。

結果、「ブルーウエーブ」への期待が後退。新型コロナウイルス対策での大規模政府支出を見込む投資家の間で高まっていたリフレ期待がしぼみ、リフレ取引は急速な巻き戻しへ。
バリュー株がアンダーパフォームし、米国債利回りは低下。インフレ期待も下がって、ディフェンシブなハイテク銘柄が市場の主導権を取り戻しています。そうした中で、米国株は総じて上昇している状況です。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
■米ドル安継続で、米ドル/円は104円割れ目指す展開
一方、米ドルは軟調です。
このコラムで何度かご紹介させていただいているように、米大統領選挙に関わらず、米ドル安は継続。
【参考記事】
●米大統領選挙後も、ドル安継続の可能性。ユーロ/米ドルは中期的に1.30ドル予測も(10月22日、西原宏一)
米ドル/円は、再びマジノ線である104.00円のブレイクを目指し、本稿執筆時点で104.30円レベルで軟調に推移しています。

(出所:TradingView)
これまで、米ドル/円の104.00円には、本邦機関投資家と憶測されていた米ドル買いがまとまっており、104.00円割れを死守していました。
彼らは、現在も104.00円に米ドル買い注文を置いているようですが、米大統領選挙が終わり、そのレベルで死守するというスタンスではないようです。
よって、米大統領選挙の前のように104~106円でのレンジトレードではなく、米ドル/円は戻り売りで臨みたいところ。
■米ドル安継続の中、豪ドルに買い妙味アリ
ただ、米ドル売りの対象通貨としては、ボラティリティの乏しい円ではなく、違う通貨を選択したいところです。
その対象通貨は、豪ドル。
欧米では冬を迎えたためか、新型コロナウイルスの感染が拡大し、深刻化。そのため、欧州ではロックダウンを長期化させる国が続出しています。
たとえば…
英国、11月5日(木)よりイングランド全域でロックダウン
イタリア、規制強化承認へ
フランス、12月1日(火)まで全土でロックダウン
ドイツ、部分的なロックダウン措置を実施
そして、一番ひどいのがスペイン。来年(2021年)5月まで緊急事態宣言を続けると報じられています。
スペイン、全土の緊急事態宣言を来年5月まで延長
スペイン議会は29日、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない中、25日に全土対し発令した期間2週間の緊急事態を来年5月9日まで延長した。
出所:ロイター
来年(2021年)5月まで緊急事態宣言が出されるということは、スペインは、長期にわたって経済活動が大きく落ち込むことになります。
こうした状況は、ユーロにとってマイナス。
そして、米大統領選挙に注目が集まっている米国でも、11月1日(日)、1日の新型コロナウイルスの新規感染者が10万人を突破し、過去最多を更新。
米国は、累計感染者数が世界でもっとも多く、特に中西部や南部の州で深刻な状態が続いていて、地元当局が夜間外出禁止にするなどの制限措置を相次いで導入しています。

(出所:AXIOS)
■新型コロナウイルス感染者が少ない豪州に注目
一方、新規感染者が極めて少ない国もあります。
それは、豪州。
豪州では、11月1日(日)、国内の新たな新型コロナウイルス感染症例が6月以来のゼロとなったと発表。
豪州ではビクトリア州の州都メルボルンが長期にわたりロックダウン(都市封鎖)していましたが、その感染者数は30人程度でした。
北半球では、「ウィズ(With)コロナ」といわれ、感染者数がメルボルンとはケタ違いの多さでも経済を回していましたが、冬季に入り、欧米の主要都市は徐々にロックダウンしています。
逆に、メルボルンでは新規感染者数がゼロに――。
本稿執筆時点では、ニューサウスウェールズ州で2名感染者が出ていますが、感染者は空港で見つかっており、管理が徹底されていることを踏まえると、ほぼゼロといえるでしょう。
南半球の豪州は、これから暖かくなる時期に、感染者が極めて少ない状態で経済が動き出します。
一方、欧米では感染者が拡大している状況であり、経済が停滞する可能性が高くなっています。
■豪ドル/米ドルは0.7500ドルを目指す展開に
こうしたことから、欧米から豪州に資金が移動し始めています。
これを警戒したRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は、豪ドル/米ドルの急騰を押さえるため、11月3日(火)の理事会で政策金利を0.15%引き下げ、0.10%にしました。
そして、「政策行動が、より低水準の為替レートの一因となろう」とコメントしています。
ただ、彼らの行動はあくまでもスムージングオペレーションであることを知っているマーケットの反応は限定的であり、豪ドル/米ドルの下げも限定的。
米大統領選挙後は、逆に0.71ドル台ミドルへと反発しています。
お伝えしたとおり、欧米ではロックダウンが長期化する傾向がある中、南半球の豪州は感染者数が極めて少ない状態で経済活動が再開する状況です。
RBAが利下げをしても値を下げず、再び0.7500ドルに向けて上昇を始めた豪ドル/米ドルの行方に注目です。

(出所:TradingView)
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