昨日もドルの長期金利の動向が気になる1日であった。ドル円が106円台に乗せてきて、ユーロドルも1.20台に沈んでくると、大きな値動きでもないのだが、ドルの全面高が意識される。問題はまだここからでも買っていってもよいのかどうかである。まだドルの上げ余地があるかどうかは、ドル金利の上昇具合にかかっているとみなされても仕方がない。
アメリカの経済指標はおしなべて良いものが並んだ。小売売上高は予想を大きく超えてきたが、これはコロナ関連で国民に現金給付があるからというのも一因である。そしてインフレ指標の代表であるPPIも、とても大きかった。これらが近い将来の金利上昇を促すものと見られ、米国株などリスク資産は値下がり。それまで128円台で値を保っていたユーロ円も、1円近くの値下がりを演じた。
しかしFOMCの議事録が公開されると、流れはやや変わった。目下の物価上昇は一時的なものであって、長期的なインフレには縁遠いことが示されたからである。これによって市場のリスク許容度は回復。ドルの長期金利は低下傾向をたどったので、ドル相場もいったんは上値攻めを止めた格好となった。
FRBが2023年末まで金利を上げないと言っている。これは市場に安心感を与えるためのものだが、あまりにも先の先まで政策決定の方針を縛ってしまっては、自由度を失うことにつながる。これは財政などでも同じことで、3年先まで使途を決めてしまうと、何か別のことが起きたら身軽に対応できなくなる。
また将来の担当者の手足を縛ってしまうことにもなる。今週に入ってからの米ドル金利の上昇は、政策の催促だとも捉えられる。金利上昇にともなって高値圏にある株価が大きく値崩れしてこようものならば、インフレの芽は見えないなどと悠長なことは言っていられなくなるだろう。
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